41話 夏の夜空を明るく照らす花火
「み、みみ、Mrスーパーボールすくいさん……なぜここに?」
「んふふ、いかにも私は、Mrスーパーボールすくいであーる!!」
この人は動画投稿サイトにて、その達人なるスーパボールをすくう技量にてスーパボール界隈では人気を博しているとてもすごいお方なのだ……
「てか、俺の今のあれ見てたんですか?」
「うむうむ、とてもすごかったぞ! だから是非とも私と対戦願いたい」
おいおい、まじかまじか……
そんなことが実際にあるのか……
「いいんですか? では……是非よろしくお願いします……」
こうして、俺とボールすくいさんとの勝負が始まった。
中川さんはこの状況に口を開けてポカンとしているが……俺とボールすくいさんとの勝負が幕を開けた。
俺はすくいの紙で続々とスーパボールすくいを取って行った。
すると、スーパーボールすくいの店の人がとても驚いた表情で叫ぶ。
「あれは!? スーパボールクロスフェニックス!?」
……なんだと!?
俺はすぐさま横を向いた。
すると、ボールすくいさんがクロス状に円を描いてボールを続々ととっていく……
てかなんだこれ?
こんな技、実際に見ると人間離れしている。
俺はあのクロスフェニックスを実際に見られたことに興奮した。
「クロスサンダー!! クロスブラック!!」
ボールすくいさんは、そう言って、技名を連呼して、人間離れした技で俺との差をどんどん離していく……てか、技名かっこいいな……
結果、俺はスーパボールさんに惨敗した。
「んふふ、なかなか楽しかったですよ! ありがとうございます」
「いえ…ありがとうございます……」
俺はボールすくいさんと握手を交わして、この場を去った。
あ……中川さん……ついつい、勝負に夢中になってしまって……彼女の事を置いてけぼりにしてしまった……
「ごめん!! 中川さん……その、次どこに行こうか?」
「山田くん……超かっこよかったよ!! 今の!!」
「……え?」
「うんうん!! ボールすくいをやっている山田くんかっこよかったよ!!」
「え……そう、なんかありがとう……」
それから俺たちは屋台を色々みて回った。
今彼女は手にリンゴあめを持って俺の横を歩いている。
何故だか知らないが、彼女がリンゴあめを持っているとなんというか、すげー様になっている。
なんというか、今の彼女を写真で撮ったらそのままラブコメの単行本の表紙に使えそうだな……
「そういえば……もうすぐ花火始まるよ……」
俺たちが夏祭りを満喫していると、いつのまにか……花火が始まる、時間になっていたらしい……
「そうなの!! 花火楽しみだな〜〜! えへへ」
「あ! 花火が見えやすい所に移動しようか!! どうせなら」
「うんうん!!」
「人がいっぱいだね!」
「ここの花火大会はとても規模がすごいって色々有名だからね……県内問わず、いろいろな県から人がやってきているからね……」
俺と中川さんは花火がよく見える場所へと歩き始める。
俺たちと同じく……花火が見えやすい場所へと移動する人たちで結構な人だかりができていた……
「あ! ここめちゃくちゃひらけてるね!!」
「やっと着いたね、中川さん!」
俺たちはしばらく歩いてようやく花火が見えやすい場所へと到着した。
俺たちの目線の先には他の花火を見にきた人たちがレジャーシートをひいたりして花火を見る準備をしていた。
俺たちはちょうど近くに木でできたベンチが設置されていて、誰も座っていなかったのでそこに腰を下ろす。
「山田くん! ありがとね! 私に花火を見せてくれて!」
「喜んでもらえて嬉しいよ! あ! もうすぐ花火始まるよ!!」
彼女は俺に感謝を述べた。
すると、大きな音が鳴って、上空に光が満ちた。
そう花火である……
花火は大きな音を立てて、空中で光を放ち、そして夜空に吸い込まれていく……
大きな音を立てて、空一面に広がる花火……
横では中川さんが花火に目を奪われている……
やっぱり中川さんも花火に見惚れるんだな……
「たーまーや〜〜!!」
中川さんは花火に向かってそう叫ぶ。
かたや俺も花火が織りなす幻想的な景色に心奪われていた。
すごいな……去年は家のベランダから見てたけど……こうして現地で見ると何だかまた違った印象だな……
「すごい! 今の見た!! パンダさんだったよ! 今の花火! 面白い!!」
中川さんは動物の形の花火が登場したことではしゃきだした。
俺はそんな彼女を横目に笑う。
花火は音を立てて、沈黙の夜空の景色を明るく照らしていく…
すると俺は去年の花火大会の時のことをふと思い出した。
去年は確か……一人でベランダから花火を眺めていたんだよな……去年、一人暮らしの寂しさを感じながら見つめた花火……
「山田くん今の大きかった!! すごい!!」
今年の花火大会は……中川さん……俺と現在同棲しているゲームのヒロインとこうして花火を見ている。
何だか夢を見ているみたいだな……
今までゲームの世界から中川さんがやってくるという現実離れしている体験をしてきた。
でもこれは紛れもない現実なのだ……
「中川さんいつもありがとね!」
「どうしたのよ〜! いきなり! 私もいつもありがとう!! 山田くんのおかげで毎日楽しいよ本当にありがとね!!」
「中川さんそう思ってくれて嬉しいよ……」
俺と中川さんは花火が二人で笑った。
まるで今この空間に俺の彼女二人だけしかいないような……そんな不思議な感覚にいざなわれた。




