19話 壊れたらぶっ叩けば直るっていうだろ!!
「あら? どうしたの? 山田くん」
俺がもたもたしていたら先輩がしびれを切らした俺が在籍している高校の生徒会長が俺と彼女の所に様子を見に来た。
「いや、先輩、その……このハンバーガーなんですけど」
「あら〜? ハンバーガーがどうかしたの?」
「それが、彼女がもう食べられないみたいで、このハンバーガーをどうしようか考えていたんですよ!」
「そうなの? でも、だったら、山田くんが食えばいいじゃない?」
「いや、それは……流石に」
「あら? 山田くんお腹いっぱいなの?」
「いや……そういえわけでは」
俺がそう言うと彼女は、ニヤッとした。
「もしかして、間接キスしちゃう……とか、思ってる?」
……ギぐ! 御名答。
こういう時の先輩は勘が冴えている。
「ふふ! 山田くん! 間接キスで、ウジウジしてるんだ! 全く君は本当に可愛いね!」
「……………な、何言ってんすか」
「もう、山田くんめっちゃくちゃ顔赤くなってるよ」
「おちょくらないでください!!」
全く彼女は、時々俺をこうやってドキドキされてくるから本当に困ったものだ。
「おい! そこの黒髪の女!」
「あら? アタシのことかしら?」
「お前! なんだか、強そうだな! 俺と勝負しようぜ!!」
……全くこの子は。
俺だけじゃなく生徒会長にまで勝負を吹っかけるとは……本当に出会った人みんなに喧嘩をふっかけるな。
「えっ? 勝負……? どういう事?」
ほらほら、根石さん、先輩困惑してるじゃないか。
「ちょっと! 根石さん! 後で勝負するから! その、あまりいろんな人に勝負をふっかけないで!」
「まぁ、そうだな! お前との勝負があるしな、仕方ない! 勘弁してやる」
全く彼女は本当に、わんぱくというか何というか。
全く、主人公には同情する。
ちなみにハンバーガーは先輩が食べてくれた。
***
それから、バイトの終了の時間が来て、俺は彼女の席に向かう。
「はい、バイト終わったよ! それじゃあ、その勝負とやら……しに行こうか?」
「お前! 俺をどんだけ! 待たせるんだ! 俺は、時間がないんだ!」
時間がない?
「ごめん……それじゃあ、何で勝負する?」
「……へっ?」
いやいや、決めてなかったのかい……ずーと勝負勝負言ってたからそこは決めといて欲しかった、本当に。
「う〜ん、お前! なんか、あるか?」
そう言われましても。
あっ! そうだ!
「それだったらゲームセンターとかどう?」
「お! ゲームセンターか? いいね! 」
「それじゃあ、行こうか」
「ふん! お前! やるからには真剣勝負だからな! 手を抜くなよ!!」
「わかってるよ」
そう、彼女は勝負事に手を抜くことを極端に嫌がる。
だからいつも主人公、岡村は、手を抜かず全力で彼女に向かって行っていた。
それから俺たちは、バイト先からおよそ五分程歩いた所にある、ゲームセンターに足を運んだ。
ゲームセンターに入ると、ゲームの賑やかな勝負が聞こえてくる。
いろんなゲームが並んでいるが、なにか対戦できそうなゲームは?
「な! あれ! あれで勝負だ!」
「あれ?」
そう彼女は言った先には、もぐらたたきがあった。
彼女はもぐらたたきのハンマーを手にとって、モグラが出てくる穴を叩く。
「あん? 何も出てこねぇーじゃねぇーか? 壊れてんのかこれ?」
まぁ、それは、お金入れてないからですね。
……いっ!
すると、彼女は、思いっきりハンマーでもぐらたたきの台を思いっきりぶっ叩いた。
「ちょ! 本当になにしてんの?」
「えっ? 何って? 直してんだよ! ほら! 壊れたらぶっ叩いたら直るっていうだろう!」
「はっ? ちょっと! まず、それ壊れてないし! しかも、そんなに強く叩いたら本当にぶっ壊れるって!!」
まじで、そっきから彼女の行動一つ一つに本当にヒヤヒヤされてもらってばっかりだ、てか本当に力強いなこの子。
まじで壊れるからやめてもらいたい、これで弁償とかになったたらまじでたまったもんじゃない。
「あ? じゃあなんで動かないんだよ?」
「それは、お金を入れてないから」
俺はそう言って、もぐらたたきの機械の中に百円を入れた。
すると、もぐらたたきがゲームスタートそう、言葉を発して、ゲームがスタートした。
「ほら、根石さん! 始まったよ!」
「ふん! 負けねぇーからな!」
そう言って、手で持ってるハンマーで、モグラを叩き始めた。
彼女は順調に穴から出てくるモグラを叩き、ポイントを稼いで行く。
何というか、彼女はとても運動神経がいい。
「ふー! なかなか! 疲れたな」
そう言う彼女の前に映る、もぐらたたきのディスプレイには、百点中……九八点、そう書いてある。
それに、店内一位の文字が。
おいおい! 嘘だろ! こんなん、俺に勝ち目ないだろう! どうすんだよ! これ。
「さぁ! 次! お前の番だろ!」
そう言って俺は彼女からハンマーを受け取る。
俺はそれを持って百円を入れて、もぐらたたきに挑む。
結果はいうまでもないが——惨敗だ。
ディスプレイには、百点満点中、八五点という文字が。
俺は結構善処したつもりだったのだが、彼女が強すぎたのだ。
「はっはっはっ! やはり俺の勝ちだな!」
彼女がもぐらたたきの結果を見て嬉しそうに言う。
「すごいね、根石さん、俺も結構このゲーム自信あったけど……根石さんには遠く及ばなかったよ。」
「そうだろ! そうだろ!!」
そう彼女は、胸を張って言った。
「よーし! お前! 次は何で勝負する?」
……は?
「まだやるんすか? 根石さん」
「当たり前だろ! 《《岡村》》ならもっと付き合ってくれぞ!」
「岡村って、まさか?」
彼女が言う岡村とは、岡村遥人と言って、あの私立金森学園物語の主人公である。
「あ? 岡村は俺の友達だ! あいつとはないつも勝負しているんだ! まあ! いつも俺が勝ってるんだけどな!!」
……でしょうね。
俺もゲームで何回も主人公が根石さんに勝負で打ち負かされるシーンを見たことか。
「よーし! 次も負けないからな!」
俺と彼女は勝負できるゲームを探してゲームセンターを歩く。
あっ! これは。
俺が見つけたのは「パープルカートアーケード」
家庭用ゲームで、みんなに愛されてるレースゲーム、「パープルカート」のアーケード版だ。
「ねぇ? 根石さん、よかったらあれで勝負しない?」
「なんだこれ?」
「これは、レースゲームで」
「レースゲームだって!? よし! 戦ろう!」
彼女は、レースゲームという言葉に食いついてきた。やっぱり彼女はレースとかバトルとかそういう戦いにまつわる単語を見つけるとすぐに食いつくな、全く単純だな。
俺と彼女は「アニマルカートアーケード」の席について、彼女にプレイするための百円を渡して、ゲームが始まる。
そして、勝負、第二ラウンドを開始する。




