104話 俺は中川さんを家族のように思ってる
あれから一週間がたった……修学旅行まであと一週間と迫っており……今日は母さんがうちに修学旅行用の中川さんが使うキャリーバッグを届けくれることになっている。
俺の使うバックは家にある……
「あ! 中川さん! 母さんもうすぐつくって!」
「そうなの! 久しぶりだな!」
そうか……中川さんが俺の母さんに会うのは8月以来か……
「ピンポーン!」
すると家のインターホンが音を鳴らした。
「あら! 海人久しぶりね!」
俺が玄関まで行って鍵を開けるとドアを開けて母さんが俺に挨拶しながら家に入って来た。
「久しぶり……母さん……」
「あら! 鈴音ちゃん! お久しぶり元気にしてた?」
「はい! お母さん!! こんにちは!!」
中川さんは嬉しそうに玄関まで来て母さんに挨拶をした。
てか、今……俺の親を……お……お母さんて……中川さん……
「もう鈴音ちゃんかわいい!! もううちの娘だわ!」
「いや……娘って……」
母さんが中川さんにそう嬉しそうに言った。
「私もお母さんのこと私の二人目のお母さんだと思っていますよ!」
「あら〜! やだ〜嬉しいー!!」
母さんは中川さんにそう言われて嬉しがる。
この二人はいつの間にこんなに仲良くなっているんだ……
「はい! 鈴音ちゃん! これキャリーケース」
「ありがとうございます! お母さん!」
中川さんはキャリーケースを母さんから受け取った。
「あんたたちもうすぐ修学旅行なんだってね……いいね!」
母さんは玄関から足を踏み入れるとリビングにあるテーブルの前にある椅子に座った。
「私! 修学旅行すっごく楽しみ!!」
中川さんはキャリーケースを中川さんの部屋に置いてきてリビングに戻ってくると母さんが座っている椅子のテーブルを挟んで前に座って言った。
「鈴音ちゃんこの世界はまだまだ楽しいことがいっぱいあるからさ! 修学旅行でいろんなところを見てちゃんと楽しんでね!!」
「うん! 楽しむよ! 母さん!!」
俺はテーブルの横にあるソファの前で床に座るが、この会話はもう母と娘の会話だった。
「海人! あんた鈴音ちゃんのことちゃんとエスコートするのよ!」
「エスコートって……」
「だって……鈴音ちゃん別の世界からやってきたんだし! それに修学旅行っていったらここから遠く離れた場所にも行くんでしょ! だからあんたがちゃんとエスコートすること!」
「……母さんに言われなくてもやるし……」
「海人! 私のことエスコートしてね!」
中川さんが頬杖をしながら俺のことを微笑ましい視線で見てくる。
「……うん……俺中川さんが修学旅行楽しめるように頑張るから……」
俺は頭をぽりぽりかきながら恥ずかしがりながらそう言った。
「海人……楽しみだね! 修学旅行!!」
「うん……」
「あ! そうだ! 海人と鈴音ちゃん! 夕飯まだ食べてないんでしょ?」
母さんは俺たちに向かってそう言ってくる。
夕飯……俺はリビングに設置されている時計を見る。すると、時計は午後一六時を回っていた。
「もちろん……まだだけど……どうしたの?」
俺は母さんにどうしたかを聞く。
もしかして、母さんが夕飯作るのか?
「じゃあ外食にでも行きましょうか!!」
「外食!?」
母さんの発言にいち早く反応したのは中川さんだった。
「そうよ! 鈴音ちゃん! 外食したことあるかしら?」
「うん、あるよ! この世界の外食はとってもおいしいよ!!」
中川さんはとても嬉しそうにしていた。
「母さん……具体的にはどこに行くの?」
「うーん、そうね……回転寿司なんてどう?」
母さんはしばらく考えたような様子を見せてから答えを出してきた。
回転寿司か……そういえば中川さんがこの世界に来てから一緒に回転寿司は行ってはいな……
「回転寿司! って寿司がぐるぐる回わってそれを取るやつでしょ!?」
中川さんは明らかに興奮した様子だった。
「そうよ! 鈴音ちゃんの世界にもあった? 回転寿司」
「あったよ! 回転寿司は寿司がいっぱい出てきてとても美味しいの! だからこの世界の回転寿司に行けるなんてとても嬉しい!!」
「それじゃあ、行きましょうか!」
「ちょっと待って母さん……まだ四時だよ……流石に夕飯にしては早くないかな……」
「うーん、それもそうよね……じゃあテレビでも見て待ちましょうか……それで午後五時とか六時とかになったら出発しましょう!!」
母さんはそう言ってテーブルにおいてあったリモコンでテレビをつける。
すると、テレビをつけるとちょうどひとつの化粧品のCMがやっていた。
「あ! これ今度修学旅行で行くところ?」
中川さんは化粧品のCMの後に流れた、USVのCMに目を光らせた。
「うん! そうだよ……」
俺は中川さんに返答する。
「え? あんたたち修学旅行でUSV行くの?」
「私も一週間前に聞いたけど! 後でスマホで検索して見たらすごく楽しそうだった!」
「いいわね! 修学旅行でUSVか! 鈴音ちゃんもし海人が迷子になったらその時はよろしくね!」
「うん! 私海人が迷子になっても絶対見つけ出すから!!」
おいおい……さっきの中川さんのエスコートのくだりはどこに行ったんだ……なあ、母さんよ
「さて……午後六時になったことだし! 行きましょうか! 回転寿司!!」
「やったー!!」
しばらくテレビを見ていると、あっという間に時間が過ぎて、気づけば午後六時を回っていた
一一月中旬の今はもう日没が早いので辺りは暗い夜に包まれていた。
俺たちは家から歩いて回転寿司を目指した。
「回転寿司ーめちゃくちゃ楽しみー!!」
中川さんが俺と母さんの一足前に出て嬉しそうに歩いている。
「ねえ、海人……あんた鈴音ちゃんのことどう思ってんの?」
「……は!? なんだよいきなり……そんなこと聞いて……」
「だって気になるじゃーん! 海人あんた全然私に家のこととか話してくんないじゃん!」
母さんと俺はゆっくりと歩き話をしていた。
「……家族にように思ってるよ……」
「え? 家族?」
「なんでびっくりしてんだよ……俺に聞いてきたの母さんだろ……」
母さんは俺に話を振っときながら俺の返答にびっくりしていた。
「あんたのことだからてっきりなんとも思ってないよ……とか言うと思って……家族か……」
母さんはなんだか感慨深そうに中川さんのことを見つめる。
「まあ……別の言い方をすると一番距離が近い他人かな……」
ちょっと待て……さっきから俺母さん相手に何言ってるんだ?
俺は淡々と中川さんが俺の中でどういう存在なのか語っていたが、相手が母さんだということをすっかり忘れていた。
「今の話鈴音ちゃんに言ってあげればいいのに! きっと喜ぶわ、あんたなりに捻り出した鈴音ちゃんに対する思い」
「いや……恥ずかしいからいいよ……」
それに……中川さんの告白も返事を待ってくれって言ったから待たせたままで……それに月野さんの告白の件だってそうだ……
俺はちゃんと考えて答えを出さなきゃ……
いつまでも……答えを先延ばしにしたらダメだ……二人はきっと勇気を振り絞って思いを伝えてきた……俺もその二人の勇気に応えなければならない




