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20話.これは俺の手に余る

まずは自己紹介からということで俺たちは名乗り合う。

彼はメイストリー・ハーパーというらしい。

愛称をつけにくい名前だ。メイになるのか?

日本人的感覚では女の子になるんだが。


メイは言う。


「最近夜が来ない。太陽が2つ出来たかのようにね。

だけど、大昔から太陽は一つしかなかった。

最近になってもう一つ太陽が出来たのかと思って観測していたら気づいたんだ。

太陽はしっかり半日周期で昇っては沈んでいくことに。

なら、もう一つは太陽とは反対方向で星の自転に合わせて回っているのか?

と思って観測していたがどうやら太陽ではなくこの星の衛星らしくてね。」


月が太陽のように燃え始めた?

いや、月の重力に引かれてガスが形成されて核融合が起きた?

重力はこの星のほうが強いはずだ。それも考えにくい。


「何かしらの要因で衛星が燃えだしたみたいなんだ。

原因は何か知らないけど、燃え尽きたら色んなものに影響するのではないかと考えてるんだが、誰も理解してくれないんだ。」


俺の乏しい知識でも月の重力で潮の満干が関係してたり、女性の日の話とかも聞く。

影響はあるんだろうな。


「なぜこうなったかはどうでもいいけど、最も恐れているのは衛星が降ってくるんじゃないかということなんだ。それは本当に恐怖だよ。」


有り得るかどうかは別にして、衛星の組成について考えてたけど、仮に衛星が宇宙空間のガスを膨大な量を内包していて、厚い岩盤に封じ込められていたのが、天体衝突か何かで割れて吹き出し、太陽の熱によって核爆発が連鎖爆発を起こしているのかも。

爆発によって岩盤から吹き出し、重力で留まるガスに引火し続けているのなら、月が消滅するかもしれないってことか。

重力に潰されてブラックホール化しないか?



問題点は2点かな。

1,人の生活に影響を及ぼしかねない夜のない状況

2,月がブラックホール化して太陽系の公転や磁気などに影響を及ぼす事。

いや、これの対策は俺には無理だろ。

月をこの太陽系の外に吹き飛ばす事が出来ても、重力の影響が考えられるし。

無理。神の領域だわ。

太陽に溶かされない氷の衛星に出来たら、この星の気象が変わったら、気温が下がったりするのだろうか。

わかんね~よ。


「なぁ、メイさん。これちょっと人間にはどうすることも出来ない問題に見えるんだけどさ。」


「だから困ってるんだって」


そりゃそうだ。

そうなるとこの星を見捨てて逃げるか?

星からの脱出?無理ゲー

地下に逃げたところで日光が入らないって点でいうと駄目だしな。


星を覆うシールドを張る。意味ないな。

魔法も届かないだろうしな。

外殻の中身を石、岩、土で満たす?

じゃあ、外にすでに漏れて燃え続けてるガスはどうするんだって話だ。

そもそもの話、衛星はまだそこに存在しているのだろうか?

大きさも距離も知らないから何とも言えないけど、星の光が届くまでに光の速度でどのくらいの年月で届く距離なのかによって変わる。

すでに月が燃え尽きていたらそもそも・・・。

また時間制限ありってこと?

この高難易度で?


一つ浮かんだのはマールの協力を取り付けて対策案を考えてもらうことだけど、星の規模だからどうにもならない。

手当たり次第にマイスペースに放り込んで次の異世界に呼ばれた時に永住させる?


いかんな、マジで現実的な考えが出てこない。


「メイさん。邪魔くさいからあの衛星破壊していいかな?」


「いいわけ無いだろ? しかも、人間の力で星を破壊するって正気かよ」


ま、そうだよな。仮に可能だったとしても、結局衛星がなくなる影響は発生する。

実は地球でも月が地球から徐々にゆっくりと離れている事が証明されている。

実は対岸の火事ってわけでもない。

月がなくなったら、か。

徐々に離れていることは知っていても、流石になくなったらどうなるかまで調べたことがないのが仇になったな。

一度家に戻ってネットで調べる?いや、論文を読み込む程文字を読み続ける自信はない。

確定情報がない状況で好き勝手書けるネット情報はこういう状況で混乱を招く。

よくあるのが未来に備える政治に対してこういう可能性があると誰かがネガティブなことを書くと、それを煽りこういう事が起きると徐々に確定情報のように変化していく。

そして、最終的に無責任な情報に踊らされて数が増大して政権妥当に動こうとする勢力が生まれる。

どういう状況で、どの情報が正なのかを見極める必要性がネットには求められる。

そんな事をしている時間があるかはわからないこの状況では無駄になる。


待てよ?

衛星が燃えてるにしてはおかしい。

何で熱くないんだ?

あ~もう、わからん。

参ったな。

もういい。破壊しよう。

ガスも地理も吹き飛ばそう。

重力以外の抵抗がない宇宙空間で吹き飛ばすには、大質量の物質を流星のように次々にぶつけて行って押し出す。

星の重力を振り切って、大気圏で燃え尽きないように調整する。

まずは、燃えない大質量の鉄や岩やらを適当にまとめて飛ばしてみるか。

エアーズロックみたいな規模の岩の塊を探してみるか。

鉄を加工する魔法でもあればまとめてくっつけるのにそんなものは知らない。

ロックバレットを改良するか。

石を生成してぶつける魔法ロックバレット

アイアンバレット!

イメージを鉄の塊で魔法を発動してみる。

鉄の塊が一瞬だけ出来かけたけど消えてしまった。

ん?成功仕掛けた?


そこからアイアンバレットを練習してみる。

小さな銃弾サイズなら生成できるのにどうしてか大きいものは生成できない。

魔法は魔力の流れとイメージなんだからできるはず。

何度も何度も繰り返して巨大な鉄の絡まりをイメージする。

何度も何度も。

少しずつロックバレット発動から魔力の流れを変えながら何度も何度も。

あれ?今いい感じだったか?

どう感じた時の流れを突き詰めていく。

そこから何度かやってるうちに鉄の拳大の魔法が発動した。


さっきから全て空に向けて撃っているけど、大気圏まで到達していない。

大気圏さえ越えれば慣性だけで確実に衛星まで到達できる。

せっかくだから届きそうだったら地表で爆発させたら某アク◯ズ的な感じで押し出せるか?

一箇所爆発魔法を仕込んでおいて、ジェット噴射みたいにしてみれば押し続けられるか?

まぁ、やってみよう。

そこから何日か経過した。

大きさの変更ができず何度も何度も撃っているけど速度と距離は伸びている気がするけど、大きさについては限界を感じている。

なので、俺は質より量作戦を今から結構しようと思う、

いま出てるのは太陽か衛星かわからないからメイさんに聞きに行くと衛星だというので遠慮なく本気で魔力を込める。

これで確実に明日魔力が回復するまで家には帰れなくなる。

臨界までギリギリの魔力を込めてアイアンバレット改めアイアンインジェクションを発動した。

バレーボール大まで大きくなった鉄の塊を何個も何個も射出する。

打ち止めになるまで魔力の限り続けて放ち続けて・・・

いつの間にか意識を失っていた。


何日経過したのかはわからないけど目を覚ました俺はメイさんに話を聞きに行くと不在だった。

まだ、魔力的に転移するのは心もとないからマイスペースに入って寝ることにする。

寝ても寝ても眠い気がして、ダラダラしながら、夜が来るようになっていたら帰らないとな~とかぼんやり考えていた。

最近家の中がギスギスしてる感じで帰りたくないな~とも思うけど、いつまでもこんなダラけた生活を続けるわけにもいかない。


人生最大級の気合を入れてマイスペースから出ると夜だった。

夜が来ているということは危機が去ったってことで問題ないだろう。

マイスペースを閉じると地球へ転移した。


メイがハルトを探し回っていることなど気づくこともなく。

月がなくなるという異常事態にハルトを探して走り回っていたメイの記憶にだけハルトは残ることとなり、この世界を後にした。


家に戻ると鍵を開けて家に入るとすぐにトイレに入った。

一度少し落ち着く必要がある。

耳を澄まして家の中の状況を探る。

特に俺を怒鳴るために待機してる様子もなく和気あいあいとしてるようだ。

今なら行ける。

何事もなかったようにただいま~とリビングに入ると静まり返る家の中。


「あら、陽翔おかえりなさい。

今度は近所の女の子を保護したのね」


母さんがにこやかに言う。


「巻き込んでしまっただけで、保護はしてないけど?」


嫌な予感がしたので即座に否定しておく。


「ごめんね~、私がおせっかい焼いちゃったの」


どういうことでしょうか?お母様?


「つまり、一緒に住んでもらうことになったからね」


な・何だって!

あの、清楚可憐で純粋無垢で、超絶美少女と同じひとつ屋根の下だと!?

あの、姫と?


「それは、さい・・・」


最高と言おうとして即座に口を閉じる。

何故だろう、熱々の世界にいたせいか、家の中に冷気を感じる。

恐る恐る後ろを振り返ると、マリアと黒と白がいた。

皆満面の笑顔だ。顔だけは。


「じ、じゃあ俺は疲れてるから部屋で寝るよ」


というと嫌~な感じに呆れたようなため息をつかれた。


一度座ったソファから立ち上がると


「ただいま~」


と玄関から可愛らしい声が聞こえた。

母さんと違いドタドタ歩かない。

いや~いいね~。

やっぱ姫は癒やしだわ~、ドキドキする。


「あ、陽翔くん。やっと戻ってこれたんだね。心配したよ」


何かすごい馴染んでる?


「あら、お帰りなさいゆきちゃん。今日もお疲れ様」


「そんな疲れてないですよ。おかあさん」


え?おかあさんって呼んでるの?何でだ。


「ゆきちゃんね。うちの子になったから。

あっ、陽翔と結婚するとかじゃなくて養子として私達の子供って意味だからね」


母上様はそんな事をのたまった。


「あっ、でも、同意の上で結婚するっていうのならそれもいいわよ。

戸籍上は他人のままだからね」


そんな都合のいい話があるかよ。


「いや、おかあさん。結婚とかそういうのは、まだ」


顔が赤くなって下を向く。

何やら髪の毛をいじっているけど、照れてる顔もかわいいね。


「ところでゆきさん。そろそろ着替えてきては?」


少し刺々しい感じで聖女様は言う。

仲が悪いのか?

黒と白も少し視線が鋭い。いや、これは元からか。


「何かわからんが、仲良くやってくれよ。

最近ちょっと家の中が息苦しいんだけど?」


去り際にそう言い残した。

めっちゃ勇気を振り絞った結果、ちょっとかっこいい感じでリビングを出ることが出来た。

みんなもっと楽しくやればいいのに。

いがみ合われてもちょっとな。

毎日夫婦喧嘩を見せられる子供みたいな感じか。

すっげーうざい。

いつも意味もなくニコニコしてろとは言わないけど、せめてもっと楽しそうにしてほしいよな。


部屋に戻ってベッドに上がる。

そういえば、養子になるとか言ってたけどどういう流れでそうなったんだろうな。

俺は嬉しいけど。

黒と白以外の見分けがつかないけど、とりあえず、黄、青、赤と色で呼び分けることになったけど、あいつらもナチュラルにピリピリしてるしな。


これから、家の中の空気を変えるミッションかな。

俺は邪神に復讐したいだけなんだが。

一難去ってまた一難。

どっちも俺の手に余るミッションでかなりきつい。

いや、むしろ家の中の空気改善のほうが難易度ウルトラハードだな。


俺はただ、エロハプニング展開がほしい紳士で、異世界の英雄なだけなんだけど。



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