48話 あ、うん……ありがとう……やっぱり君は優しいね……わたしはそんな君の事が……
二年生の男子の百メートル走の種目が始まってから、少し経った頃……
続々と俺の番に近づいてこようとしていた。
北原は、闘志を燃やして、他の団を寄せ付けず、一位でゴールした。
正孝もとてもやる気を出していて、三位のゴールだった。
そして。俺の番がやってくる、俺は体育祭実行委員の人がスターターピストルを鳴らす。
俺はその合図を受けて、一気に駆け上がった。
ーー結果は、二位という結果だった。
まぁ、俺にしてはよくやった方だと思った。
俺は順位ごとに走り終わった人は並んで競技が終わるまで、待機ということになっていたので、俺は二位の所に行って並んだ。
その際、四乃森にとても爽やかな笑顔を浴びせられたが、あれは何だったんだろう?
それから二年生の百メートル走が終了して、俺たちは自分たちの団のテントへと戻って行った。
「ふぅ〜疲れたな……海人……」
テントに戻って椅子に座ると、俺の後ろにいた正孝にそう言って肩をポンポンされた。
「まだ……騎馬戦としっぼ取り……借り物競走が残っているんだぞ……体力もつか? 正孝」
「なんか多くね? この学校の体育祭種目多くね?」
確かに多い気がするような……
そんな事を思っていると、月野さんが話しかけて来た。
「おつかれ〜山田くん!! 山田くんって意外と足早いんだね!! かっこよかったよ〜〜」
「え? ありがとう……」
これが体育祭フィーバーというやつか?
俺は、女子にかっこいいって言われてとても嬉しかった。
「そういえば……次、女子百メートル走だよね? 頑張ってね!!」
「ぬ? うん! 頑張る! えへへありがとう!」
ーーそれから女子百メートル走が開幕した。
女子百メートル走で一際目立っている生徒がいた。そう、中川さんだった。
中川さんは怒涛のスピードで、他を寄せ付けず、疾風怒濤の勢いで、一位を掻っ攫って行った。
「おおーー!! さすが中川さん!!」
「あの子すごいな……陸上部の生徒か?」
「おいおい! そんなことよりめっちゃ可愛くね! あの子」
そんな声が俺の赤団テントから先輩後輩とわず、上がる。
そんな中川さんの話題は多分他の団のテントでも起こっているのだろう……
月野さんは三位だった。
彼女はゴールした時、いえーいいえーい! そう言ってぴょんぴょん飛び跳ねていたので、それを見て、癒されたのはおそらく俺だけじゃないはず……
橘さんは……中川さんと同じく、圧倒的な強さを見せつけて、一位を取った。
「なぁ……橘さんもとても足が速いね!!」
俺は隣で百メートル走を見ていた正孝にそう言った。
「ふん! まぁな!!」
そう正孝は自慢げにそういった。
やはり幼馴染の晴れ舞台は、嬉しいものなのか?
ーーそれから女子百メートル走が終了して女子たちがテントに戻ってきた。
中川さんがテントに戻ってくると、先輩後輩とわず、俺の団のテントの人たちが中川さんによっていった。
「ねぇ! ねぇ! 君すごく速かったよ!!」
「今彼氏とかいないの?」
そう質問攻めをされて若干困っている様子だった。
俺はそんな彼女を見ていると、横から月野さんが帰って来た。
「ごめんね、山田くん……一位取れなくて」
「えっ? 何で謝るの?」
「だって……わたしだって、クラスに少しでも貢献したかったよ……」
いやいや、三位だって、十分クラスに貢献できてるじゃないか……
「それを言うなら、俺だって二位だし、それに三位だって俺は十分すごいと思うけどな……」
「やっぱり……山田くんは優しいね……わたしあの二人を見て、わたしもやっぱり一位を取らなきゃって思ってしまったんだよ……」
あの二人? あぁ、中川さんと橘さんの事か……
「月野さんは、月野さんのペースで頑張ればいいんだよ! それに、俺……月野さんのすごいとこいっぱい知ってるからな!! ニシシ!」
俺は彼女を元気付けるため、笑顔を見せた。
「あ、うん……ありがとう……やっぱり君は優しいね……わたしはそんな君の事が……」
「ん? 何?」
「いやいや、何でもないの!! 忘れて忘れて!」
そう言って彼女は走って、どこかに行ってしまった。
「次は男子騎馬戦です。男子の皆さんは、騎馬戦の種目の待機場所に移動してください……繰り返します……」
そうアナウンスが俺たちに移動を促す。
「ほんじゃ! 行くか!!」
そう北原がみんなに呼びかける。
そういえば……俺が騎馬役を担当する、上に乗る、騎手の人は北原だったな……
そして、俺たちは騎馬戦をするため、待機場所へと向かった。
待機場所へと到着すると……北原がこっちの方向へと向かってきた。
「おーい!! 九条!! 柊!! 山田!! お前ら喜べ!!
この度俺は! この赤団の副将を命じられた!! もはやこの騎馬戦の勝負は俺たちにかかってると言っても過言ではない!! よろしく頼むぞ!! いくぞーー!!」
「おい! 副将って!? 責任重大じゃないか!! 何が喜べだ! 勘弁してクレェー」
九条がそう言って不満を漏らす。
すると、柊が九条の肩を叩き
「まぁ、まぁ、俺たちは頑張るしかないんだ……まぁ大丈夫だ! なんたって俺たちの騎手はあの北原なんだからな! なぁ、九条!! 山田!!」
「まぁ、ここまできたらやるしかないよな……」
俺は、柊の問いにそう返事した。
すると、俺たちの赤団応援団長である涼風拓也が大きな声を出して、俺たちに問いかける。
「俺は騎馬戦の赤団総大将に任命された!! 俺はいや、俺たちはこの騎馬戦に優勝して!! しまいには、優勝をかっさらう!! 予定だ!! お前たち絶対にこの勝負かつぞー!! もちろん!! 安全第一にな!! 行くぞー!!! 赤団!!!」
「おおおーーー!!!」
応援団長である、騎馬戦総大将が俺たちにそうげきを飛ばした。
すると、相手のチーム、青団からもおー! といえ声が聞こえてくる。
「それではみなさんに今一度、体育祭騎馬戦のルールをご説明いたします! まず今騎馬戦の勝利条件ですが……時間切れで最終的に残っている騎馬の多い方が優勝となります。あと……団それぞれにいる総大将の大将騎……副将の副将騎……そのどちらもが倒されることでも試合が終了します。」
……なんだって!? じゃあ……俺たちの役割はとても重要じゃないか!?
「よーし! 三人ともよろしく頼む!!」
北原は俺たちにそう声をかける。
すると、応援席の方から、応援団のエールが聞こえてくる。
「行け行け!! 赤団! 赤団!!」
ポンポンを持って応援してる応援団の中には、中川さんと月野さんと橘さんもいた。
俺はこれを見て頑張ろうとそう思った。
ーーこうして、騎馬戦が開幕する。




