第19章 レベル5の危険域
異変は、
突然起きた。
小規模討伐。
魔物は、
中型二体。
余裕のはずだった。
模倣。
レベル4。
問題なく、
斬る。
一体目。
二体目に、
踏み込む瞬間。
視界が、
歪む。
身体が、
重い。
いや――
違う。
軽すぎる。
剣の感触が、
変わる。
「……カイン?」
口から出た声が、
俺のものじゃない。
低く、
落ち着いた声。
カインの声だ。
胸が、
凍る。
二体目を、
斬る。
考える前に、
身体が動く。
模倣解除。
膝をつく。
息が、
荒い。
◆
帰還後。
カインの前に、
立つ。
「……一瞬、
入れ替わりました」
カインは、
黙る。
長い沈黙。
「来たか」
低い声。
「レベル5の
入り口だ」
背筋が、
冷える。
「入れ替わりは、
力が完全に
重なった証拠だ」
「下手をすれば、
お前が消える」
言葉が、
重い。
◆
訓練場。
試す。
短時間だけ。
模倣。
意識を、
保つ。
剣を振る。
視界が、
揺れる。
頭の中に、
別の記憶。
戦場。
炎。
絶叫。
俺のじゃない。
歯を食いしばる。
「戻れ!」
模倣解除。
倒れる。
◆
床に、
寝転びながら思う。
もし、
このまま進めば。
俺は、
カインになる。
それは。
勇者になることか。
それとも。
俺が、
消えることか。
答えは、
まだない。
だが。
止まらない。
止まれない。
その先に。
覚醒が、
あると信じて。




