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第18章 レベル4の覚醒
朝。
訓練場。
誰もいない。
俺は、
一人で剣を握る。
模倣。
カインになる。
身体が、
熱を帯びる。
視界が、
澄む。
だが。
以前のような、
激しい吐き気がない。
「……?」
剣を振る。
速い。
正確。
魔力の流れが、
整っている。
まだ、
完全じゃない。
それでも。
確かに、
違う。
◆
背後から、
足音。
カインだ。
「今、
使ってたな」
「はい」
「苦しくないか」
「……前よりは」
カインは、
目を細める。
「制御し始めてる」
胸が、
高鳴る。
◆
模擬戦。
相手は、
上級冒険者三人。
普通なら、
勝てない。
模倣。
レベル4。
世界が、
静まる。
相手の動きが、
止まって見える。
剣を振る。
一人。
二人。
三人。
倒れる。
息は、
乱れていない。
心臓も、
落ち着いている。
「……負荷が、
ない?」
カインが、
小さく呟く。
俺も、
同じ疑問を持っていた。
◆
その夜。
屋上。
星を見上げる。
模倣しているのに、
「誰かになる」
感覚が薄い。
代わりに。
力が、
体の奥から
湧いてくる。
「カインの力を、
借りている」
というより。
「自分の中に、
ある」
そんな感覚。
胸が、
ざわつく。
もし。
もしこの先、
模倣じゃなくなるなら。
俺は――
何者になる。
◆
カインが、
静かに言った。
「お前は、
俺を越えるかもしれん」
否定できない。
怖い。
でも。
逃げない。
俺は、
剣を握る。
勇者になるために。
そして。
勇者を、
終わらせるために。




