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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ブルースター

作者: Arimio

なぜか涙が止まらなかった。

私は、やっぱり彼女が好きだ。













私が愛した人は女性だった。

「早く!もう〜行くよ!」

嬉しそうに君は笑った。

「私たちは『親友』」と、君はいつも言ってくれた。そしてみんなは私たちのことを「不似合いなカップルだな笑」とからかう。対して君は「そんなこと言うなー!」と笑って流す。


いつも心が痛かった。誰も悪くない。


彼らは「不似合い」と言った。そして君は、「カップル」という言葉を否定した。


どちらも当たり前のことだと、ちゃんと理解している。


でも、私は勝手に傷つく。あの一言が出せない私は弱い。

機会はいくらでもあるのに。言葉に出来ない私がいる。あの2文字がどうしても出てこない。










そう。弱い。

愛される資格など、ない。












「らい?お昼!ご飯食べよ!行くよ!」

「ん…?」

「ほら早くぅ!!」

いつの間にか午前の授業は終わっていたらしい。なこが私の手を引いて教室から連れ出す。

彼女は、唯一私がどんな態度を取っても一緒にいてくれた。私はなこ以外とは話さない。…いや、どちらかといえばクラスの誰からも話しかけられることがない…が正しいのだろう。


私は、陰で『冷徹オンナ』と呼ばれている。何を言っても響いた様子を見せず、人の話に相槌も打たず、聞く耳を持たないから、らしい。

しかし私は、相槌を打たない訳でも聞く耳を持たない訳でもない。なこの話はちゃんと聞く。

ただ、全く興味のない人に全く興味のない自慢話を遠回しにされたとて、全く面白くないだけである。


一方のなこは、『学校の天使』と呼ばれている。実際天使なのだ。どこをどう取ったとしても。

ただ、日課のごとく男子に告白されているのに、それはサラッと流し、心に傷を残していく。(一部、そんな一面も好きだとか言うMな人がいるらしい…。)

彼女は、「私よりも、らいとか、もっといい人いるでしょ!」と日々言っており、今まで誰とも付き合ったことはない。



そして、正反対の性格の私にかまってくれる。


「らーいー??ちょっと私の目見て!」


「どした」


「…大好きだよ!」


「…………(///」



反則だ。なこの常套手段。話を聞くだけじゃなくて、私にも話してほしい時によくする。相槌がダメだったか、といつも反省してしっかりとなこの笑顔を見る。




でも、正直なところ、この可愛さに耐えていることは奇跡だと思っている。



「それ、絶対他のやつに言うなよ…」


「別に言わないよ??」


「…………」



思わせぶりも甚だしい…。でも、彼女は振り回されている私に気づいてないんだろうな。










「…ごめん。」


大好きって返せなくて。


「え、何よ、らい!怖い怖い笑」


「、なんでもない」


「ふーん…。いつか絶対言ってもらうもんね!…あ!お昼終わっちゃう!戻ろ!」


「うん、」





昔から私は「大好き」や「好き」が言えない。誰かを縛ってしまうようで、逃げないで、離れないでって言ってしまっているようで。

みんなみんな、軽々と「大好き」「好き」「嫌い」「うざい」…って言う。なんでそう言えるのだろうか。



私は、初めて「嫌い」を言葉にしたとき、泣いた。悔しくて、苦しくて、それしか言えなかった自分が嫌で。

これはその人に直接言った訳ではない。一人の部屋で漏らした言葉だった。

本当の気持ちじゃないと否定したかったが、同時に、自分の中から気持ちの悪い感情が一気に溢れてきて、否定は、出来なかった。


同時に、私は「大好き」を友人に伝えられない。どこかで、線を引いているのだと思う。

自分の心の中に誰かがいるということは、つまり、その人がいないと心に穴があいてしまうということ。それが怖いのだ。





私たちは教室に戻り、午後の授業を受けた。








そして放課後になり、なこから


「ねーねー!このイルミネーション一緒にいこーよ!!」


と誘ってきた。


そこは、いつもカップルで溢れかえっており、毎年ニュースになる場所だった。


「誰も行く人いなくてさ〜、らいと行き」

「行く」


「え!そんなに即答してくれると…思ってた!」


「思ってたのかよ」


「うん!笑 私の大好きな、優しい優しいらいだから。」


「…………(///」



心臓に悪い。





「じゃあ決定!楽しみ〜♪」




本当に罪深い。今私に向いている視線は数え切れない。


嫉妬、嫌悪、憎悪、侮蔑。

学校の天使に何故お前が関わっているんだと。


天使に冷徹は関わってはいけないというルールが存在するかのように。












イルミネーションに行く当日。


私は彼女の家まで迎えにいった。



「ほんとごめん!待たせちゃったよね…!いこ!」


なこは、黒のロングブーツに黒いタイツを履いての短い茶色のスカート、ふわふわの白いニットに茶色のマフラーで家から出てきた。








正直言って可愛すぎる。




誰にも見せたくなくなってしまう。











「きれい〜!!」

そう言って君ははしゃいだが、私に気を遣っているのか、一向に写真を撮ろうとはしない。


彼女は私が写真を撮ることがあまり好きではないことを知っている。

なぜ写真を撮ることが好きではないかというと、誰かと共にいる、2度と訪れないかもしれない時間を、写真を撮るという時間に費やしたくないからだ。もう後悔しないために。





相手が想い人なら尚更だ。









そして、イルミネーションを一通り見終わると、


「イルミネーション楽しかったねー!!ありがと!ついてきてくれて!だいぶ遅くなっちゃったね」


「…もう、帰ろっか」


そうなこが言った。

どこか切なそうな、でも満足した顔に対して、私はどうすればいいかわからなかった。

ただ一つ言えたのは、私はまだ満足できていなかったということ。自分が満足するために。今の自分にけじめをつけ、終わるために。自分勝手ながらも、私は今だけ今だけ、と想いに身を任せることにした。


「なこ」


「うん?どうしたの…?」



軽く唇にキスをした。

後から、やっぱり傷つけてしまったかもしれないと怖くなって、彼女の顔を恐る恐る見た。


しかしそこには、真っ赤な顔をして、茶色のマフラーに顔を半分以上うずめ、目を潤ませているなこがいた。



「あ、いや、あの、ごめん、ちょっと、おかしかった。ごめん、本当に、」


好きでもないやつに、勝手にキスされて気持ち悪いよな、、覚悟したものの自分に後悔する。


でも、このままじゃなこを不安にさせて終わってしまう。


やっぱり、伝えなきゃ、いけない。




「…急にしたことは心から謝る。でも、気持ち悪いかもだけど、私は、」


「私は、…なこが好きです。初めて話してくれた時からずっと。どうしても好きで、なこにとってもよくな」

「いい。」





「ん?」


「だからいいの。泣いたのは、らいのせいじゃないよ。あ、嘘じゃないよ?」


そう、泣きながら言った。そして、


「ねえ、、らい。私は、らいのことが、多分、誰よりも好きです。いつもらいに言ってた『大好き』は本物だよ?嘘だと思ってたでしょ。私ね、初めてらいの声を聞いたあの時、らいに一目惚れしたの。」

「だから、付き合ってください。」


泣きながら言われて、驚いた。


私も泣いてしまっていた。




「ね、なこ、ほんとに嘘ついてない?冗談とかドッキリとか、。ほんとにいつもの夢じゃない?」


「え、らい、いつも私の夢見てるの?かぁ〜い〜。ふふ。嘘じゃないよ。」











「「ありがとう」」




2人の声が重なった。その瞬間、とても幸せだった。私を愛してくれる人がいるんだと、そう、安心できた。



「なこ。大好きだよ。」


「//////……らいが大好きって言った……?」


「なこは?」


「へ」


「なこの好きもほしーなー」










「仕返し…!」

今度はなこからキスされた。

そして、お互いに泣きながら、複雑な思いも日々も、面倒で嫌なことも全て忘れて笑い合った。





なこが泣き疲れた様子で、


「…もう、いつまで泣いてるの、っん」


「ん」


今度は私から。長いキス。さっきよりもずっと長く。両手を絡ませハグをしながら。




「幸せだから、かな」


「んん〜!!!…もう!」






なぜか涙が止まらなかった。

私はやっぱり彼女が好きだ。

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