第17章 勇者の重み
拍手は、
いつまでも続かなかった。
人は、
すぐ次を求める。
「もっと強い敵は?」
「魔王軍は?」
「勇者なら、
全部倒せるだろ?」
その声が、
胸に刺さる。
◆
ギルド本部。
依頼書の山。
以前の倍以上。
すべて、
勇者指名。
受付長は、
苦い顔だ。
「休め」
「無理です」
俺は、
首を振る。
「俺がやらなきゃ」
受付長は、
机を叩いた。
「お前が倒れたら、
終わりだ」
言い返せない。
◆
夜。
宿の部屋。
ベッドに、
倒れ込む。
身体が、
動かない。
目を閉じると、
魔物の顔。
剣の感触。
血の匂い。
眠れない。
◆
次の依頼は、
廃鉱山の魔物討伐。
中型以上、
複数。
単独出撃。
普通なら、
自殺行為。
でも。
勇者だから。
◆
鉱山内部。
暗い。
湿った空気。
模倣。
カインになる。
奥から、
魔物が出る。
三体。
同時。
剣を振る。
間に合う。
だが。
四体目。
死角。
避けきれない。
肩に、
衝撃。
血が、
流れる。
歯を食いしばる。
まだだ。
倒れるな。
最後の一体を、
斬る。
膝をつく。
模倣解除。
息が、
できない。
◆
帰還後。
ミレアが、
傷を治す。
「……死ぬよ」
小さな声。
俺は、
目を逸らす。
「それでも、
行く」
ミレアは、
何も言わない。
ただ、
唇を噛む。
◆
屋上。
カインと、
並ぶ。
「後悔してるか」
「してません」
即答。
「でも、
怖いです」
カインは、
頷く。
「それでいい」
「怖いまま、
前に進め」
夜風が、
冷たい。
勇者は、
孤独だ。
それでも。
俺は、
歩く。




