81話 文化祭の劇
次の日……
昨日はお昼休みからいきなり中川さんの調子がいつものように戻ってきたが……中川さんは一体どうしたんだ?
俺は教室の机に座りながらそう思う。
今は文化祭の話し合い……大塚さんが脚本のプロトタイプを持ってきて、それを元に今……劇……イチゴ姫と勇者サカナギの配役を黒板に書いている。
「まぁ、これが大まかな登場人物と言ったところね……」
黒板に続々と脚本に書いてあるキャラクターの名前を書いていた、副学級委員の相沢さんがそう呟く……
「それじゃ、今から役が決めを行うけど、劇でこの役やりたい! って人! 手を挙げてもらえるかしら……」
相沢さんが俺たちにそう呼びかけると、相沢さんの横にいた北原が手を挙げる。
「はい! はーい!! 俺魔王役に立候補しまーす!!」
「北原くん……わかったわ、他に誰か魔王役やりたいって人いる?」
北原が我先にそう言ったので、相沢さんが他に魔王役をやりたい人がいるかどうか呼びかけた。
「…………」
「では、北原くん……よろしくね!!」
クラスのみんなから誰も魔王役の立候補が出なかっため、北原に決まった。
「みんなー!! 俺が魔王だーー!! あはははははは!!」
すると北原が魔王役に決まった嬉しさからそう叫ぶ。
そして、クラスメイトから拍手が上がる。
てっきりこいつは勇者あたりを立候補するかと思ったが、違ったのか……
「じゃあ、次……」
そう言って相沢さんは黒板のイチゴ姫の名前を手で叩く。
「今作のヒロイン……イチゴ姫……誰かやりたい人いる?」
相沢さんが俺たちに呼びかけると、一人手を挙げた生徒がいた。
「私やりたーい!!」
その生徒は中川さんであった。
「中川さん! やってくれる?」
「うん! 私、この前、イチゴ姫ちゃんのこと漫画で見たけど、すごいかっこよかったからやってみたい!!」
「では、他にイチゴ姫やりたい人いる? いなかったら中川さんに決まるけど……」
「…………」
北原同様、相沢さんが俺たちに呼びかけるが、誰も他にイチゴ姫をやりたい人はいなかったので、中川さんに決まった。
「イチゴ姫! 私がんばりまーす!!」
中川さんが元気よく決意表明をすると、クラスから拍手が巻き起こった。
イチゴ姫って……めちゃくちゃ美少女だから同じくめちゃくちゃ美少女である中川さんが演じるにはもってこいの役だな……
「ふむ、順調そうね……」
イチゴ姫と魔王が立て続けに決まって行ったため、相沢さんが嬉しそうにそう言葉を漏らす。
「それじゃあ、次……勇者パーティの女騎士……セーナ役……誰かいるかしら?」
次は相沢さんはサカナギの勇者パーティの女騎士……セーナ役の募集を始める。
「はい! はーい! 鈴音が姫様やるなら! わたしセーナやる!!」
月野さんが勢いよく手を挙げて、席を立ち上がりそう言った。サーナね……セーナって確かめっちゃくちゃ強いんだよな……しかも人気高いし……
「月野さん……それではお願いできるかしら?」
「うんうん!! わたしがんばるね!!」
先ほどの二人同様……月野さんの他にセーナ役を立候補する人がいなかったので、月野さんに決まった。
それから……勇者パーティの魔法使い……バリナタや勇者パーティの弓使い……テラ……勇者パーティの僧侶使い……マナ……と続々と配役が決まっていく……
「それじゃあ、最後は勇者サカナキね……」
先ほど、僧侶使い、マナに立候補した相沢さんがそう言った。
「誰か立候補する人はいるかしら?」
相沢さんが俺たちに呼びかける。
俺はそんな事を思っていると、クラスメイトから誰も立候補者が出なかった。
やっぱりイチゴ姫を中川さんが、セーナを月野さんが演じることになったので勇者は荷が重いのか……
「ふーん、どうするかしら……これ……」
「それじゃあ、くじ引きあたりで決めるか?」
相沢さんが悩む表情で言うと、横にいた北原がそう口にしたので、クラスメイトからやめてくれみたいな雰囲気が出でいた。
「それじゃあ、この人が勇者サカナギに適任とか、誰か推薦とか、そういう人はいないかしら?」
しびれをきらした相沢さんが俺たちに問いかける。
「はいはーい!! わたし! 勇者サカナギには、山田くんを推薦しまーす!!」
すると、月野さんが席を立って、前にいる北原と相沢さんの二人にそう言った。
山田くん……山田!?
俺はびっくりして、月野さんの方を見る。
すると、月野さんはこっちを見てウインクしてくる。
え!? うえ!?
おいおい……マジかよ……
「私も! 勇者に海人を推す!!」
すると、それに追い打ちをかけるように中川さんが席を立ってそう言う。
中川さんまで……やめてくれ……
俺は頭を抱える。
「……頼む!! 山田! やってくれないか?」
北原が俺の席までやって来た、俺の肩を掴む。
俺はそれからしばらく考えた。
「……わかったよ……でも、あんまり期待しないでくれ……」
俺は仕方なく折れて、北原にそう言った。
こうして、勇者……主人公役に俺がなった。




