一話 オンマイウェイからの転生!
はじめまして。クローバーです。
まず、この小説に目を留めてくださって、ありがとうございます。なるべくたくさんの方に読んで頂けるよう、頑張って書いていきますので、よろしくお願いいたします。
この小説が、誰かの四つ葉のクローバーとなりますように…
「……暇。」
それしか言葉が出てこない。いや、やることはあるんだけどね?!テストが2週間後に迫ってるわけだし。担当している家事の皿洗いだって終わってない。でも、やる気がでない。超がつくほど気まぐれでマイペースな私は、やる気がでない時はなにをやっても成功しない。というわけで、今はなんにもしてない。でもスマホいじってたら、なんかやってもいい気がしてきた。…皿洗いやるか。やる気が湧くのもやる気が無くなるのもいつも突然だ。興味があることとか好きなことだと、やる気になりやすくはあるけど。まあ、やる気なったときにやる気になった分だけやっていこう。オンマイウェイ☆私のスローライフを邪魔できるやつはいない!
「いつまでスマホいじってるつもり?!さっさと皿洗いやりなさいよ!」
…邪魔できるやつ、いました…。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
通学中でございます。今日も電車を乗り過ごし、2本後の電車を待つ。で、乗り換えで、『いつもの』という名前をつけているだけの電車の、1本後の電車を同じように待つ。この間、私は本を読んでいる。見よ!この神業!小学校の時からやっていたから、読み歩きをしながら歩いてる人を避けたり、周りを見たりするなんて、お茶の子さいさいだぜい!と、あれ?待て待て待て?は?視界の端に見えたもの。それは、線路に落ちる寸前の子供とそこに迫る電車。誰かが悲鳴を上げたかもしれない。電車のブレーキ音が聞こえてたかもしれない。でも、それを聞くことなく、私は本とカバンをその場に投げ出し、もう殆ど落ちている子供の体をホーム上に押し上げ、その勢いのままに線路に落ちた。そして体に強い衝撃が来て…線路脇に投げ出されていた。頭いたーい。これ、死んだなー。ま、しょうがないなー。他人事のように思いながら、ホーム上の人達を眺める。あ、そこの人!今更救急車呼んでもあそいからね!私もう死ぬから!ま、呼びかけても聞こえないだろうけど。血が、どくどくと流れ出ていくのがわかる。家族とか友達たちになんか言い残していきたいなー。…血文字でいっか。えーっと…
『ありがと 転生してくるね☆』
これでいっかなー。こんな感じで死んどけば、神様とかポーンって出てきて、「いいことをしたから転生させてしんぜよう」とかで、チートスキル付きで異世界転生できるよね!…じゃ、この世界にさよなら!異世界で神様とかになって、いつか戻ってくるよ!たぶんね!…多分おそらくMaybeだけどね!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
…お?ここが死後の世界か?…なんか…明るい銀行の受付みたいだね☆見た感じだと、いくつか受付みたいなところがあって、そっから人の形のなにかの列がズラーーーーーーーーーーーーっと並んでいる。んで、受付みたいので紙をもらって、近くにあるいくつかの部屋のうち、紙に書いてある部屋に行って…その後はわからん☆というのが、観察をしていてわかったことだ。近くの受付の列に並び、順番を待つ。ポカポカしてて温かいなー。眠くなる…。
「おーい。大丈夫か?半分寝てるぞー?」
「ほぇ?」
危ない危ない。知らないうちに寝かけていたみたいだ。後ろに並んでいた優しいおっさんが声かけてくれたおかげで寝落ちには至らなかったけど。
「お前、まだ若かったろ。見るからに健康そうだし、なんで死んだんだ?」
「あー。私は、通学中に電車に轢かれちゃって…」
気さくな雰囲気のあるおっさんだなー。なんか、生前に読んだ本に出てきたおじさんみたいだな。挿絵とはだいぶ違うけど。
「そういうおじさんは、どうして死んだんですか?」
「俺はなぁ…通り魔にあったんだ。」
「通り魔!そんなのがあったんですね!」
「そうだろう?俺もびっくりしたよ。まさか22世紀にもなって人殺しの方法が原始的な通り魔だったなんて。」
ですよね、と返事をしようとしたところで思いとどまる。…この人、22世紀って言った?!?!私が死んでからどんだけ経ってんのよ!
「22世紀って…私が死んだのは2022年ですよ?私、死んでからなにしてたんでしょうか?」
「さあな。まあ、個人差があんだろ。」
そう言っておっさんは肩をすくめる。個人差って言っても、世紀が違うなんて…。
「にしても、この列長いですね。なんの列なんでしょうか?」
この場所が、生前の世界と同じ時間軸かはわからないけど、多分もう、2時間ぐらいは待ったと思う。紙印刷して渡すのに、どんだけ時間がかかっているのか…。
「俺も知らんけど、見ている限り、こりゃ転生じゃないか?」
「転生!」
まじかぁ!え、なになに、こんだけの人が転生してんの!?異世界崩壊するで!チートスキルとか溢れかえってたらありがたみねぇーよ!……興奮してしまいました。
「こんだけの人がチートスキルもらって異世界転生しても、ありがたみなくなりますよね〜。萎えます。」
「いや、誰も異世界転生だとは言ってないし、異世界転生したらチートスキルがもらえるわけではないと思うぞ?」
「あっ………」
そっかぁ…せっかく転生しても、平凡な村人として生きることになるかもしれないわけか…。残念…。あ、でも、前世の記憶で色々できるかもしれないし!
「前世の記憶が残ったまま転生する、っていうのも、本じゃお決まりのパターンだけど、本当にできるものじゃないと思うぞ。」
「………やめて!私のライフはもうゼロよ!」
じゃあ、なんのために私は死んだのさ!異世界転生チートしたかったー!まだ読み終わってない本あったのにー!最後まで読ませてくれないのか!神様のケチぃ!私はまだ、未練たらたらだぜー!
「まあ、そう気を落とさずに。しょうがないさ。これからの人生…かはわからないけど、楽しく生きようぜ。」
「あ、転生自体はできるんですね。」
「ま、人とは限らねぇけどな。」
…そっか。生前に読んだ本でも、魔物に転生してたりしてたもんね。人…じゃないなら、エルフがいい!エルフってどの本でも長命で魔法適性がある種族だったから、とりあえず死なないような感じにしてたら、そのうちチートスキルゲットできるかもしれないし。
希望を持ったところで、やっと私の番になった。
「あ、じゃあおじさん、ありがとうございました。」
「おう。元気でな。」
「はい!」
挨拶をしてから受付(?)へ。そこには、きれいな女の人がいた。…羽があるから、天使なんだろう。まじか。え…かわよ。
「えーっと、夏芽 治奈さんですね。こちらでございます。」
「あ、ありがとうございます。」
なんか紙を渡された。っていうか、この…なんか光みたいなのになっても、物を掴めたりするんだな〜。この光は、魂なのか?!俺の中二病心が疼くぜ☆
「夏芽さんの死因は、こちらでお間違い無いでしょうか。」
えーっと?『線路に落ちそうになっていた幼児(女)を庇い、運命の誤作動により轢死。』?運命の誤作動ってなんだよ?!私が無駄死にしたみたいじゃないか!なんだよそれ!…まあ、この天使さんに非はない。とりあえず答えておこう。
「はい。」
「では、この紙に書いてある部屋に行ってください。」
「ありがとうございました。」
部屋?部屋でなにをするんだろう?もしかして、本とかでよく見る、床も壁もわからないような光り輝いた部屋で、チートスキルの付与を行うとか?!やったね!
「えーっと、『神位第1位創造神クウェーサー・カイザーの部屋』?」
名前長っ!っていうか、神位第1位ってすごくない?!これはほんとにチートスキルもらえるかも!楽しみっ!
(コンコンコンッ)
「こんにちは。失礼します。」
「はーい、どーぞー!」
なんか…軽いぞ…。ま、こっちのほうがチートスキルもらえやすかったり?するかも!うん!
(ガチャ)
「…………。」
「どーもー!神様だよー!敬ってねー!ドヤ☆」
…予想外だった。想像の、斜め上というか下というか……。とにかく、めんどくさいタイプだ…。っていうか、「ドヤ」って自分で言う人いたんだ…。それに、部屋もごく普通の部屋で、おしゃれのカフェの片隅のテーブルみたいなのに何かが入ったカップが2つ、置かれている。神様が来ている服も、真っ白のきものみたいなやつじゃなくて普通のやつだし。これは…期待薄だぞ…。
「で、紙見せて〜!神に紙を渡すってね!w」
いや、この神様、一応神位第1位の創造神様ですよね?紙渡して、ここじゃないよって言われる気がする…。
「はい。」
「どうも~!って、あ〜〜〜〜〜!!!」
耳壊れる!ほんとにこいつ神様なの?!?!ただのうるさいお調子者じゃなくて?!?!
「君があの夏芽ちゃんか〜!まじか〜!ごめんね~!」
「意味がわからないんですけど。」
紙渡したら、なんか謝られたんだけど。それに、「あの夏芽ちゃん」って何?私なんかやらかした?神様の間で有名になってるってこと?ほんと、説明してくれぇー!
「君さ、こっちの設備のメンテナンス中に死にかけちゃって、それに、君が少女の身代わりになったじゃん、それで手が足りなくなっちゃって。その関係でほんとだったらまだ生きてたはずなんだけど、死んじゃったの。ごめんね~。」
いや、メンテナンスってなに⁈こっちの機械も壊れたりするの⁈
「でさ、君、『転生してくるね☆』って遺言したじゃん。だからさ、死なせちゃった側としては、地球で転生させて、その後に家族と再会させたかったんだけど…」
「…何か、問題でも?」
そういえば、そうだったな…。まさか、神様に見られてたとは…。やばい。黒歴史になった。遺言は、ちゃんと考えてから残そうね!過去の治奈!
「いやー。君の人生をポップコーンとコーラ片手に見てみたんだけどさ。君、なかなか面白い生き方してるな~、と思ってね。ほんと、気まぐれなところとか…ww」
コイツ…人の生き方を映画感覚で笑うなんて…ほんとに神様かよ!神様って、もっと神々しくて、優しくて、凄くて、常識的なものじゃないの⁈ほっんとに、こんな神様は勘弁してくれぇ~!
「ま、そういうわけで、もういくつか僕が管理してる星の中の一つに転生してくれないかな。チートスキルあげるから…wwいろいろやらかして、僕を笑わせてよ。」
やな予感が…。チートスキルもらえるのはありがたいんだけど…。嫌な予感がいたします…。
「ということで、君、転生ね。記憶も残したままにしておいてあげるから!」
「あ、ハイ…」
とっさに返事をしてしまった…。まだちょっと言いたいことが…!っちょ、待ってぇ!光が…!まだ、言っときたいことがあるんだってぇ〜!
「あ、忘れてた!」
Oh…ジツニカッテキママナノデスネ。ワタシオドロキマシタ。ヒカリガイッシュンデキエタノデ。
「チートスキルはあげるんだけどさ。他になんかある?」
…優しいのかもしれない。いや、マジで神だわ。あ、もう神様だった。だってさ、本とか読んでても、転生者の要望聞かずにいきなり異世界ポーン!とかあるわけで。ご丁寧に色々案内してくれた挙げ句、要望も聞いてくれると…?!最っ高やないかい!いや、最初から発揮してほしかったわその優しさ!
「えっと、じゃあ、転生したときにお金の基準を書いた紙とお金……あ、あと、赤ん坊スタートじゃなくて、その世界の成人年齢でお願いします。あと、そこそこの美人がいいなぁ…。あ、名前は今のままで。名前が治奈で、名字が夏芽ね。あと、鑑定スキルがほしい!できれば、人のステータスとかも見れるといいな〜。あとは、ものづくり系のスキル!がほしい!で、スキル取得上限の無効化と、スキル含む経験値の増加、スキルが取りやすくなるスキルもほしい!あと、一番大事なのは『不老不死』で、自動HP、MPの回復ね!これは絶対だよ!」
「はいはーい。りょーかいです!」
ノリ軽っ!結構な条件言ったと思うんだけどな…。ま、ありがたいとおもいましょ!いやー。いっぱい本読んでおいてよかった。どういう条件を取れば有利か、すぐにわかる。
「じゃ、転生するね〜!異世界チート、楽しんで〜!」
「ありがとうございました〜!」
光強!眩しすぎて、目を閉じても眩しいんですけど。あ、世界の名前聞くの忘れた〜!心のなかで叫びながら、私は光に飲まれていった。
読んでくださってありがとうございます。初投稿なので、至らぬところも多かったと思いますが、温かい目で見てくださると幸いです。引き続き、よろしくお願いいたします。