64話 ショートケーキ
くは! やっと終わったー!」
俺は前の月曜日から一週間が経っての金曜日……ようやく中間テスト全日程が終了して思わずそう声を漏らす。
俺はテストを乗り越えたぞー!!!
「ようやく終わったな! 海人!!」
テストが終わって安堵していると俺の机に正孝がやってきた。
「あぁ……ほんとに疲れたよ……」
「ところでよ! 明日……「モオン」に行く時によ……ちょっと「モオン」に言った後お前の家に行っていいか?」
「え? 別に構わないけど……」
「よっしゃ! お前の家久しぶりだな! 俺が「アニマルクエスト」の事いろいろ教えてやるよ!」
そう正孝が嬉しそうに言った。
そういえば……中川さんがこの世界に来てから俺の家に来るのは初めてか……中川さんも月野さんの家で遊ぶと言っていたから時間をみれば万が一にも正孝と中川さんが鉢合わせするなどという緊急事態も起きないだろう……
放課後……
「ねぇ、中川さん……よかったらこの後ケーキでも食べに行かない? 中川さんには中間テストでいろいろお世話になったからそのお礼で俺がなにか奢りたいから……」
「え? ケーキ?」
「だめかな?」
「いいよいいよ!! 食べに行こう!! てか、奢るなんて悪いよ……もう、私バイトしてるんだし、私が自分の分は出すよ!!」
「いや、いいよ! ここは俺に奢らせて……」
「……わかった……ありがとね……えへへ!」
俺がそう言うと彼女は納得したように笑顔を見せた。ほんとに君はよく笑うな……この笑顔思わず守ってあげたくなるほどの笑顔だ……
そして、俺たちは学校近くのケーキ屋に到着した。このケーキ屋さんは内装外装共におしゃれなこともあり俺たちの学校では有名なケーキ屋さんである。
「ここが? ケーキ屋さん?」
「そうだよ」
そして、俺たちはケーキ屋さんの中に入りケーキが並んでいるレジ横の棚を見渡した。
「わあ〜どれも美味しそう!!」
「なんでも好きなの頼んでいいから!」
彼女はケーキ屋さんのレジの横にあるケーキが並んでいる棚を眺めながら目を輝かせていた。
「どれも美味しそう……あ! 私これにする! ショートケーキ!!」
すると中川さんはショートケーキの方をみながらそう答えた。
「ショートケーキいいね! 俺は……生チョコケーキにしようかな……」
俺は生チョコケーキを、中川さんはショートケーキをそれぞれ頼んだ……
「よっこらしょっと……」
俺はそう言って空いてる席に腰を下ろす。そして、先ほど買ったケーキをテーブルに置いた。
「ねぇ! 海人!! もう食べていいよね!!」
「うん! もちろん」
彼女は目の前にあるショートケーキに我慢ができないのか俺にそう言って来た。
本当に美味しそうだ……
「いただきまーす!!」
彼女はそう合唱をしてショートケーキを一口口の中に入れた。
「はむ……むぅ……幸せ……」
彼女はショートケーキを口の中で味わうととても幸せそうな表情をした。
ほんとに幸せそうに食べるな……俺はしばらくほっぺを抑えて美味しい気持ちを爆発させている彼女のことをじーと見ていた。
「どうしたの? 私の顔ばっか見て……?」
「あ! いや……幸せそうにある食べるなって」
「だって、こんなに美味しいんだよ!! 感謝感謝!! はむ……むぅ〜〜!! おいしい!」
彼女は俺にそう言つつもさらにショートケーキを口に含んで美味しさをあらわにした。
そんなに美味しいのか? ショートケーキ……
俺はそう思いつつ、自分が頼んだ生チョコケーキを口に含んだ。
むぅ〜確かに美味しいな……
「海人!! その生チョコケーキ一口ちょうだい!」
「え? じゃあ……はいどうぞ……」
俺は彼女が一口欲しいと言うので、テーブルに置いてあったスプーンを一つとって彼女に差し出した。
「なに? これ?」
「その……チョコレートケーキ一口食べるようの……スプーンだけど」
言えない……このままでは間接キスになってしまうなんて恥ずかしくて彼女には言えない!!
「なんで! 私このスプーン違うから大丈夫だよ!! えい!!」
「あ!」
すると、俺が油断した隙に俺のケーキに彼女がスプーンを手に取って一口救って口の中に入れた。
「う〜ん! おいしい!!」
う!? まぁ、彼女が気にしないなら俺も気にしなくていいか……俺は彼女のすくったことによってできたケーキの穴を見てそう思った。
「はい! どうぞ! あーん!!」
「ん?」
すると彼女は自分のショートケーキを自分が使っていたスプーンで一口分とって俺に差し出してきた。
「ん?」
「どうしたの? 早くお食べ!!」
「ん?」
彼女はそう言って俺にスプーンをさらに近づけてきた。
えぇーー!?!?
「なにやってるの? 中川さん……?」
「なにって……私も一口もらっちゃったから海人にも私の一口あげようと思って……」
「それはわかってるんだけど……これはなに?」
俺がそう聞くと彼女は説明をし始めた。
中川さんは俺の口の前に自分が使っていたスプーンをもってくるとあーんと声を漏らしてきた。
「え? あ! これ? これは、この前テレビでね女の人が男の人に一口あげる時にはい! あーん! とか言いながらこんなふうに一口あげてたから私も真似してみたの!!」
「え? …………!?」
俺は今混乱していた。
それってドラマじゃないのか?
「早く!! 早く!! 海人!! あーん!!」
落ち着け……たかが間接キスだぞ……何も恐れることはない……たかが……うん、たかがだ……
俺は背に腹は変えられないと思い口をゆっくりとあげた。
そして、彼女はケーキの入ったスプーンを俺の口の中に入れた。
「どう? 美味しい?」
「おいしい……よ」
俺は中川さんと間接キスしてしまったことによる動揺で、もはやショートケーキの味など感じられなかった。
やっぱり月野さん然り中川さん然り……間接キスはドキドキしてしまうな……




