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18話 ゲームの世界からやって来たもう一人のヒロイン

「じゃあ! 行ってくるよ!」

「うん! いってらっしゃい!」


 そう言って俺は家を出る。そう今日は土曜日。

 俺は今日この一日に、バイトを入れていたのだ。

 俺はいつもの見慣れた道を通り、バイトへと足を運んでいた。

 すると、誰かに話しかけられる。


「おい! あんた、鈴音の彼氏かなんかか?」


 女の子にいきなり話しかけられた。

 彼女は金髪ショートカットで、腕にはおしゃれな時計をしていた。

 そしてなにより、顔がとても可愛かった。


「いえ、俺と彼女はそんなんじゃないですけど、あなた中川さんを知っているんですか?」


 鈴音ってことは俺と一緒に今暮らしている中川さんのことだよな。


「ああ! 知ってるとも!! そうなのか? 昨日仲良さそうに歩いていたからてっきりそうなのかと、まぁ、そんなことは今どうでもいい! おい! そこの岡村似のお前! ちょっと時間貸せ!」

「いや!? その、それよりあなた誰ですか?」


「うん? そういや、名乗ってなかったな! 俺の名前は、根石沙羅!! だ! よろしくな、」

「…………は!? はぁ〜〜〜〜〜!?」


 俺は大声で叫んだ。それは、その子の名前があのゲームのヒロインの名前と一緒だったからだ。

 普通なら、ただの同姓同名で片付くかもしれない。

 

 だが、俺には中川さんの前例があるため、ただの同姓同名か〜などと、納得することは、到底できない。


 てか、岡村って、あのゲームの主人公のことだよな。

 似って、やっぱり俺は岡村に似ているのか?

 実際に見ないことにはとてもじゃないがわかるはずがないが。


「うるせぇな! どうしたんだよ! お前、俺の名前がなんかあんのか?」


 俺がでっかな声を出した為、彼女は、眉間にしわを寄せて、そう苦言を漏らした。


「あの……つかぬことをお聞きしますが、もしかしてあなた別の世界から来ました?」

「お前! 何でわかった! もしや、超能力者か!」


 そう彼女はとても驚いた顔をしていた。いや、超能力者というか、どちらかといえばあなたの方が超能力者っぽいですよ。


「まぁ、今は、そんなことどうでもいいや、それよりお前! 今時間空いてるか? 勝負だ! 勝負しよう!」 


 いやいや、何故そうなる。

 この彼女のゲームの中のすぐ喧嘩をふっかける設定は三次元のこの世界でも健在らしい。


「遠慮しておきます。それに俺これからバイトなので」 


 俺はバイトがあったので、そう言って彼女に言った。本当に彼女にこうやってずーと構ってたらバイトに遅刻しかねない。


「ちっ! なんだよつれねぇーな、いいだろ、勝負」


 やばいこのまま彼女とここで、話していると完全に遅刻する。


「……わかった、一回だけだぞ、でも、その代わり勝負するのは、俺のバイトが終わった後だ」

「う〜ん、仕方ねぇーな! わかった、バイト終わるまでここで待ってるから、絶対来いよ! 約束だからな」


 おいおい、ちょっと待て、彼女、バイトが終わるまでここで待つ気か!?


「ちょっと、待って、さすがにそこで待つのは、だって俺……バイト、結構時間かかるよ」

「なに? そうなのか、う〜ん、どうするか?」

「そうだ! ならお前のバイト先で待たせてもらう!」

「……えっ? ほんとに言ってんの?」

「当たり前だ! 俺に二言はねぇ!」


 やれやれ……なんだか、面倒な事になってきたぞ。

 そして、俺と彼女は、バイト先まで一緒に行った。


「じゃあな! お前! バイト終わったら、俺に声かけろよ!」

「ああ、わかった」


 彼女は俺にそう言い放つと、バイトの店の中にある、空いている席に座った。

 俺はそんな根石さんが来店しているファストフード店でいつもと同じくレジをしていると。


「ねぇ、ねぇ、山田くん、あなたあの可愛い子に何かしたの?」

「……えっ?」


 先輩に指摘され、俺は先輩が言う方法を見た。

 すると彼女、根石さんがずっと眉間にシワを寄せ、こちらを見ている。

 ちょっと流石に根石さん怖いって。


「あの子、知り合い?」

「まぁ、知り合いって言うか……」


 あの子はさっき知り合ったばかりだし、まぁ、俺はゲームで彼女の事を前から知ってたけど。


「先輩、ちょっとここお願いしてもいいですか?」

「ええ? まぁ、いいけど、どうしたの山田くん」

「ちょっと、それは後で話します」


 そう先輩に礼を言って、俺は彼女が座っている席に向かった。

 やれやれ、本当になんとういうか世話が焼けるというか。


「あの〜すいません、お客様? どうされましたでしょうか?」

「遅い」

「はい……?」

「お前! 遅い! さっさとバイト片付けて、俺と勝負しろ!」 

「いやいや、あのそもそも、バイトっていうのはシフトがあって、その、バイトの時間決まってるから……」

「ふん、そうなのか? でも遅い!!」


 あの、話聞いてました?

 どうするか、このままでは、らちがあかない。


「そうだ、ちょっと待ってて」

「あ? ちょ、お前! おい!!!」


 俺はやや駆け足で、レジへと向かう。

 とりあえず根石さんを落ち着かせないと根石さん体育祭で玉入れの入れ物をぶっ壊したりしていたからな……まじで何するかたまったもんじゃない。


「先輩! そこにある、ハンバーガーとポテト注文で!」

「えっ? ああ、わかったわ」


 そして、俺はハンバーガーとポテトを持って、根石さんの座ってる席に向かった。


「はい! これ……」

「なんだこれは?」

「これは、ハンバーガーとポテトだから、きっと根石さんも気にいると思う」

「ふん! そんなもので俺のご機嫌とりか? そんなもので俺のご機嫌が取れると思うなよ」


 ***


「いい食べっぷりだな」

「これやべえーな! こんなに美味しいもんが存在すんのか? なあ!?」


 ご機嫌取れると思うなよと啖呵を切っていた根石さんだが見事にハンバーガーとポテトを食べるのに夢中になっている。


「何だよこれ! ちょー美味しいじゃんかよ! おい! お前! これ、まだあるか? もっとくれ!」


 中川さんもこの世界の食べ物は美味しいって言ってたから、きっと、根石さんも気にいるだろうと踏んだか、やはり気に入ってくれたか。


「そうだ、根石さん、ハンバーガーいっぱい種類があるけど……なにか食べたいものある?」

「全部」


 は? さすがに冗談だろ、冗談と言ってくださる……根石沙羅さん。


「いやいや、流石に全部は、根石さん食べれないでしょ!」

「いや! 今の俺なら行ける!! なんたって、昨日からなにも食ってないから!」


 根石さん昨日から何も食べてないのか?

だが、そうだとしても全部は流石に、食べきれないのが目に見えるっていうか。

 それよりも俺の出費がバカにならない。


「根石さん、せめて後ハンバーガー二個にして!」

「ったく、仕方ねぇーな!」


 彼女が案外早く引き下がってくれてよかった。

 それから根石さんは、チーズバーガーと、テリヤキバーガーを選択して、俺が持ってくる。


「はい! どうぞ! ゆっくり食べてね」

「おお! うまそうだな!」


 そう言って彼女はチーズバーガーに豪快にかぶりつく、全くいい食べっぷりだな、根石さん。

 俺はそれ見て、自分の持ち場へと戻った。


「山田くん? 大丈夫そう?」

「あ、はい! なんとか!」

「それより、その美少女だれよ!」


 そう、先輩が興味津々に聞いてくる。


「その、さっき道でばったりあって、その、勝負吹っかけられたっていうか……」

「そうなんだ、大変だね、山田くん、いざとなったらこの生徒会長! お姉さんを頼みなさい!」

「ありがとうございます!」


 こういう時の先輩はとても頼りになる。

 すると、少し経ってからまた根石さんが眉間にしわを寄せこっちをガン見している。

 またか。


「ちょっと、行って来ます先輩」

「あ! うん! 行ってらっしゃい」  


 俺はそう言って、また彼女の席へと向かう。 


「あの、それで、お次は何を?」

「これやるよ!」


 ……は?

 そう言って、根石さんがテリヤキバーガーの食べかけを渡してきた。


「もう! お腹いっぱいだから、お前にやるよ!」


 だから、言わんこっちゃない。

 俺はさっき本当に根石さんの要望通り全部のハンバーガーを買っていたらと……そう考えると腰が抜けてくる。


「いやいや、それは、流石に」

「あ? お前もお腹いっぱいなのか?」


 いやいや、そうわけではなく、これは、いわば彼女の食べかけ、これを食うと。

 あの、間接キスになってしまうではないか!?


「ええ〜もったいねぇから食えよ!」


 さて、このハンバーガーどうしよう。

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