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10話 もっとこの世界のこと知って欲しい

 俺たちは、洋服を買い終わったことにより、続いて食材を買いに行くため、スーパーへと向かった。


 それにしても、さっきあんな事があったんだ。

 俺ももっと注意深く中川さんに注意を払って、いざって時、中川さんの事をフォローできるようにしないと。


 現状、この世界で、中川さんがゲームの世界からやって来た事を知るのは、俺しかいないから、俺がしっかりしないと。

 俺は人一倍気合いを入れた。


「そういえばさ、食材って、一体誰の食材を買うの?」


「それは、山田くんのだよ! 山田くんの家に食材が全然なくて、それで買いに行こうって!」


 ちょっと、中川さん? いくらなんでも喋りすぎじゃないか?

 今現在、俺は彼女と一緒に住んでいることがバレてしまうかもとヒヤヒヤする。


「もしかしてさ、二人って」


 中川さんの話を聞いて、月野さんが何かを言おうとしている。

 俺はまさか同棲がバレたんじゃないかと思い、勢いよく唾を飲んだ。


「結構……仲良い??」

「……っ!? そ、そうなんだよね! ね! 中川さん!!」

 俺はすぐさま中川さんに話を振った。

 危なっ! バレてはいないようだった。


「うん! 私、結構! 山田くんと仲、いいと思うよ!!」

「そうそう! それはよかったよ〜」


 中川さんがそう告げると、月野さんが笑顔で首を縦に振ってそう答える。

 そうこうしている内にスーパーが見えてきた


 ここのモオンのスーパーは、俺たちが入ったショッピングモールの入り口からだとおよそ反対側に位置している。


 そのため俺は結構、スーパーに行くのに歩いた感覚に苛まれた。

 そして、スーパの入り口の上にはでっかく「ハスミ」の文字が。


 俺たちは、入り口付近にある、ショッピングカートいわゆるカートを取りに行ってその中にカゴを入れて、店内に入った。


「ねぇ! ねぇ! 見てみて、山田くん! このカート! タイヤついてるよ!! 動くよー! すごいねー!」


 そう言って彼女はしゃいでいた。

 周りにいる大人たちは和かな笑顔で彼女を見ていた。

 もしかして中川さんショッピングカート見るの初めてなのかな?


 まぁ、はしゃぐのは無理もないか、だって彼女は昨日、ゲームの世界からこっちに来たばっかりで、知らない事、初めてのものばっかりだもんな。

 俺はそんなはしゃぐ彼女を見て、癒される感じがした。


 そして、俺たちはスーパーの中を進んで行く、中川さんは、スーパーのカートを手で押しながら、初めて見る商品に少年、少女の輝かしい眼を光らせて、進んで行った。


「ねえ! 山田くんわたしたち今、一緒にスーパで買い物してるじゃん」

「うんそういえばそうだね!」

「これってさ! わたしたちなんだか夫婦みたいじゃない?」

「ぶふ!!」


 俺は月野さんが笑顔でいきなりそんなことを言うので思わず吹き出す。


「夫婦って、あの夫婦だよね……」

「うん!! そうだよ!! な〜に? もしかして〜山田くん今わたしとの結婚生活でも想像しちゃった?」


 月野さんはニヤニヤしながら俺をからかってくる。なんだか月野さんは凄く楽しそうだった。


「いや、全然結婚生活なんか想像してないけど……でもさ……俺は月野さんの旦那さんになる人はとても幸せな人なんだなって思うよ!」

「……ぇ? 山田くん、幸せとは!?」


 月野さんは顔を真っ赤にして俺に言ってくる。

 え? 俺なんかまずいことでも言ったかな?


「いや、だって、月野さんとっても素敵だし。そんな人をお嫁さんに持つ人は幸せなんだろうなって思っただけだけど」


「ば!? 山田くん、ありがとう……」


 月野さんは恥ずかしがりながら俺に感謝を伝えて、カートを押しながら前を歩いている中川さんの元へ走って向かっていった。

 え? やっぱり俺何かまずいこと言ったかな?


 それから俺たちは何を作ろうとしているのか考えていなかったため、とりあえず食材をあれこれカゴに入れた。

 そして、スーパーの中をゆっくり進んでいくと、中川さんは嬉しそうに呟いた。


「ここのスーパーいや、この世界のすっこぐ面白いね!!」

「そう? 中川さんのいる世界とそんなに変わらないと思うけどな」


 中川さんの世界のスーパはゲームを通じて知っているため俺はこっちの世界と中川さんの世界のスーパーの違いがよくわからなかった。


「ねぇ、山田くん、中川さんの世界ってなに?」

「……えっ!? あはは笑、何だろうな自分で言っててもよくわからないわ、はは」


 危ねぇー! 今一瞬、月野さんがいること忘れてた!


「ふふ笑! なにそれ……山田くんも面白いこと言うね!」


 ……とりあえず、彼女には誤魔化せてよかった。


「ねえ! 鈴音! 山田くん! わたしちょっとあっちで気になったものがあるから先二人で回ってて!!」


 月野さんは俺たちにそう言い残し一人早歩きでどこかに向かって行ってしまった。


「今日の夜ご飯、シチューにしよっか!!」

「うん、シチュー楽しみだな! その、中川さん、ありがとね! 俺に夜ご飯作ってくれるなんて……」

「ううん!! 私山田くんの家に居候しているわけだし、それに今日の朝言ったでしょ! それぐらいはさせてよ!!」


 俺と仲川さんは二人でシチューを作るのに必要な食材をカゴに詰めた。


「あ! 中川さん! ここは俺がレジで会計を済ませるからさ! あっちで月野さんと一緒に待っててよ!!」


 食材を買い終わった俺たちは食材を買うためにレジに並んでいた。


 俺は月野さんがスーパーのレジ奥にあるサッカー台の近くで俺たちをみながら笑顔を靡かせていたので、中川さんはこの世界に来たばっかで混乱させるわけにもいかないので月野さんと一緒に待っててと促した。


「わかった! 私、雫と一緒に待ってるね!」

「うん! また後でね!」


 俺は中川さんにそう言った後、レジで先ほど買った食材の会計を済ました。


「なんか、ごめんね、私だけ何だか楽しんじゃって」

「いやいや、俺も中川さん見てて、楽しかったよ」

「そうよ! 鈴音ー! 何だか、私まで楽しい気持ちになっちゃったんだから!」


 スーパを出た後、ショッピングモールを出るために、出口に向かって歩いていた俺と月野さんは、中川さんにそう言った。

 俺はさっきの彼女の初々しい反応がとても愛おしく思ってしまった。

 そして、中川さんにもっとこの世界の事を知ってもらいたい。


「いやーたくさん買ったね!」

「ごめん……レジ袋、持ってもらっちゃって……」


 俺は自分の両手じゃ、収まりきれず一つ袋を月野さんに持ってもらっていた。


「うんうん! 私、今日とっても楽しかったから……これぐらいどおって事ないよ!!」

 モオンを出ると、空一面がオレンジの色彩に包まれていた。

 もうこんな時間か。


「いやー今日は楽しかったよ! ありがとう二人とも」


 月野さんが俺たちに感謝を述べた。

 そんな、俺は月野さんが今日来てくれてすごい助かったよ。


「いや、こちらこそ、月野さんがいてくれて助かったよ」


 実際、月野さんのおかけで中川さんの服選びに関して助かったからな。


「雫、山田くん」


 俺は中川さんに呼ばれて、月野さん同様、彼女の方を向いた。

 どうしたんだ? そんなに顔を赤くして。


「……また、来ようね、モオン……」


 そう彼女は、恥ずかしがりながら言った。

 俺と月野さんは顔を向かい合わせてニコッとした。


「うんうん! また来ようね! 鈴音」

「うん! そうだね、また来よう……」


 月野さんと俺はにっこり笑い中川さんに言葉をもらす。


「あっ! そうだった、これ」


 そう言って、月野さんが片手に持っていた……レジ袋を差し出した。 

 そのレジ袋を中川さんが受け取り……

 月野さんが後ろ歩きで一、ニ歩下がり、

 

「じゃーね! 今日は楽しかったよ! ありがとう、また学校でね〜〜」


 そう月野さんが元気に手を振って、歩き出した。


「俺たちも行こうか……」

「……うん……」


 それから、俺たちは重いスーパーのレジ袋を持ちながら、帰り道をゆっくりと歩いた。


「山田くん」

「なに?」

「今日はありがとう、楽しかったよ……」

「それは、よかった、もっとこの世界には中川さんの想像もつかない素敵なことがたくさんあるからね! 君がこの世界にいる間もっと君にこの世界の知って欲しいから色々見せてあげるよ!」

「やったー! 楽しみにしてるね! 山田くん!」


 昨日から中川さんがこの世界にやってきて俺と同棲をすることになって一日が経ち、中川さんはこの世界に着々と慣れていっている。

 この世界の洋服、食べ物、建物。

 君はこの世界の全てに初々しい反応を見せてきた。俺は彼女の反応を見てもっとこの世界のことを知って欲しいと思った。

 今日の月野さんと一緒に行ったショッピングモールでの買い物の思い出で中川さんの不安が少しでも和らげばいいな。

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