54話 みんな……行ってくる……
それから女子借り物競走が行われた。
月野さんはお題……扇風機と書いてあって見事に扇風機を持って来ていた、なぜグラウンドに扇風機があるのか、わからないけど……もしかして、体育祭実行委員会の人たちが仕込んだか?
続いて橘さんだが……お題はサンダル……
これもグラウンドにというか、見にきていた保護者の方の中にサンダルを履いている人がいたらしい……なので、見事彼女もゴールすることができた。
最後に中川さんだが……中川さんは、お題を見るなり、考え込む様子を少しして、赤団テントにいる俺の元へと向かってきた。
「ちょっと……来て……」
「え? 中川さん?」
彼女は俺の手を引っ張ってグラウンドに走って行った。そして、お題の書かれた紙を先生に見せた。 そして先生のOKをもらうことに成功して見事ゴールすることができた。
「中川さん……そういえばお題なんだったの?」
男友達とか……男の子とかのお題かな?
「教えない……絶対に……」
そう言って彼女は突っぱねてきた。
「あ、うん、なんかごめん……」
そして、俺と彼女は一緒にテントへと戻っていった。
この時中川鈴音に与えられたお題は、「大切な人」だった。
この事実をこの先も山田海人は、知ることもない……
そして、ついに体育祭最後の種目団対抗リレーが始まろうとしていた。
まずは、一年生の部だった。
俺たちは一年生を応援するべく、みんなでテントの外に出て応援した。
中川さんたち応援団は、ポンポンを持って応援していた。
結果は赤団は、三位だった……
そして、遂に俺たち二年生の団対抗リレーが始まった。
「頑張れよ!! 二年生リレーの選手たち!!」
「絶対負けるなよ!!」
このリレーに赤団が一位で勝つことができれば赤団総合優勝を見えてくる……なので、先輩、後輩とはず二年生に対する応援が一丸と響いた。
「よーし! いっちょ! やりますか!!」
「うん!!」
気合の入った北原の掛け声に中川さん含めリレーの選手たちが頷く。
「頑張ってね! 鈴音!!」
「応援してるぜ! 鈴音!!」
月野さんと橘さんは中川さんにエールを送った。
俺も待機場所に向かう中川さんと目が合ったので、拳をグーにして中川さんに突き出した。
まず俺たち赤団最初を飾るのは、北原だ……そしてその次中川さんと続いていき、最後八人目……アンカーの今手と続く……
俺たちはリレーが始まるのを今か今かと待っていた。
すると、スターターピストルが鳴った。
すると、北原が勢いよく駆け出す!!
「いけー! 北原ぶちかませ!!」
「お前が赤団ヒーロだ!!」
クラスの人たちが北原のエールを送る。
ポンポンを持って応援してる月野さんたちもより一層応援に気合が入っていた。
北原は見事な走りで一位で中川さんにバトンを渡す……
「いいぞーー! 北原ー!!」
「鈴音頑張ってーー!!」
クラスの北原への労いの言葉と中川さんに対する応援が入り混じる。
……中川さん……頑張って!!
中川さんは北原同様他人を寄せ付けない異次元の走りで一位をキープして、次の人にバトンを渡した。
「いいねー!! 中川さん!!」
「さすが!! 中川さん!!」
「鈴音ーー!! かっこよかったよ!!」
「鈴音!! やったなー!!」
中川さんの走りが異次元だったために中川さんに対する労いが最高潮になっていた。
そして、3番目の人が走っている時……事件が起こる……
「あれ? 今手!? 何でお前ここにてか、先生!?」
そう一人の生徒が驚きの声を上げた。
すると、山手は、先生と一緒にお腹を抑えて赤団テントへと戻ってきていたのだ……
「どうするんだ!? 今手!! お前……アンカーだろ!?」
「悪い……お腹が急に痛くなってきちまって……」
クラスメイトの一人の焦る問いに今手は、そう答える。
「てか!! おい! 早く誰か代役立てないと!!」
「そうだよ! そうだよ!! やばいよ!! 私たち赤団失格になっちゃうよ!!」
今手が棄権したことに名乗るメンバー不足の失格だけはどうしても避けなければいけない……
「だれか!! こいつの代わりに走ってくれるやつは……」
そう、男子が聞いても誰も返事をしない……
特に急にアンカーは、身が重すぎる……
そんな時だった……
「山田……俺の代わりに走ってくれ……」
そう俺の横に来た今手に言われた……
「今……なんて……」
「頼む!! お前しかいないんだ!! 聞いたぞ北原から!! お前足速いんだろう!! 頼む!!」
そう今手に頼みこまれる……
「無理だよ……俺に荷が重すぎる……」
「そんなこと言うなよ!! 頼む!! 本当にお前しかいないんだ!!」
そう今手に頼み込まれて、俺はある一つの言葉を思い出す。
……君は姫に相応しくない……
それは、四乃森に言われた言葉……
そんなのわかっている……俺が彼女《中川さん》と釣り合わないなんて……だって、俺はあくまでゲームのプレイヤーで、彼女はそのヒロイン……釣り合うわけないじゃないか……
でも……俺は彼女と一緒にいたい……
もっと、彼女といろんな事を経験したい……体験したい
もっと……彼女の笑顔を近くで見たい……
はたしてこれは俺のわがままだろうか?
さっき、正親に聞いた話だが……白団アンカーにはあの四乃森がいる……
俺はあいつに勝たなければ……いけない……
彼女とこれからも一緒にいるために……
俺は負けるわけにはいかないんだ……
「今手……俺……出るよ……」
「……ほんとか?」
「ああ……出る……」
「おい……ほんとに出るのか……海人」
正孝が俺に心配そうに言ってくるが、俺は正孝の肩をポンポン叩いて
「大丈夫だ……こんなリレーぐらいあのゲーム|《私立金森学園物語》のミニゲームであるリズムゲームに比べればどうってことねぇーよ!! だから心配すんな!!
「海人……へへ、ぶちかましてこい!!」
俺は正孝背中を押されて、グラウンドの待機場所に向かう。
「頑張れよ……山田……」
「頑張ってね! 山田くん!」
クラスの男女問わずみんなが俺にエールを送ってきた。
「山田くん! ファイト!!」
「気張っていけ! 山田!!」
月野さんと橘さんにもエールを送ってもらった。
そして、今……俺の戦いが幕を開ける。
「……みんな……行ってくる……」




