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53話 借り物競走 好きな人

「え? いいよ! 山田くんお題なんだったの?」

「その……これなんだけど……」

「え!? ええ!? えええ!? 山田くん好きな人って……山田くん私のこと好きなの?」


 中川さんは俺が見せたお題の書いてある紙を見て今まで見たことのない顔で取り乱し始める。


「いや!? これはその……違うんだ!!」


「山田くんみたいな素敵な人に私なんか勿体無いよ……」


 中川さんは何故か謙遜し始める。


「いやいや!! それ逆ね! 中川さんみたいな素敵な人に俺みたいなやつは勿体無いでしょ! 普通は!!」


「……だって……私……時々変なことしちゃうし……この世界に来てから山田くんに迷惑かけてばっかりだし……」


「いやいや!! 迷惑かけてるのは俺の方だし! 中川さんはいっつも美味しいご飯を作ってくれるし! それにいっつも楽しそうにしてるし! 時々一緒にゲームをしてそれがすっこぐが楽しいし!! その……中川さんはとっても素敵なんだ……」


 ちょっと待て……俺さっきから何言ってんだ?


「……わかったよ山田くん……こんな私でよければ……」


「……じゃあ! 早く先生のところ行こう! 早く行かないとビリになっちゃうから!! あ、ちなみ好きな人っていうお題で中川さんについて来てもらうけど、俺は中川さんのこと好きでもないから安心して!!」


「…………」


 俺が中川さんに言うと、中川さんは顔を赤らめてその場でフリーズしていた。


「……どうしたの? 中川さん……」


「……山田くんのバカ……」


「……え?」


 俺は中川さんが急に機嫌が悪くなった理由がわからなかった。


「これ……借り物のお題の俺の好きな人です!」


「うん? なんだって? もう一度言って?」


「だから! これがこの人が俺の好きな人です!!」


 俺がとんでもなくでかい声でそう言ったので、先生もそれに圧倒されたらしく


「うん! OK!! ちなみに君一位ね!!」


「そうすか……ありがとうございます」

 

 俺は先生に合格をもらったことで、一位の場所に並ぶ。

 ふぅ〜一時は、どうなるかと思ったが……何とかなりそうだな……

 俺は無事借り物競走が終わったことで安堵した。

 てか、こんなにグダって一位なのかよ



 そして、借り物競走が終わって、テントへと戻ると月野さんが恥ずかしそうに俺にこそっと聞いてきた。


「山田くんって……鈴音のこと好きだったの?」


 ……っ!?

 俺はそれを聞いてびっくりする。だって、まさかさっきの俺の発言がここまで聞こえてるなんて思えなかったから……


「いや、違うんだ! さっきの借り物のお題が好きな人でちょうど近くにいた中川さんに協力してもらっただけだよ! だってほら! 俺今、好きな人とかいないし!」


「そうなんだ! なんだ〜〜!!」

 

 なんで月野さんはそんなに嬉しそうなんだ?


「あ、中川さんもさっきは協力してくれてありがとね! おかけで一位を取ることができたよ!」


 俺が中川さんに感謝を述べると、中川さんは俺にそっぽを向いた。


「どういたしまして……山田くんのバカ」


 え? 中川さんなんか怒ってませんか?

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