95話 俺がこのゲームを好きになったきっかけ
「今日の文化祭……一日目はこれにて終了となります。みなさん今日はお疲れ様でした……明日も引き続き頑張りましょう!」
俺と中川さんそして、月野さんも合流して三人で回っていたところ、校内アナウンスで生徒会長が文化祭一日目の終了を告げた。
「今日の文化祭楽しかったね! 二人とも!」
月野さんはなんだか満足そうな顔をしている。
俺たちはそれからクラスのみんなが集まっている仮の教室《空き教室》へと足を運んだ。
「お前らお疲れ様!! 明日は一般公開だから明日も今日同様頑張ろうぜ!!」
教室に着くと北原が疲れているような感じだったが俺たちにそう呼びかけた。
明日は一般公開……すなわち文化祭の劇ある。
俺たち劇をするグループは放課後残って最後の練習を展開していた。
「明日の文化祭劇頑張ろうね!!」
「うん……俺なんだか今から緊張してきたよ……」
「きっと海人なら大丈夫よ私が保証する!」
俺たちは家に帰ると一緒にソファに座って会話をする。
「中川さんは緊張しないの?」
「私はまだしないかな……でも多分明日になったら緊張しちゃうと思うけど……」
「そっか……」
俺がそう言葉を漏らした直後、中川さんが俺の頭を触ってきた。
「ちょ……え? どうしたの?」
「よしよし……頑張れ! 頑張れ!」
俺は中川さんに頭をよしよしされた。
なんだろう……緊張がどっかに行ってしまった……そんな感じがした。
「その……なんかありがとう……」
彼女は俺の頭から手を離して、笑顔を見せた。
「うん!! 文化祭が終わったらお疲れ様会でもしよか!」
「そうだね……それに文化祭が終わったら修学旅行があるのか……」
「修学旅行ってどこ行くの?」
「いや……わからないけど……」
そういや生徒会長が自分が二年生の頃、修学旅行でUSVに行ったとか言ってたけど、去年と同じなら大阪方面に行くのか? まだどこに行くのかはわからないけど
「そうなんだ……なんだか楽しみだね! 修学旅行!」
「その修学旅行の前に明日の文化祭の劇が待ってるけどね」
そして次の日……俺たちは学校に到着した。
「おう! 山田……中川さん! 今日劇が午後一時三十分からだから! 遅くても午後1時には体育館前に集合してくれ!!」
仮教室に入ると北原が俺たちにそう呼びかけてくる。
「わかった……今日の劇頑張ろう!」
「わかったよ! 北原くん!!」
俺たちは返事をして、文化祭が開幕するのを待った。
「なあ、お前昨日はどうだったんだよ? 橘さんと一緒に回って」
「え……まあ、昨日は結菜に振り回さればっかだったけどな……まあ、昨日は昔をみたいになんだか楽しくてよ! なんだか振り回されるのも悪くないって思ったな」
「それはよかったな……」
俺と正孝はは今文化祭を二人で回っていた。
中川さんたちは今日の午前は友達たちと回るため俺たちとは別行動だった。
今日は一般公開ということもあり、人がたくさん来ていて学校中で和気藹々としていた。
「今日はクイズ大会とかあるのか?」
「いや……今日は開催しないらしい……
そっか……クイズ大会は昨日限定なのか……
俺は廊下をを歩いているとある一人の女の子と肩がぶつかる。
「あ……ごめんなさい……肩がぶつかっちゃって……」
俺はその女の子に謝罪をした。
他校の人だろうか……うちの制服とは別の見慣れない制服を着ていた……
「……お前……や、山田……」
「え? 山田?」
俺はその女の子がいきなり俺の名前を言うのでびっくりする。
なんで俺の名前を……知ってるんだ?
「あの……あなたどこかで俺と会ったことありましたっけ?」
「…………なんでもない」
「あ! ちょっ!?」
俺が彼女に疑問を問いかけると、彼女は一言言い残し、走ってどこかに行こうと走り出した。
「待って!!」
俺はそう言って、彼女の後を追った。
何故彼女を追いかけたか……それは彼女の顔に俺は見覚えがあったから……
ーーそれは中学二年生の頃に遡る。
俺は授業終わり帰る準備をしていると一人の同じクラスの女子に話しかけられる。
「お前名前山田だっけか? 前々から思ってたけどお前ってやっぱり岡村に似てるな!」
「え? 岡村って?」
俺はいきなり岡村に似て言われて疑問を全開にする。岡村……芸能人だろうか?
というよりこの子は確か……同じクラスの吉沢花音と言ったっけ
「お前私立金森学園ってゲーム知ってる?」
「ごめん……わからないよ……」
俺は吉沢さんにそう聞かれたがそのゲームのことを知らなかった。
「知らないか……このゲームは魅力的なヒロインがたくさん登場するギャルゲーでな!! お前にさっき言った岡村っていうのはそのゲームの主人公でその岡村がお前に似てるってわけ!」
「いや……わかんないでしょ……俺は3次元でその岡村は二次元だからわかんないでしょ……」
「いや……そもそも雰囲気がそっくりだ!!」
「雰囲気って……あはは」
「私はあのゲームの推しは主人公は岡村でな! もしゲームの世界から岡村が出てきたら私は即アプローチして結婚してやるぜ!!」
「そんなにそのキャラが好きなのか……」
それからそのゲームの魅力的を吉沢さんが嬉しそうに俺に語ってきた。
「あれ? 悪いもうこんな時間になってしまった……付き合わせて悪いな山田……」
「いや……俺もなんだか話を聞いてやりたくなってきたよ……」
「そうか!? じゃあ今度貸してやるから! 試しにやってみ!!」
俺はその吉沢さんとの出会いをもとに私立金森学園物語のことを知って、三葉桃子や中川鈴音を知ることになる。
それから俺は放課後吉沢さんとあのゲームの話をよくしていた。
気づけば俺は吉沢さんと同じぐらいあのゲームのことが好きになっていた。
「お前あのゲームに推しとかいるのか?」
「え? うん……三葉桃子……」
「桃子か……いい奴だなあいつは……なんだか意外だな……お前はなんとなく中川鈴音のこと推しになる思ったけど」
「中川鈴音か……彼女も優しくて可愛いけど……俺はあんまり惹かれなかったな……」
俺たちは放課後よく図書室でそんな話して時間を過ごしていた。
彼女が中学二年生の冬……遠くの学校に転校してしまうまでは……
彼女と色々話すのはとても楽しかった。
俺は何故こんな大切なことを忘れていたのだろう
「ちょっと吉沢さん……待って」
俺が彼女に声をかけると彼女は動きを止めて反対を振り返り俺と向かい合わせになった。
「山田……お前に一つ頼みがある……」
「頼みって?」
「鈴音……中川鈴音に巻き込んじまってごめんって伝えてくれないか……」
「巻き込んでってどういう?」
俺は吉沢さんが言った意味がわからなかった。
「頼んだぞ! 山田……」
「え? 吉沢……吉沢さん……」
彼女は俺にそう言い残すと、その場から姿を消した。
彼女が姿を消す前、彼女が右手に付けていた珍しい時計が光った気がしたが、俺はなんだ?
それに、今の彼女の感じは根石さんの時とまったく同じだった。
「もしかして……吉沢さんってゲームの世界から来ていたのか?」




