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5話 俺とたまに話すクラスメイトの女の子の月野さん

 俺はしばらく歩いて教室に着くと、自分の席に座わった。

 そして、ふと中川さんの席を見た。

 俺が彼女の席を見ると、中川さんの席の周りには男女問わず人が集まっていた。

  

「なあ、中川さんやっぱ可愛いよな!」

「ああ! あんな美少女が俺の彼女だったらなー」


 後ろでクラスメイトの男子が羨ましそうに中川さんに対する感想を述べる。

 やっぱり、中川さんはすごく可愛い、俺が見てもそう思う。

 それに昨日、彼女とは同じベットで横になったんだよな。俺の部屋にはベットは一つしかないがそこらへんどうしよう……。

 母さんあたりに頼むか……?  

 確か俺の実家には使っていないベットがあったはずだから。


「やっぱり中川さんのこと……山田くんも気になる?」

「う、うん、まあ……え?」


 俺は中川さんの方に目線を向けていると、ある一人の女子生徒が俺に話しかけて来た。


「やっほ! 山田くん! おはよ!」

「うん、おはよう。月野さん……」

 俺に話しかけて来た、この子の名前は月野雫つきのしずくと言い、緑色のショートカットヘアが特徴の中川さんに負けず劣らずの美少女でクラスのマドンナ的存在だと俺は思っている。

 

 彼女の誰にでも優しく振る舞うその姿に惚れ惚れする男子は多く、このクラスで一番モテてると言っても過言じゃない……。

 そんな彼女とたまにこうして話をするのだが、何故彼女が何故俺なんかに話しかけてくるのかはわからない。


「すごいよね! 中川さん! わたし! 最初モデルの人が転校してきたと思ってたよ!!」


 確かに俺も最初、中川さんがこのクラスにやって来たときもすごい美少女が来たと思ったが。


「山田くんは中川さんとはもう喋った?」

「え? 喋ってないけど……」


 本当は喋っているのだが、あくまで今のみんなの認識だと俺と中川さんはただのクラスメイトという関係になっているので、ここは下手な事を言わない方がいいと……。

 そういう判断で一つ月野さんの嘘をかました。


「そうなんだ! 中川さん優しいし! 可愛いし! 喋ったら面白いんだよ! さっきなんてこの国で一番高い建物の話になって、中川さんさ! 私エレクトロズムスーパータワーしか知らないよ! とか真面目な顔して聞いたこともないタワーの名前出してきてさ! 本当に面白くて可愛いの!!」


「そうなんだ、なんどろうね。それは一体……あはは」


 そのエレクトロズム以下略タワーは、間違いなくあのゲームの主人公たちがいる国で一番高いで有名なタワーだ……。

 俺は彼女がゲームの世界から来たなんてバラやしないかとヒヤヒヤした。


「あ! じゃあ、わたし中川さんの所行くね!」


 そう言って月野さんは嬉しそうに中川さんのところは向かって行った。


 ***


 中川さん勉強ついていけてるのかな。

 今、現在三時間目の歴史総合の授業で日本史の歴史を先生が黒板に書いて説明していた。


 俺は黒板から見て、一番後ろの列の一番教室の窓に近い席でいわゆる主人公席。

 中川さんは一番後ろの教室のドア側に一番近い席だった。


 でも、俺は彼女に対するある疑問で授業にあんまり集中できなかった。

 そういえば、彼女はゲームの世界から来たので、この世界の勉強わかるのか?

 俺はそんな疑問を持ったために中川さんの方を見ると、彼女は真剣な面持ちで授業に挑んでいた。


 すると、中川さんと目が合った。

 俺が中川さんを見ている事に気づかれたか、それともたまたまなのか、俺が彼女と目が合って、恥ずかしくなり目を逸らそうとすると、中川さんは小さく微笑み、こちらに手を振って来た。


「おい! 今、中川さん俺に手を振ってくれたぞ!」

「バカ! ちげえーよ! 俺にだよ!」


 俺と中川さんの席を挟んでいる男子たちが嬉しそうにヒソヒソそう言った。

 俺は、というと口に手を当て顔を明るめていた。  

 なんだこれ、ラブコメでこういうの見たことあるぞ、

 秘密の恋人関係をやってる二人が互いに手を振るシチュエーション……。

 ぐは! 俺そういうの好きだから鼻血が出そう。


 ***


 そして、お昼休みがやって来た


「なあ! 海人!! 食堂行こうぜ!!」

「え? 食堂?」


 お昼休み、俺の席に真っ先にやって来た正孝が俺にそう言ってきたので俺は驚きつつそう言った。

 いつもは、購買で弁当やらパンやら買って教室で俺たちは飯を食べている、そんな中、正孝が食堂に誘ってくるので俺は本当に珍しいなと思った。


「嫌か?」

「いや、別にいいが」


 俺は正孝の提案を快く提案したことにより、正孝と一緒に教室を後にする。

 その際、なんとなく中川さんの方を見たが、彼女は今教室にはいなかった。


 うわ!? 相変わらず人すごいな。

 俺は食堂に着くなり、あまりの人の多さにそう思う。

 俺の高校の食堂はワンテーブル最大六人のイスが備え付けられていて、壁に貼ってあるメニューを見つつ、食堂にある券売機にて食券を買って、食堂のスタッフに渡すと、番号が書いてある紙が渡され、そのまましばらく待つと食堂に備え付けられているモニターに番号が映し出されるから、それを見て、料理を取りに行くという方式だ。

 

 俺たちは料理を受け取って、空いているテーブルがないか探すと、一つ空いてるワンテーブルを見つけることができた。

 そして、正孝と一緒にそのテーブルに座る。


「そういやさ、どうした? お前が食堂誘ってくるなんて珍しいじゃないか」


 俺は時々俺が気分転換に正孝に食堂に行こうと誘うのだがあいつはめんどくさいからやだと言っていたので、今回誘ってきたのは非常に珍しいと感じた。

 もしかして、何か理由があるのか?


「これ見ろよ!」

「これ?」


 正孝は自分が頼んだ目の前にあるカツカレーを俺に見ろと促してきた。


「カツカレーがどうしたんだ?」


「お前知らないのか? ここの学校のカツカレーめっちゃ美味しいらしいぞ! 北原きたはらなんかカツカレー目当てに毎日通っているぐらいだ!」


「そんなにうまいのか? このカツカレー」

 

 正孝がそりゃもう美味しそうにこの学校のカツカレーの魅力を語ると、俺はラーメンを頼んだのに、俺はカツカレーを食べたい気持ちになった。

 ちなみに北原とは俺たちのクラスの学級委員長のことである。


「うわー! 人がいっぱい! 今日は一段と混んでるね」


 すると、俺の後ろの方から聞き馴染みのある一人の声が聞こえてくる。

 俺が後ろを向いて声のする方を見ると、声の主である月野さん、それと中川さんの二人が料理を持って席を探してうろついているようだった。

 

 もしかして、月野さんたち席を探しているのかな……? にしても中川さん、月野さんと一緒に衝動でお昼ご飯か、中川さんにこの世界でお友達ができてとっても嬉しいよ!!


「なあ、海人! お前さっき、月野さんと話していたけど、お前と月野さんってどんな関係なんだ?」

「え? ただのクラスメイトだよ……」


 俺は正孝にそう聞かれて、体を正面に戻してそう言った。

 実際、俺は月野さんとは友達って言うほど喋らないし、けれども全く喋らないでもない……そんな曖昧なそれ以下でもそれ以上でもない関係だ。

 もっとも月野さんは俺のことをどう思っているのか知らないけど。


「あ! 山田くん発見〜〜!! しかもここのテーブル席空いてるじゃん!!」


 すると月野さんがいきなり背後に現れて俺に話しかけてきたから俺は大層ビビる。


「ねえ、山田くん! わたしたちここのテーブルご一緒していいかな?」

「ど、どうぞ」


 俺は月野さんに言われて断る意味もなく、快くそれを承諾した。

 そして俺と正孝の横の空いているイスに中川さん月野さんが座る。

 こうして俺は月野さんと中川さんともお昼ご飯を食べることになった。

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