瞳の奥に
……15禁だと
…やっぱりアウトでしょうか…??
欲しいのは、愛の証。
どこにいても、抱きしめられる確かな、幸せの証拠。
そんなんじゃない。
観念は、不安と一緒に飛んでった。
理性なんて、とうの昔にに焼き切れてる。
ただ感じたい。
先輩を、もっと、ずっと、近くで。
ただ率直に、淫らに。
欲望のまま、求め合うだけ。
抱えられる様にして、雪崩れ込んだベッドで、狂ったみたいにお互い、口づけをむさぼる。
先輩の広い胸板が、私をベッドに沈めた。
私の涙を吸い込んでいた枕は、相変わらず単調に受け止めるだけで。
切迫したお互いの吐息が、たちまち乱れるシーツにこぼれた。
「んっ……はぁ」何度も何度も重なる、先輩の熱い唇。
その度に感じる、鍵がかみ合ったときの様な充実感。
繋がりあってることこそが普通で、離れてることの方がおかしい。
そんな感覚になった私は、先輩に、呼吸さえ支配された。
輪郭をなぞられるだけで、どうしてこんなにゾクゾクするの?
広い世界で私一人の存在を、確かなものにしてくれる。
それでいて、全て剥がして奪い去って、溶かして解放してくれる。
好き。
どうしよもなく好き。
愛してる。
「っあ……ん…ふっ」
甘い痺れ。
骨ばった先輩の指。
食い込むほどに抱きしめて。
もっと、もっと。
悲しみが熱にかわり、焦がれる想いが加速する。
こらえきれない衝動を、ぶつけるように、泣くみたいに喘げば、苦しみを吸い出すみたいな口づけ。
あぁ、この皮膚が邪魔だ。
一緒にして。
離れて、いかないで。
「先…輩…」
「緋織…名前、呼んで…」
先輩の声も、震えてた。
「来栖、先輩…?」
「じゃなくて」
「…アキラ、先輩…」
求めながら、抑えた声音。
そうしたら先輩は、小さな声で。
「ありがとう」
って。
あぁ。
快感で、呼び戻された甘えのままに抱きついて。求めるだけの私。
それじゃだめ。
私は先輩に、キスをした。
なるべく攻撃的に、挑発的に。精一杯の愛を込めて。
大丈夫よ、って。
大好き。大丈夫。
私なら、大丈夫。だから。
あなたその強さ、優しさ、その震える、睫毛の一筋までも、愛してるから。
今日は、最後まで…。
そう言うと、先輩は一瞬驚いて。
それから、切なそうな、苦しそうな顔。
それから、厳しい顔で、私の足にかけた手に、少し力を込めた。
「……いいのか?」
本当は、少し怖い。
けど、私を見据えるのは、拒絶を、してくれといわんばかりの瞳。
こんな私のことを、こんな私の体を、大切に想ってくれる。切実に求めてくれる。
全部、差し出したい。
「いいの…それとも…アキラさんは、イヤ?」
「バカ…んなはずねぇだろ」
言い終わらないうちに、噛みつくようなキス。
凶暴なくらい切実で、めまいがする程に淫ら。
力を誇示するように攻め立てるのに、瞳はまるで傷ついた獣みたい。
優しくて、強い人。
時に、優しさにさえ傷つく、繊細な人。
好き。
大好き。
そんなあなただから、好きになったの。
「私は…大丈夫」
上手く力の入らない腕で、それでも精一杯、先輩を抱きしめた。
先輩…泣きそう。
「…んな、こと言われたら……悪い。俺、加減、できそうに、ない」
「うん」
「もう、しばらく会えないと思うと…苦しくて…きっと今夜は、歯止めきかねぇと思って…俺…我慢、してたんだぞ」
「うん」
「…お前、初めてなのに…」
うん。
「大丈夫。お願い…先輩を」
頂戴。
瞬間。
突き抜けた。
こすれる痛みを一瞬感じて、少しだけ戻ってきた不安に怯える隙も無く、熱が駆け抜けて全身を焼いた。
「っぁ、ああああっ!」
ほとばしる、悲鳴みたいな声。
チカチカする意識の中、先輩の吐息を、首筋に感じる。
直に感じる、先輩の体温。
意識が、遠いとこにいきそう。でも大丈夫。何も怖くない。
先輩がずっと、抱きしめててくれる。
「緋織…緋織…愛してる」
私は、自分が薄れてく感覚の中、快感にだけ身を委ねた。
翌日。
中々起き上がれなかった私は、先輩と二人、寝坊して、ゴロゴロ過ごした後、先輩は、夕方の便で飛び立った。
大丈夫。
読んでくださりありがとうございました。