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14話.神隠しの真相

3年と少しの間、神隠しにあった俺は家に戻って母に泣かれた。

マンションに向かおうとしていた所をまさかの外でエンカウントしたのだ。

地球からの転移は妨害を受けて発動しないから特殊体質で貫き通したけど証明はできなかった。

高校は退学になっていた。

警察への捜索願は取り下げてもらって、元気に生きてるだけで十分よと言われるまで話を続けた。

ついでにどんな事をしていたのか、地球での仕事や経済面はどうするの?と質問攻めにあったけど、異世界の物を高額で売却して一生暮らせる資金があることも説明した。

話の間ずっと黙っていたマールは横で彫像のように固まっていた。

母と一緒にマンションに行くと矢嶋さんに泣きつかれた。


「筧さん。連絡がつかないのは困りますよ。

もうここを退去しないといけないので、何度か連絡を取ろうとしていたのですが、音沙汰がなく、このマンションの維持もお金の無駄になるので、いつなら退去できますか?」


と。


「すみません、矢嶋さん。今、どういう状況か教えてもらえますか?」


そこから聞いた話で、商業ビルが建って、そこに併設されているマンションの最上階に移ってくださいと何度も来たけど、みんなが断っていたそうだ。

ハルトさんから連絡がないと動けないって。


3日間の猶予をもぎ取ってから俺は母とマールを連れて懐かしのマンションに入った。


「ハルトさん。ようやく来ましたね。」


マリアが怒りをたたえた顔でお出迎えしてくれた。

渡していた金で生活は出来たけど、何度も取り立てのように退去要請があって困っていたそうだ。


俺はみんなに引っ越すことを伝えた。

獣人とペットはマイスペースに入ってもらって引越し先で扉を開けば引っ越し完了になる。

・・・のだが。


「陽翔、貴方がこちらの皆さんを保護して、養っているの?」


母がいた。

俺は頷いた。


「私もここに住むわ。もちろんあの人もね」


「いや、だから、ここは退去するんだって」


困って母にそう伝えるも


「どこでもいいわ。私も一緒に行くからね。

家は一応維持するけど、基本的にはみなさんと一緒に暮らすからね」


ごめん、意味わからん。


「可愛い娘が欲しかったのよ。

男の子しかいないのに、あの人は頑張ってくれなくてね。」


我が子に何を言ってるのかこの人は。


「まだ、子供に養ってもらうような年じゃないのよ?

でもね、陽翔がこんなに頑張ってるんだから応援したいし、子供により掛かるっていうのも悪くないわね~。」


どうやら妄想が爆発してるらしい。


「わかったから、みんな居るから、恥ずかしいから!」


いつからか息子自慢を始める母に辟易しながらも、俺はその場に母を残して矢嶋さんに鍵を貰いに行った。

玄関の電子ロックのキーは8本ももらえた。

早速母と人間であるメンバーを引き連れて見に行こうということになった。


メンバーは俺、母、マリア、アマンダ、エリナ、ユーライ、マール

察しの通り、俺以外が全員女性だ。

母がいるだけで萎えるが・・・。


3年ぶりの地元を歩くが、どこも変わった様子は見受けられなかった。

途中までは。


駅も何もない、大した場所でもないはずなのに渋滞が起きていた。


「最近、ここに大きなショッピングモールが出来たの。

ちょっと遠いからたまにしか行かないんだけど、家電から美容院まで何でも揃ってるのよ。

今度みんなで見て回りましょうね。」


母が言った言葉に嫌な予感が溢れ出してきた。

スマホのマップアプリはその渋滞の先に続いている。

矢嶋さん、もしかして大当たり引いちゃった?


結局、その大型ショッピングモールの最上階が我が家だった。


「陽翔、あなた、本当にここに住むの? 家賃は?」


玄関のどでかい自動ドアで足が固まっていた母が再起動して質問する。


「えっと・・・キャッシュで払って持ち家なので、家賃はかからないよ。」


「陽翔、いい? こういうところはものすごくお金がないかかるの。

持ち家だったらどれほどの固定資産税がかかるかわかってるの?」


「えっと、母さん。俺、このショッピングモールの持ち主で、不労所得が入ってくるんだよ。

そうでなくても、使い切れないほどお金あるから、税金も払えるんだけど」


「ちょっと待ちなさい。大金持ちって聞いたけど、具体的に聞くわね。

あなた、今いくら貯金持ってるの?」


「600億円くらい?」


「なんですって?600億?

億って言ったの?」


ふらついた母を支えて家に入った。

家はとんでもなく広かった。

当たり前だ。1フロア使っているスーパーと同じ面積の我が家が狭いはずもない。

トイレ、風呂も複数あり、キッチンも厨房レベルを遥かに超えている。


使い切れんだろ。こんな家。


ちなみにだが、ここは1フロアで間違いない。

間違いないのだが、天井が高くて、ロフト扱いになっているが、もはや2階建てだった。

これは、ヤバい。

何百人も住む予定はないんだが?


一通り見て回るだけで疲れた。

リビングというかシアタールームか?

頭おかしいとしか思わなかった。


全員に好きな部屋を選んでもらうことになって、みんな思い思いの部屋を選んでいた。

まだ、数人残っているのを忘れたようなテンションだった。

引っ越し業者に特急料金を払って契約し、荷物の移動は段取りがついたので残りのリュード、シャーライ、ヤルン、ミャンをマイスペースに押し込んでから食料品を大量にマイスペースに入れておいた。

母はその魔法に腰を抜かしそうになったけど、獣人がコスプレでないことを信じた瞬間が俺の魔法を見たからっていうのが地球人って感じだった。


マイスペースの魔力は明日になれば回復するだろうけど、残念ながら引っ越し業者の都合で明後日まで出してあげられないことは告げておいた。


「別に構いませんよ。ご主人様に喜んでいただくよう料理の腕を上げておきましょう」


そういうザガニはあれからすっかり料理にハマっているらしい。

一階に降りればスーパーがあるし、買い物もすぐに済んでしまう状況なので料理もはかどることだろう。

アマンダさんはあまり好き嫌いはなさそうだけどな。

ヤルンさんの好む蜂蜜があるかはわからないけど、スーパーがあるだけで十分素晴らしい立地だ。


俺もこっちに住もうかな。

自分の部屋をもらった時に嬉しくて、色々自分好みにカスタムした我が家を離れる寂しさはあるけれど、実家はそういうものだからな。


引っ越し業者はマンションからの荷物の確認に今日これから来るという連絡があった。

仕方がないので俺だけでマンションに向かった。

母さんはみんなと新しいマンションですっかり馴染んでいて


「急用?行ってらっしゃい」


と笑顔で俺を追い出した。

何だか納得行かないけどまぁいい。


業者に荷物の確認と搬入方法を説明してから全部おまかせでやってもらう契約を結んだ。

業者用の荷捌き場にトラックを止めてもいいと矢嶋さんから聞いているのでそこを指定した。

部屋割を決めてないのでどの部屋に搬入するかはわからないので、どの部屋のダンボールかだけは記載してもらうようお願いしておいた。


何だか感じの良い人だったので全ておまかせしてあるから、少し高くつくんだろうけど別に構わない。

トラック3台で済みますので金額はこうなりますと電卓を見せられたけど交渉もせずに任せるのはちょっと金持ちの気分を味わえた。

いや、金持ちなんだけど。


交渉を終えて商業ビルを見て回りながら家電量販店で超大型テレビを購入して最上階まで運んでもらうことにした。

ウォーキングクローゼット等もあったけどハンガーがなかったことに気づいた時に書いておいたメモを見てハンガーを雑貨屋で買ってから家電量販店の店員さん二人と一緒に最上階の家に戻った。

巨大リビングに設置してもらったらまたご贔屓にと言ってお店に戻っていった。

親切な人だな。雑貨屋さんに寄る間も待ってくれてたし。


じゃあ、俺も部屋を選ぶかな。


一部屋を確保してから、まだベッドもない広いスペースを独り占めする。広すぎる。

硬いフローリングを転がった。

ソファーとか入れてみようかな。

ベッドとソファー、漫画の本棚

楽しみすぎてヤバいんだがどうしよう。

あ、そうだ。一つ欲しいものがあったのを忘れていた。


自分用の冷蔵庫。

こんな広いといちいちキッチンまで飲み物を取りに行くのも面倒すぎる。


このマンションにはポストだけでなく、配達ボックスまで完備している。

だが、他の住人は知らない。

我が家には我が家専用の配達ボックスが完備されている。

これは大型で、電子ロックキーがないと最上階までエレベーターが動かない状況では見ることは出来ない。


配達が面倒になるので荷物は業者用の搬入口にある扉の中にある小さなエレベーターに入れると直接家の玄関に運ばれるようになっている。

獣人がいて、魔人が居る状況ではやむを得ない。

配達人からすれば楽だろうけどね。

冷蔵庫くらいならそれで配達できるだろう。

搬入口にボタンがあるので押してもらえれば、こちらで取りに行けるようになっているので便利すぎる仕様だ。


さっきのように量販店の人に持ってきてもらってもいいけど毎回だと大変だからな。

何度も頼むのも申し訳ない。


受け取り印については近くの守衛室に預けているので問題ない。

受け取り印だけ押して荷物を入れないで帰っても防犯カメラで確認できるから問題になることもない。


夢いっぱいの状況で全部屋LANコネクタも完備の状況。

早速PCを空間収納から出して接続して思った。

Wifi使えなくない?

LANケーブルを毎回挿すのも面倒だと思って企業ではどうしているのかと検索したら、何台も中継機やルーターを使っているらしい。

仕方ないので、また量販店に降りて、大量に量販店に依頼しておいた。

冷蔵庫も購入してから揃ったら、配達も面倒だろうから搬入口のエレベーターに入れてもらうように頼んだ。

一気にリッチな生活になってしまったな。


ちなみに父さんだけど、仕事後に直接ここに来て母さんに出迎えてもらって家に来た。

一生かかってもこんな生活、俺の給料じゃ無理だ。とガックリしてたらしい。

父さんもたまに自宅に戻るけど、基本はこっちで暮らすことになった。

絶対可愛い女の子が多いからだと思う。

ちょっとニヤけてたし。


そうなると、家具はどうするのかということになるけど、実家はカモフラージュのためにも維持するので、別途購入することになった。

引っ越しと家具家電なども一気に揃えるのでもう何日かマイスペース組にはそのままいてもらうことになりそうだった。

夜にマイスペース組も両親には顔合わせ済みだ。

肌の色や角なんて些末な違いだと父は言っていた。


母はシャーライをかわいがっていた。

シャーライはリュードと見比べてから母の腕の中に収まっていた。

女同士だからか、ヤルンさん、アマンダさん、母さん(シャーライを抱きかかえたまま)の3人で楽しそうにずっと話していた。

ザガニが俺を睨んできたけど俺じゃないだろうと無視した。


リュードとミャンは二人で隅々まで探索してから、かくれんぼしようと俺を誘ってきたので付き合った。

今日の晩御飯はザガニと母さんが作った。

椅子もテーブルも空間収納から俺が出したけど、簡易のキャンプ用品なので引っ越しと新しい家具家電が来るまではこれで我慢するしかないな。


食卓はかなり大型のものを頼んだけど搬入できるのか?

母は絨毯やらカーテンやらをヤルンさんのパソコンを使ってどんどんカートに入れていった。


「陽翔、支払いよろしくね」


ベランダから見える夜景は格別だったが、確かにカーテンがないのは落ち着かない。

カートの中身を確認しながらトイレのマットやら様々なカバーとかお風呂用品やらで何十点も入っていた。

銀行振込で支払いを済ませてからマイスペースの扉を普通に設置した。

これで引っ越しの時に隠れておけるだろう。

この部屋には入らせないようにしないとな。


とりあえずこんなもんかな。

まだまだ物が足りてないけど徐々に増やさないとな。


勝手についてきたマールは終始無言で圧倒されていた。


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