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6話.事情説明と日本円

一通りの説明を終えた。

浮気がバレた旦那さんが必死に言い訳するような情けない気分になったが、誓って言うがやましいことはなにもない。

考えても見てほしい。

いつの間にか洗脳されてて仲間にカッコつけたくて全力ホーリーを使ったら魔王倒しちゃったけど、同じように洗脳されてた獣人が味方のはずの獣人達に襲われたら連れ帰るしかないってもんだ。

それを噛み砕いて説明しただけで、浮気の言い訳では断じてない。

徐々に笑顔のまま目が怖いマリアから、慈愛に満ちた聖女マリアが戻ってきた。

こいつも洗脳されてたんじゃないのか?と思わなくもなかったがそれは置いておこう。


「貴方に洗脳が効くなんて思わなかったわ。

それって恐怖よね。貴方みたいな規格外が洗脳されたら簡単に世界を滅ぼしてしまうもの」


「そこに俺の意志は関係ないからな。洗脳されてる意識もなく、味方を敵、敵を味方だと誤認させられてたのは今考えても腹立たしいわ。

ヤルンさんなんて、ご主人だと思わされてたんだしな」


「止めてもらえますか?あんなのが主人とか本当に気持ち悪いので」


底冷えするような目で睨まれた。

この事は離してはいけない内容だと記憶を封印した方がいい。

ミャンちゃんは退屈なお話に飽きてリュードとシャーライとともに遊んでいる。


「そこまでの洗脳になんで簡単にかかるんだろ?

普通だと、魔力が高いほど死霊の攻撃や洗脳にはかからないって言われてるんだけど」


「いや、全くわからない。どちらかって言うと魔力のそれほど高くない獣人はかかってなさそうだったけど」


「だとすると、魔力が高いほうが洗脳にかかりやすい特殊魔法みたいなものがあったのかな?」


逆転の発想を口にしたマリアに衝撃を受けたような顔でコーヒーに口をつけコトンとコースターに置くと口を開いた。


「それはあるかもしれませんね。私とミャンは普通魔力をあまり持たない獣人の中で飛び抜けた魔力総量を持っていましたので」


そうなると俺もか。

魔力を媒介にする寄生虫とかそういうのも考えられるな。

悍ましいにも限度があるだろ、あの間抜け魔王。


「対策は全く考えつかないけど、とりあえず対邪神には不要な技術だろうからもう忘れることにする。思い出したくもない話だしな」


「そうね」

「むしろ忘れてほしいわね」


こうして一連の出来事についての話は終わった。

だが、もし魔力を媒介にできる寄生虫を俺が作れたら、邪神に有効かもしれないなと考えて、俺は密かにあの紫の霧のような物を生み出せないか練習することにした。


しかし、同世代以上が女ばかりとなるとどうにも頭に浮かぶ言葉が出てくる。

ハーレム。

男のロマンで夢と希望に溢れた言葉だ。

一人は同世代、一人は未亡人

どちらも自由恋愛対象だからな。

とはいえ、紳士たる俺はお誘いがなければそのごちそうにありつけないわけだから、俺の魅力に気づかれるまではお預けだ。


それ以前に俺は邪神を倒さないといけないから、まずはそこに全力を傾けたい。

仲間で唯一の女のユーライは恋愛対象じゃなかったんだよな。

何ていうか、楽しく喧嘩する喧嘩友達みたいな感じで、

いい女だったのは間違いない。

顔、スタイル、何より胸と尻は圧倒的な魅力を辺りに振りまいていた。

それなのに、何でだろう。俺の煩悩はそういう事を全く考えられなかった。


「お腹すいた~」


リュードとミャン、それとシャーライが家の中に入ってきた。

ご飯か。食事事情も改善しないとカップ麺ばかりではな。

だが、高校4年生の俺にお小遣い以外で金なんてない。

仕方ないか。


異世界で手に入れたダイヤモンドの塊を売りに行くことにした。

野球のボール大のそれは秘蔵のお宝だ。

あの世界では価値がなく、石ころのように転がっている場所も多くあった。

カールにそんなゴミ拾ってないでさっさと行くぞ。

と言われたこともはっきりと思い出せる思い出の品。

思い出としては薄すぎるけど。

もう少し濃い思い出として森を歩いている時に蔦で転びかけて出した手をそのダイヤもどきでざっくり切ったってものもあるけど、そこまでの思い入れはない。


翌日。珍しく自室から出てきた俺に母は涙をためつつ、学校は良いから少しでも外に出てくれる方が嬉しいわと喜んでいた。

家の中から異世界に行って、なおかつ外出まくりですとも言えないので外出し、結構大きなチェーン店の質屋に行ってみた。

追い返された。

ありえない大きさのダイヤを成人してるかもわからん子供が持ってくるなんてなにかあるに違いないってことだ。

俺はネットオークションにかけてみた。

画像で信用されなさそうだったのでスマホの動画で様々な角度から撮って出品した。

早めに入金してほしかったので終了時期は2日後にしておいた。


せっかく外に出たのにすぐに帰ってきたことで気落ちしたような母に出迎えられて自室に鍵をかけてこもった。

心苦しさが棘のように俺を刺していた。


それでも俺は邪神を滅ぼさないといけない。

決意を新たにマイスペースに入ると遊び回った3人と1匹がヤルンさんにお風呂に入れられているようだった。

俺は耳を澄まして全神経を聴力に集中させるのだった。


これは、絶対に風呂を拡張しなければならない。

あわよくば混浴に

俺の決意は更なる決心に塗り替えられるのだった。

こういう時に便利な言葉がある。

それはそれ、これはこれ。

もしくはよそはよそ、うちはうち。

邪神を倒す決意も、混浴でひゃっはーするのも俺が俺であるために必要なことだ。


こういう時に俺の行動は早い。

早速ネットオークションを確認する。

アクセスが集中しておりサイトに接続できません。と出た。

何かしらのトラブルでもあったのだろうか?

金額は確認できていないけど、2日って決めちゃったし、じっくり待つとしよう。



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