105話 俺も同じ気持ちだよ
「このお寿司美味しいー!!」
回転寿司で俺とテーブルを挟んで正面に座る中川さんはマグロの寿司を口に入れて幸せそうに声を上げた。
「鈴音ちゃんどんどん頼んでいいからね!」
「うん!! ありがとうお母さん!!」
この回転寿司は寿司がランダムで客席沿いを回るコンベアに乗せてそれを自由に選ぶことの他に、各テーブル一つ一つに備え付けられているパットで自分が食べたいものを注文することができる。
「うーん、どれも美味しそうだな……」
俺はパットに映し出された溢れんばかりの寿司の種類を見てそう呟く。
「この寿司も美味しい!! もうほんとに幸せ!」
中川さんほんとに美味しそうに食べるな……
俺は美味しそうに食べる彼女に少し見惚れていた。
「ほら! 海人!! 鈴音ちゃんに見惚れていないで選ぶ選ぶ!!」
「え!? ちょ!? 母さん!!」
俺の横に座っている母さんが俺がパットを持ったまま中川さんの方をじーと見ていたためそう指摘してきた。
「……海人、今私に見惚れてたの?」
「え? いや……見惚れてないって言ったら……その、嘘になる……」
中川さんが不適な笑みを浮かべるので俺はパットを操作しながら小さな声で言った。
「そっか……えへへ……」
中川さんは俺の発言が気に入ったのか嬉しそうだった。
「母さんが余計なこと言うから!!」
俺は恥ずかしくなって母さんにそう言った。
「うふふ! いいじゃない! 鈴音ちゃん嬉しそうなんだし!! ほら! 選ぶ選ぶ!!」
「そんなに急かすなよ……全く……」
俺はパットを操作して食べない寿司を注文した。
「あれ? 中川さんそれ何?」
「え? ハンバーグ寿司ー!!」
すると、しばらく経った時、パットからご注文が到着しますとの通知が来た。この回転寿司はコンベアが2段に分かれており、下の段はランダムに寿司が回っているコンベアで上の段は注文した寿司が届くために存在する。
そして、俺より先に注文していた中川さんの寿司が俺たちのテーブルへと到着して、中川さんはそれを食べようとした時、俺は見慣れない寿司を食べようとしているので思わず聞いた。
「ハンバーグの寿司なんかあるんだ……」
「うん!! 私もびっくりしたよ! まさか回転寿司に来てまでハンバーグが食べれるなんて!!」
「ん? ハンバーガがどうかしたの? 二人とも」
俺と中川さんが会話をする中、ハンバーグに引っかったのか、母さんが俺たちに聞いてくる。
「中川さんはハンバーグがとても好きなんだよ!」
「そうなの!? 鈴音ちゃん!! 今度美味しいハンバーグ屋さん知ってるからさ! 連れてってあげるわよ!!」
「わーい!! やったー!! 嬉しいー!」
俺が母さんに彼女がハンバーグが好きなことを言うと、母さんは中川さんにハンバーグ屋さんに連れて行きたいと言った。
「ほんとよかったね! 中川さん!!」
「さあ! どんどん食べなさい! あんたたち!」
「はーい!!」
母さんが俺たちに呼びかけたことで中川さんが嬉しそうな言葉を漏らした。
そして、回転寿司を食べ終わり俺たちは家に向かって歩いていた。
「美味しかったー! もうお腹いっぱい!!」
帰り道、横を歩く中川さんが満足そうな顔でそう呟く。
「どうだった? この世界の回転寿司は」
「すっごく良かった! お寿司がいっぱいあるし」
「それは良かった……」
「海人! 回転寿司連れてきてくれてありがとう!!」
「いや……俺じゃなくてお礼は母さんに……俺は別に何もやってないから……」
「後でお母さんにも感謝するけど……それでも海人にはお礼言いたくて!!」
「中川さん……なんか照れるな……」
俺は中川さんにお礼を言われて照れる。
母さんは俺と中川さんの前を歩いている。
「私……海人と出会えて本当によかった!!」
「……む、中川さんどうしたのほんとに……ほんとに……」
調子狂うな……俺は自分の頭を優しくかいた。
「あ! 見て見て! 星が綺麗!! すごい!」
「そうだね……綺麗だ……」
俺は夜空に輝く星を見た。今日の夜空は雲ひとつなくて、星がよく見える。
「あんたたちどうしたの? 空ばっかり見上げて」
「お母さん見て! 夜空めちゃくちゃ星が綺麗!」
「ほんとね! 星が綺麗ね!」
母さんに言われると中川さんは星を見ながらテンション高そうに言う。
「お母さん今日ありがとう!!」
「ん? どうしたの? 鈴音ちゃん?」
「私を回転寿司に連れてきてくれてありがとう!! お母さん!!」
中川さんは先ほど俺に母さんに感謝を述べると言ったてまえ、母さんに感謝を述べる。
母さんはびっくりした様子を見せていたが、すぐににっこりと笑った。
「鈴音ちゃん〜!! もっとこの世界の食べ物とか色々見せてあげるから!!」
「うん! 楽しみだな! この世界の食べ物美味しいから!!」
母さんと中川さんは互いに顔を合わせて笑う。
俺はその様子を見て微笑ましく思い笑った。
「じゃあ! 鈴音ちゃん! 海人! また来るからね!!」
「うん! またね母さん……」
「もう帰っちゃうの?」
家について、リビングにてテレビを一時間ほど見ていると母さんがそう言って座っていた椅子立ち上がって、玄関に向かいながら俺たちに振り向き挨拶をする。中川さんは母さんが帰ると言ったことに若干の寂しさを馴染ませた。
「鈴音ちゃん! また来るから! 今度来た時修学旅行の話いっぱい聞かせてね!!」
「うん! 修学旅行の話いっぱい見つかるように修学旅行楽しむ!!」
俺と中川さんは玄関に向かう母さんの後ろについて行って、中川さんと母さんはそう会話をする。
「それじゃあ! 二人ともまた今度ね! 修学旅行楽しんで!!」
「じゃあ! 母さん! また今度!」
「バイバイ!! お母さん!!」
俺と中川さんは手を振ってドアから一歩を踏み出す母さんに挨拶をされたので、そう挨拶の返しをする。
「お母さん……帰っちゃったね……」
「まあ……母さんも忙しいからな……」
「お母さん帰っちゃって寂しいな……」
中川さんは母さんが帰ったことに寂しさを感じているようだった。
てか、母さんと中川さんは俺の知らない間にどんだけ仲良くなっていたんだ……
「そういえば……中川さんえらい母さんと親密そうだったけど何かあったの?」
「えへへ! それはね!! これ見てよ!」
中川さんはポケットからスマホを取り出して俺にある画面を見せてきた。その画面には母さんと中川さんがOINEにてメッセージのやりとりをしている様子だった。なるほどそういうことだったのか……
「へえ〜母さんとメッセージのやり取りを……」
「そうなの! 海人は元気にやってる? とか、学校のこととかいっぱいメッセージでお話ししてるんだ!」
「そうなんだ……」
母さん中川さんに俺に関する恥ずかしいことと言ってないよな……まあ、身に覚えがないのだが……
それから俺たちはリビングに座って、俺はテーブルの前にある椅子に座り、中川さんはソファに座る。
「海人ってさ……お母さんとかお父さんとかと離れて暮らしてさ寂しいって思ったことある?」
「離れて暮らして……寂しいか……」
しばらく、テレビを見ていると中川さんが唐突に俺に質問をなげかせてくる。
「寂しいと思う時もあったよ……」
「やっぱり海人も寂しいと思うこともあるんだね……」
確かに一人暮らしの時は寂しいと思うことも度々あった……でも……今は……中川さんが俺と一緒に……一つ屋根の下の元暮らしている。俺は中川さんとのこの暮らしが楽しい……今は寂しさなんか感じない……だって君がいてくれるから……
本人に伝えるのは恥ずかしいからしないけど……中川さんはさっき俺と出会えて本当によかったと思っているけど……俺も同じ気持ちだよ中川さん……




