表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

ヒトラー、画家になる

作者: 雨宮 徹
掲載日:2026/01/21

 ヒトラーには、自分の絵画に絶対の自信があった。今までの評論家には見る目がなかったのだ。しかし、今回の展覧会で自作の素晴らしさが証明されるのは明白だった。なぜなら、今回の展覧会では作者の名前は書かれていない。つまり、無名作家にもチャンスがある。今回こそ賞賛されるに違いない。


◇ ◇ ◇ ◇


 時をさかのぼること1か月前。ヒトラーは気づいたら2026年に来ていた。神様のいたずらか、それとも誰かがタイムスリップさせたのか。その理由は不明だった。2026年にいる、その事実は変わらない。


 ヒトラーは自身が悪名高い政治家、敗北者との烙印らくいんを押されていることを知った。そんなことはどうでもいい。問題なのは、自分の絵画が評価されていないことだ。これには我慢ならなかった。


 確かにヒトラーの絵は写実的だ。しかし、写真が発明されなければ、素晴らしい評価を受けたに違いない。運が悪かったのだ。同年代のピカソが有名なのも気に食わなかった。幼稚園児が描いた絵と変わらないではないか。



 しかし、今のヒトラーにとってはどうでもいいことだった。数日前、こんな案内状が届いた。「あなたの絵には素晴らしいものがある。今度、作者名を伏せた展覧会を開きます。ぜひ、出展しませんか」と。ヒトラーには願ったり叶ったりだった。


 今回の展覧会では見学者が気に入った作品に点数をつける、という趣向が凝らされていた。これなら、ヒトラーにもチャンスがある。


◇ ◇ ◇ ◇


 あっという間に選考期間は過ぎ去り、いよいよ大賞の発表日になった。ヒトラーは確信していた。自分の作品が受賞するに違いないと。


 しかし、残念ながら佳作止まりだった。大賞は別人が受賞した。確かにヒトラー自身も素晴らしいと感じていたから、悔しさはなかった。


 後日、受賞作が作者名入りで公開された。さて、大賞を受賞したのは、どこの誰だろうか。純粋な興味から見に行くと、そこにはこう書かれていた。「この作品はAIが作りました」と。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ