60話 君のことはなんだかほっておかないから
「じゃあ! 海人! 私バイト行ってくるね!」
「うん! 頑張ってね!」
体育祭が終わってからの月曜日の午後……家に帰ってから中川さんがバイトのため今出かけようとしていた。
「じゃあ、行ってきまーす!!」
「ああ! いってらっしゃい!」
俺は玄関に行って彼女にそう挨拶をした。
そして、彼女は外へ出かけに行った。
「さてと、テレビでも見るか……」
俺は玄関から帰ってきてリビングのテレビをつける。
「今日の夜から明日未明にかけ発達した積乱雲の影響で局地で大雨が降る予想です」
「今日大雨降るかもしれないのか……今は雨の一つも降っていないなに……そういえば、中川さん傘持ってなかったけど大丈夫かな?」
俺はたまたまつけたテレビが気象情報をやっていたためそう心配の言葉を漏らした。
中川さん……大丈夫かな……
ーーそれから中川さんのバイトが終了する午後九時がやってきた
うわ、雨すご……本当に大丈夫かな……
窓の外を見ると、さきほどの気象情報どおりに今外では大雨が降っている……
俺は心配になり中川さんにOINEにてメッセージを送る。
(かいと) 傘持って行ってないけど大丈夫? よかったら俺傘持ってバイト先まで迎えに行くけど……
俺はそう彼女に返信したが、しばらく経っても反応がなかった。
「おい……本当に大丈夫か?」
俺は心配になって、傘を二本取って急いで家から飛び出した。
俺は大雨の中傘を差してもう一本の傘を手に持って走る。
足元ではみずしぶきが一歩足を踏み出すごとに音を鳴らす。
「っ!? ……中川さん!!」
すると俺はあっちの方から走ってくる人影が見えた。
よくよく見るとその影は中川さんだった。
「やま……海人!!」
彼女は俺の名前を呼んで俺のところに駆け寄ってくる。
「ちょ! 中川さん……体びょびょじゃん……」
「えへへ、傘忘れちゃったから……」
彼女の体は雨でめちゃくちゃ濡れていた。
やばい早く温まるところに行かないと……これ風邪ひいちゃうぞ……
「とにかく! これ! 傘!!」
俺は彼女に傘を差し出す
「ありがとう!! もしかして、私のこと心配して来てくれたの?」
彼女は傘を差しながら俺に聞いてきた。
心配に決まってるだろ……君のことはなんだかほっとけないんだから……
「今はそんなことより! 早く帰ろう!! 風邪ひいちゃうから!」
「うん……そうだね」
俺は彼女が風邪を引いたら行けないので若干早歩きで家に向かった。
家に着くと俺はタオルを彼女に渡した。
もちろん体を拭くためだ……
そして、彼女は濡れた服を着替えるために脱衣所に入っていった。
俺はその間に体が温まるようにホットミルクを用意した。
「海人……着替え終わったよ!!」
「じゃあ、これ!」
「なにこれ? 暖かい飲み物?」
「うん! ホットミルクだよ! 飲んだらあったまるよ!」
俺は着替えが終わった彼女にホットミルクを渡した。
「あったか〜い!!」
彼女はホットミルクを一口飲むとまるで寒い冬の時期にストーブの周りに来てヒーターに温まってる時のような表情をしていた。
「これ! 甘くて美味しいね!」
「まぁ、砂糖とか牛乳とか入ってるからね!」
「だからミルクなのか!!」
彼女はホットミルクを飲み終わると満足したような表情をして見せた。
ひとまず彼女が温まってくれて一安心か……
「中川さん……どう? 少しは温まった?」
「うんうん!! おかげさまで!!」
「それはよかった!!」
とりあえず彼女が温まったみたいで本当によかった……
次の日の朝……俺たちは学校へと向かうために登校していた。
「……くしゅん」
横で一緒に歩いている中川さんが可愛らしいくしゃみをする。
「中川さん……大丈夫?」
「うんうん、大丈夫だよ、ちょっとくしゃ……くしゅん」
彼女は喋ってる間もくしゃみをした。
全く……心配だ……風邪ひいてないといいけど……
もう俺と彼女は学校の前で別々に別れて教室に向かうという今までの学校登校のスタンスを変えていた。俺と彼女はもう友達としてみんなに周知の事実として知られているので俺たちはもう普通に別れもせず教室まで行くようになっていた。
そして、二時間目終わりの休憩時間……俺は喉が渇いたため、自動販売機に向かう。
学校一階にある自販機に到着すると同じく自販機に来ていた中川さんと遭遇する。
中川さんの手には暖かいお茶のペットボトルと暖かいコーンスープ二つを手に持っていた。
「あ、海人! 海人も自動販売機買いに来たの?」
「うん! なんか喉が渇いたと思って……中川さん昨日のホットミルクから温かいものにハマったの?」
「ううん、なんか今日寒くって……」
「大丈夫? やっぱり風邪引いたとか……」
「違うよ! 全然私今ピンピンしてるよ!! ほら! この場で一回転もできるし!!」
「そうか……でも、なんかあったら言ってね」
「うん!! じゃあ! 私先戻るね!!」
そう言って彼女は帰り際にくしゃみをして教室へと戻っていった。
彼女はそう言うが俺はなんだか心配だな……
今日の午後は体育があり、グラウンドを走る内容だった。全く……体育祭が終わったというのになぜ走らなければ行けないんだ!! などと正孝が吠えていたが俺は中川さんの事が心配でそれどころではなかった。
家に帰ると中川さんが夕飯の準備をしようとキッチンに向かった。
すると、中川さんはキッチンに向かう途中に倒れ込んだ。
「な、中川さん!?」
俺は急いで彼女の元へ向かう。
俺は彼女のおでこに手を当てるととにかく熱かった。これはおそらく人間の平常体温の暑さをゆうに超えている……
「海人……大丈夫だから……私……今からご飯作るね……」
彼女はこの状況でもまだこんなことを言っていたので、俺は彼女を抱えて寝室へと連れて行った。
「海人? どこに行くの?」
「ベットだよ……中川さんこれ多分ってか、確実に風邪だから……安静にしてて!」
彼女は俺の言葉に納得したのか俺がベットに連れて行くと……安静にする様子を見せた。




