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18話.俺の癒やしスポット(客は増えるなよ)

最近妙に視線を感じるんだが?

例えばトイレに行く途中。

例えば食事の時。

ふと見上げると誰かしらと目が合う。

誰かが妙な俺の噂でもして疑惑の視線でも向けてきてるのか?

中学時代に引っ越していった俺の友達は、痴漢しそうなムッツリ顔と言われてバカにされていたが、そんな感じの噂だろう。

俺はそんな噂なんかに動じない。

でも、どうにも息苦しい気がするので、どこかしらの救いを求めてる世界があれば呼んでくれると嬉しいかな。

どうせ、世界を救ったところで感謝なんて・・・。


あれ?感謝されてなくない?

マリアは感謝してくれてるらしいけど、リュードやシャーライは?

ミャン、ヤルン

アマンダ、エリナ、ザガニ

マール。

感謝っていう感謝をしてもらってない気がする。

これって、悪く言うと拉致してきた異世界人みたいな扱いになってるのか?

マズイ。非常にマズイぞ。

片手まで世界を救う英雄が一転、変態紳士になりかねないのではないだろうか。


家の中で英雄的行動なんて取れるべくもない。

いやいや、それこそまさかだろ?

俺だよ?自らスカートを捲る行為を邪道、もしくは軽蔑すべき行動と紳士的思考(嗜好)の持ち主の俺だよ?

ふむ、こうなればマリアみたいに一人ずつ俺が世界を救う所を間近で見せるために巻き込むか?

それこそ拉致だろ!

俺、詰んだわ。


どうにもできないことは放置しよう。無理だ。

本人が必死に否定するとリアリティが増してしまうあれだ。

しょうがねぇな。

俺の英雄伝を熱く語ってくれる信者を次の世界で育てて、時間をかけて世界を救ったら、そいつを連れてきていかに俺が英雄であったかを熱く語ってもらおう。

みんな見直すしかなくなるだろうな。


ってなわけで次の救いを求める世界よ!カモンベイビー


そんな事を願ってもそうそう召喚されるわけもない。

お気に入りのきれいな看板娘の居るカフェにでも行って癒やされるとするか。

ちなみに、メイドカフェ的なものではなく普通のおしゃれなカフェだが、絶対顔採用ってレベルの美人さんが丁寧に接客してくれるんだ。

しかも、話し方が穏やかで優しい感じなんだよ。

ふんわりおっとりな感じのさ。

何より高ポインツなのは、超可愛い笑顔で笑いかけてくれるんだよ。

お釣りを渡す時に両手で包み込むように渡してくれるので、必ずお釣りの出るように俺はお会計をする。

紳士の中の紳士が、自らに課した戒めの中のギリギリのラインだ。

ちなみに、老若男女問わず常連が居るのだが、脂ぎったおっさんが同じことを考えていそうでちょっと腹立たしく思う。

仕事の息抜きで寄りました感を出すためか、いつもPCを出して何やら仕事をしてるフリをしてるのも妙に腹立たしいな。


そのカフェ『スタニング』はこの商業施設の中の飲食店フロアにあって、21時まで営業している。

店員さんは名札をつけていないので名前はわからないけど施設の中で端に位置しているので、テラスまで開放して、外でも飲食が可能となっている。

俺は知っている。

ここのマスターは矢島さんの知り合いで、矢島さんに乞われて出店したことを。

というか、以前矢島さんが宣伝してあげてください。

美味いコーヒーの渋めの客からかわいいパフェを求める若い女性客まで絶対に外しません。

以前は店舗立地の問題があって苦しんでましたが、ぜひお友達と一緒に行ってみてくださいと絶賛し、宣伝を頼まれたんだ。

矢島さん、あなたは俺を買いかぶり過ぎだ。

俺には友達なんていないんだぜ?

今度種族が人間のみんなに紹介するくらいは良いけど、かなり敷居は高い。

絶対に変に勘ぐられるからな。

特にマリアとか。


俺は店の中の施設廊下側の席(テラスと逆側)でぼんやり行き交う人を見ながらコーヒーを啜る。

21時に近づいて蛍の光が流れ始めると俺以外の客は皆お会計を済ませて出ていった。

俺もそろそろ帰るか。

超絶美人な女性店員さんは立ち上がった俺に気づいて掃除の手を止めてレジに入り、

いつものようにお釣りを両手で渡してくれた。

まさにその時、俺たちを囲うように召喚陣が現れた。

やばいと思い、召喚陣から彼女を出さないとと思うが、突然のことにビクッとして手をしっかり掴まれた。

突き飛ばすにも怪我を指せるかもしれないし、女性のどこを押して良いのか分からずオロオロしている間に召喚は成されてしまった。


どこに召喚されたとしても関係ないこの人だけは守り抜かないといけない。

決意とともに、俺達は新たな世界へ旅立った


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