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63話 自習時間にて……

 今日のこの時間は中間テスト前なので自習とします! みなさん数学に自信がある人は数学以外も勉強しても構いません……席を立って他の友達に教えに行くのもありです……それではみなさん勉強頑張ってください……」


 そう数学の先生が告げた。

 今日は月曜日……中間テストまでついに一週間をきってしまった……


 くぅ〜眠い……

 昨日夜遅くまでゲームなんてやらなきゃよかったな……

 それに……俺がゲームに熱中してる時も中川さんは黙々と勉強してるだもんな……偉いな本当に……俺も見習わなきゃなっていつも思うんだが……やっぱりゲームしてしまうんだよな……


「よぉ……海人! 元気か?」


「これが元気に見えるか?」


 俺は自分の席にやってきた正孝にそう答えた。全く逆にこいつはなんで元気なんだ?


「すごい眠そうだな……なんかあったのか?」


「正孝……忘れたのか? プリンファンタジーで半年に一回のフェスやってたじゃないか昨日……」


 プリンファンタジーとは、四対四のチーム戦で行われる対戦アクションゲームだ。

 そして、そのゲームはなんと半年に一回行われるフェスがなにより熱い……

 俺は昨日フェスに熱中しすぎて隣にいた中川さんに心配されるレベルだった。

 おかげで今日は寝不足だよ……


「やべ! 忘れてた……お前言ってくれよ〜」


「お前には昨日いや……一昨日かOINEでメッセージ送ったはずだぞ?」


「……ほんとだ気づかなかった……悪いな」


「別にいいけど……てか、正孝はこの土日なにやってたんだ? まさか……勉強か? いや、それはないな流石に……」


 俺がそう正孝に問いかけると正孝は「おい!」と小さく呟いた後、腕を組んで満足そうな顔をした。


「俺は「アニマルクエスト」をやっていたよ!」


 ……あ、そういえばこの前「モオン」で正孝と一緒に買ったあれか……やべぇー俺まだ俺三章だわ……あいつに言ったら早く進めろって怒らたりするかな?


「お前今ハマってんのか? そのゲームに」


「あたぼうよ! それに、俺はもう一度全クリをしている」


「全クリってストーリクリア?」


「違う……サブクエストも武器も敵の図鑑マップも全部埋めた……あのゲームでやり尽くせる全てを俺はクリアした……」


 おいおい、まじかよ……言っとくけどあのゲーム相当ボリュームあったぞ……それをわずか二ヶ月で……


「すごいね……」


 俺は率直に正孝を褒めた。


「なぁ、海人……お前も一緒に買っただろ? お前今どこまで進んでる?」


「え? 確か……三章の勇者がドラゴンを倒すのにはひかり姫の力が必要とか何とかって所……」


 あそこ……ひかり姫が見つからなくて今止まってるんだよな……あの姫一体どこにいるんだー!!


「お前! まだまだじゃないか! よし! 今度俺がお前にいろいろ教えてやる! 強い装備の隠し場所とか……」


「まじ! それは助かる……」


 そう会話していると正孝が「アニマルクエスト」で魔法使いが魔法を放つ体制と同じポーズをした。


「いいか! 海人!! 俺はもうこのゲームをやり込みすぎてこんなことも真似できるんだぜ!」


 すると正孝は魔法の杖を教科書にたとえて魔法使いと同じポーズを取り出した。


「くらえ!! ファイヤークロス!!!」


 正孝は後ろを振り返り教科書を真っ直ぐ突きつけた。

 するとそこに先生がいて教科書は先生の腹に直撃した。

 先生はうっ! と声を漏らし正孝の顔をガン見した。あ……これ先生は痛いし、正孝はやばいやつだ……


「……おい! 田中……なにをしている?」


「いえ……これは……」


 正孝は先生に問い詰められて冷や汗をかいている……先生の様子を見るとずいぶんご立腹のようだ……それはそうだ……先生いたかっただろうな正孝が振り下ろした教科書あれ結構威力あったぞ……かわいそうに……


「先生……あなたは……一人のためいや……誰かのために世界を救おうと決意したことはありますか?」


「は?」


 おい! 正孝……お前なにを言うつもりだ?

 先生は正孝の発言を聞いてマジで意味不明な顔をしていた。

 それ以上はやめとけ!!


「僕にはわかるんですよ……彼の……勇者の気持ちが……愛するみかん姫のために世界を救おうと足掻くその姿はまさに勇者そのもの……なんです!」


「…………」


「僕も色々みてきました……彼と世界を……この世界は美しい……そして、みかん姫はそれ以上にお美しい……僕は勇者を応援している……いや、僕は勇者そのものなんです! この卵焼きの地とみかん姫を守るため俺は戦う……勇者と共に……」


 おい! 正孝!!


「おい! 田中!! お前は後で職員室に来なさい」


「すいましぇん……」


 俺は正孝が先生にそう謝るのを目にしておでこに手を当てた。

 言わんこっちゃない……


 ……そして学校が終わって帰り道


「中川さん……そういえばさ……来週テスト終わりの土曜日にさ……正孝と遊ぶことになったんだよ……」

 

 俺はさきほど正孝とそう約束したため、横に一緒に歩く中川さんにそれを伝えた。


「そうなんだ! 私もね!! その土曜日雫と結菜と雫の家で遊ぶことになってるんだ! えへへ! 一緒だね」


 ……中川さん

 彼女がそう言って見せる笑顔はまさに中川鈴音だった。


「海人は、勉強大丈夫なの?」


 彼女は心配そうに聞いてきた。ほんとは勉強大丈夫って胸を張って言いたいのだが、残念ながら勉強大丈夫じゃないのよ……俺は勉強が大の苦手っちゅうか……ほんとにやる気が出ないのよ……


「うん……と言いたい所だけど……全然大丈夫じゃないかも知らない……」


「そんなこと言わないでよ! 私が海人に勉強みっちり教えてあげるから! 安心して」


 中川さん……一学期の期末テストのみならず今回も教えてくれるというのか……


「あ、そうだ、そこにあるコンビニよってアイスでも買わない?」


 俺は歩いている目線の先にコンビニを発見してそう言った。

 あのコンビニを見ると、夏休み前一緒にからあげちゃんを食べたことを思い出すな……

 あの時確か中川さんからあげちゃんを美味しい美味しいって行ってめちゃくちゃ食べていたんだよな……


「ん? どうしたの? 海人なんで笑ってるの?」


「いや……なんでもないよ! 中川さんいつもありがとね!」


「……もう! いきなり感謝する海人の変なの!!」



 中間テスト頑張ってみるか……

 俺は夕日に照らされて幻想的な光に包まれている彼女の笑顔を見てそう思った。

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