7話 君はゲームとはまた違った印象で魅力的に見える
俺たちが教室に戻ってから二時間ほど経過した頃、俺たちは今六時間目、体育の授業に勤しんでいた。
俺たち男子はバレーボール、女子はバスケットボールを体育館コートの半々で分け、それぞれ半分ずつ使い授業を行っていた。
「おい! あれ見ろよ!!」
「やべ〜可愛いだけじゃないとか最強じゃないか!」
俺は横にいた男子たちが女子の方を見ながらそう呟くので、俺は気になって女子の方を見た。
中川さんってもしかしてバスケ部だったのかな?と俺が思ってしまうほどの運動神経の良さで動いていて、バスケットボールを受け取るとドリブルをついて走りながらフェイントを駆使して次々と相手を抜いて、ゴールの前にくると、レイアップシュートを披露して点を決めた。
かっこいい……俺はそんな彼女にしばらくに見惚れていた。
「はーい! 今からちょっと休憩時間だ! みんな最近暑くなってきたから水分休憩しとけよ!」
体育の先生が俺たちにそういうと、俺は飲み物を一口飲むと、体育館の近くにある水道水がでる吐水こうへと向かった。
しばらく水道水で腕や足などを冷やしている俺との横にある一人の生徒がやってくる
「あれ? 山田くん?」
「中川さん?」
中川さんは俺と同じく水道水で肘を冷やし始めた。
「怪我でもしたの? 山田くん」
「いや、違うよ、ただなんとなく熱いから足でも冷やそうかと。中川さんは?」
「そうなんだ、さっき……ボールでちょっと擦りむいちゃって、水で洗おうかと」
「大丈夫?」
「うん、ありがとう……」
俺と彼女がそう話をすると、しばらく沈黙の時間が訪れた。
そして、その沈黙を破るように中川さんが口を開く
「ごめんね、さっきの授業中。山田くんに手を振っちゃって……」
「え?」
「だって、私に学校で関わって欲しくないんでしょ、だからごめん」
中川さんは俺にそう謝ってきた。
なんで彼女はいきなりそんなことを。
——……だって、一緒に登校してるとこ見られて、あらぬ噂を立てられるの……中川さんも嫌でしょ——
すると、俺は朝投稿する時にマンションを出てすぐに中川さんに言った一つの言葉を思い出した。
もしかして、あの発言が、あれはあくまでいきなり朝一緒に登校したら騒ぎになるからやめようって意味で別に関わんないで欲しいって意味じゃないわだけどな。
だから食堂の時などもそっけなかったのか。
「違うよあれは登下校の話であって、俺は別に学校で関わんないで欲しいって意味じゃないんだ!」
「じゃあ! これからは学校で普通に話しかけていいのね!」
「うん」
近い、俺は彼女が俺の想定する倍以上俺に近づいてきたので俺はびっくりした。
てか、中川さんは本当になんていうか可愛いな。
「じゃあさ! 明日から登下校も一緒にしようよ!」
「え? 登下校?」
「嫌なの?」
中川さんは不満そうにそう言った。
俺は全然いいんだけど、中川さんの迷惑に。
いや、違うな、俺はなんだかんだ言って中川さんと一緒に登下校しているところを誰かに見られて騒がれることが嫌なだんだ。
中川さんにあらぬ噂を立てられるのは嫌でしょ? とか言っときながら、結局自分が目立ちたくないだけなんだ。
でも彼女がせっかく俺と登下校したいと言ってくれてるのであれば俺はその思いに応えなければならない。
「うん、わかった! いいよ!」
「やったーー!!」
中川さんはとても嬉しそうな顔をしてそう言った。子供みたくうれしさ全開ではしゃぐ彼女はなんだか俺のゲームで見る彼女との印象とかけ離れてとても魅力的に見えた。
「あ、そうだ、今日の買い物の件なんだけど……」
「うん! 楽しみ!!」
「俺、玄関で待ってるから準備が終わったら玄関に来て欲しい……そこから一緒に行こう」
「うんうん、わかったー! 楽しみだな! えへへ」
それから、俺たちはそう話をして体育館に戻った。
そして、放課後。
俺は彼女を待つために生徒玄関に立って彼女が来るのを待っていた。