20話 じゃーな! また会おうぜ! 山田海人!!
お金を入れると、アーケードがぴょこん! そう音をたてて画面が移動する。
「なぁ? これ、どうやるんだ?」
そうか、まだ彼女にはゲームの仕方を教えてなかったな。
「これは、その足元にペダルがあるでしょ! 右側のペダルはアクセル! 左側のペダルはブレーキ! それを駆使してレースをするんだ、まぁ、やる動作はペダルを踏んだら、その丸いハンドルを動かして、方向とかを決める。あと、後で言うけど、アイテムを取った時などにそのアイテムを使う時も、そのアクセルや真ん中にあるボタンをタップしたら使えるよ!」
「へぇー! なんか、簡単そうだな!」
そう、このゲームなら彼女に勝てるかもしれない、いくら彼女がゲームがうまかったってこのゲームはアイテム一つで一発逆転が狙えるから、俺にも十分勝機がある。
「あ? なんだこれ、動物がいっぱいいるぞ」
そして、アーケードのディスプレイからは、動物、キャラクター選択画面が表示された。
キャラクターには速度、加速度、重さなど、そのキャラクター一つ一つに個性がある。
なので、自分に合うキャラクターや好きなキャラクターを使ったりすることができる。
「ん? まぁ、よくわかんないけど、とりあえずキリンでいいや、」
キリンか、いいチェイスだ。
ちなみに俺はコアラを選択した。
「あ、根石さん、そのレース中に丸い物体があるから、それを取ったらアイテムを使うことができるようになるよ」
このゲームにはさまざまな効果を持ったアイテムが存在する。
そして、レースが始まる。俺はカウントの三、二、一と表示されて、一が消えた瞬間、思いっきりアクセル踏み込んだ。
そして、勢いよくレースをスタートする。
最初はずっと一位をキープしていた。
だが、後ろから彼女が迫ってきた。
彼女は手前にあるアイテムボックスを取ると、彼女は思いっきり加速して俺を抜き去っていった。
そう、彼女はアイテムの辛いカレーパンを使ったのである。
このアイテムは、使うと口から火を吹いて、一定期間加速できるアイテムだ。
「へへっ! おさきー!」
「くっ!」
俺の彼女の差がどんどん開いていく。俺はアイテムで一発逆転狙おうとしたが。
俺は見事に外した。それは、バリアーというアイテムを引いたからであるりこのアイテムは一定期間自分の周りにバリアーを作り、相手のアイテムによる被弾を防ぐことができる。
このアイテムは、確かに強いが、加速も相手に被弾も何もないのでこういう局面では俺は使えない思う。
それからレースは最終コーナーへと続いて行った。相変わらず俺が二位、彼女が一位と順位はさっきから変わっていない。
そして、目の前にはこのレース最後のアイテムボックスがあった。
俺はそれに一発逆転を狙った。
そこで、出たアイテムは赤のボーリングだった。
この赤のボーリングは、投げると前にいるプレイヤー、つまり、自分より順位の高いプレイヤーに強制被弾させるアイテム。
つまり相手が何か防御していなかったら、投げたら勝ちのアイテムである。
俺はそれを投げて見事彼女を被弾させた。
「おいおい! まじかよ!?」
彼女はスリップしてその場でちょっとだけ停止した。
俺はその隙を見逃さず、彼女を抜き去った。
俺はそのまま一位でゴールした。
彼女は結局まで転落して三位でゴールした。
「……勝った」
「な、なんだと! 俺が負けた……」
彼女は負けたことに動揺している様子だった。
それはそうだ、彼女はあのゲーム内で、勝負事で、主人公に一回も負けたことがないのだから。
「くっ! 初めて負けちまったー!! 岡村にも負けたことないのに!! くそっ!! くそったれーー!!」
岡村、あの、主人公の事か。
て、ちょっと根石さん。そんなに強くハンドル叩いたら壊れるって!!
「お前! もう一回だ! もう一回!! 次は負けない!!」
「まだやるの?」
「当たり前だ!! 俺が勝つまでやる!」
……は?
それだと俺がこのゲームで勝ち続ける限り、無限ループじゃないか。
わざと負ける……いや、もしそれがバレたらこのゲーセンが半壊しそうだからやめておこう。
それから俺と彼女はゲームをもう一回戦した。
結果は俺の惨敗だった。
決して手を抜いたわけじゃなかった。
それから俺たちはゲーセンの対戦できるゲームを巡ったが、どれも彼女に惨敗した。
「あははははは! お前と勝負するのとても楽しいぞ! こんな気持ちになったの! お前と岡村ぐらいだ!!」
「それは……よかった」
俺は彼女が満足してくれてとても嬉しかった。
「それじゃ……そろそろ帰ろうか?」
俺がそう、彼女に提案した。
「そうだな……満足したし」
そう彼女が言って、俺たちはゲーセンの外に向けて歩き始めた。
それから俺と彼女はゲームセンターを出た。
そして、彼女はゲームセンターの入り口の前で立ち止まって俺に話しかけて来た。
「おい! お前、今日は楽しかったぜ! あんがとな、それより名前聞いてなかったな! お前、名前は?」
そう彼女に聞かれた。
「俺の名前は山田海人……よろしくね!」
そう淡々と自分の名前を答えた。
「山田海人……おぼえたぜ!」
「俺は今日お前と勝負して、お前が悪い奴じゃないということはわかった。これは岡村にもいい報告ができそうだ!」
「鈴音の事……頼んだぜ!!」
そう彼女は拳を俺に突き上げて言った。そして
「じゃーな! また会おうぜ! 山田海人、そして、また会った時は、勝負だ!」
「うん、また会おうね、根石さん」
俺は彼女にそう言われて、そう答えた。
そういえば、彼女はどうやってこの世界に来たんだ? もしかしたら、今彼女に聞けば何か手がかりが見つかるかも知れない。
「あ! 根石さん!! あなたは、どうやってこの世界にやって来たの? なにか、この世界に来るための方法があるの?」
「あ? そりゃ、お前あれだろう……これ——」
そう彼女が何かを言いかけようとした時、彼女の姿が消えた。
どうやら彼女は元の世界に戻ってしまったようだ。
ああ〜!!
嘘だろー! もっと早めに彼女に聞いておけばよかった、そんな事を思っていると。
何か物のは入ってる、袋が落ちる音がした。
「……!? 山田くん今の人消えなかった!?」
えっ!?
月野さん、なんで?
「山田くん、今話していた人どこいったの?」
どうやら今の一連の件を月野さんに見られていたらしい。
何というか、タイミングが悪い。
最悪だ。




