第7章 模倣の進化
訓練と実戦が、
繰り返される日々。
影武者としての任務も、
少しずつ増えていった。
小規模な魔物討伐。
盗賊団の制圧。
どれも、
俺が前に立つ。
カインは、
必ず近くにいる。
それだけで、
心が折れずに済んだ。
◆
ある日。
山道での討伐任務。
相手は、
双頭の魔獣。
二つの口から、
同時に炎を吐く。
正面からでは、
勝てない。
「右を引きつけろ」
カインの指示。
俺は、
頷く。
模倣。
体が、
勇者の型になる。
走る。
斬る。
避ける。
炎が、
頬をかすめる。
熱い。
だが、
止まらない。
左の頭が、
大きく口を開けた。
今だ。
踏み込み。
全力の一撃。
剣が、
深く刺さる。
同時に、
右の頭が噛みつく。
避けきれない。
「ぐっ……!」
肩に、
牙が食い込む。
視界が、
赤く染まる。
それでも――
剣を、
離さない。
「倒せ!」
カインの声。
俺は、
吠える。
最後の力で、
剣を振り抜いた。
二つの首が、
同時に落ちる。
魔獣は、
崩れ落ちた。
◆
次の瞬間。
体が、
熱くなる。
胸の奥で、
何かが弾けた。
頭の中に、
声が響く。
――模倣レベル2に
到達しました。
俺は、
膝をつく。
息が、
荒い。
カインが、
駆け寄る。
「来たな」
俺は、
頷く。
震える声で言う。
「強く……
なりました」
カインは、
笑った。
「まだ、
始まりだ」
◆
その夜。
訓練場で、
試す。
模倣。
動きが、
違う。
重い。
鋭い。
以前より、
確実に強い。
「これが、
レベル2」
劣化は、
まだある。
だが、
戦える。
俺は、
剣を見つめる。
影武者として。
でも。
いつか、
影じゃなくなる。
そんな気がした。




