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ダメカワピンク救世主伝説/  作者: 人藤 左
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vsビーストマスター

 アルキケダマ。熊みたいなイエティみたいな感じです

 ゲゴの所有する洞窟は、北部統轄地区の西側にある。


 西には山脈が聳えていて、これを上手いこと越えると西の大国であるロッコス・バンニギルに着くらしい。


 山を越えるのも面倒だし、穴掘ってまっすぐ行こう! ってことで掘ったはいいものの、色々あって頓挫して放置されていまに至る。


 そんなザンネンな洞窟までは、ギルド裏でパイプをフカしているゲゴお抱えの御者に事情を話して、馬車で向かう。この人はすぐ帰っちゃうので、帰りは歩きだ。ボクはお尻が痛くなるから、と言い訳をして、馬車の横を歩いた。


「いやぁ、懐かしいなぁ」

 穴が見える辺りのところ。巣の周りをウロウロしているアルキケダマを一方的に観察できるロケーションに移動して、アンナちゃんと相談を始める。


「これは……わたし一人ではダメでしたね……。ご協力いただき、ありがとうございます」

「お礼はまだ早いよ。ただのアルキケダマだと思ってバカみたいに行くと失敗するんだね」

「……パルマさんも失敗したバカなのですよね?」

 この子マジか?


「それは置いとこ。で、棍棒とか石斧とかで殴ってくるアルキケダマの群れなんだよ。女の子二人じゃどうしようもない。本来はね」

「……はぁ」


「そこでボクがいい感じにしてくるから。まぁ、見ててよ」

「……お気をつけて……」



 うわ……すごいドキドキする。

 なにせぶっつけ本番だ。有効かどうかも怪しいが、やってみるしかない。


「おい、マヌケども!」

 開けた場所で、アルキケダマに呼びかける。

 五匹のアルキケダマがこちらを見た。


 言葉が通じるのか、そもそも音に反応したのか。そんなのはどうでもよくて、道具と社会性を有するコイツらは、『庭』にいたウロコイヌより知能が高いはず、ということだ。


 つまり……

「【死にたくなかったら、どっかいけ】!」

 ボクの(ではないけれど)『統一言語論』が通用するとみて、間違いない!


 …………。

 反応なし。


「■■■……」

 しばらく硬直していたアルキケダマたちが唸りだす。


「■■■ーッ!」

 そうして、ひどく恐ろしいものに突き動かされるように、武器を振りかぶってきた。


「なんでだよ!」

 幸い、『ラプラスの魔』が宿った左目は、大振りのアクションを見切るだけなら負荷はかからないようだ。一つ、二つ、と当たれば骨まで……という攻撃をよける。


「効いてない……!」

 聴いてはいるが、効いてない。


 『統一言語論』によって、死にたくなければ――というのは間違いなく伝わっている。死という観念が薄かろうと、この能力はそれよりもっと上の概念に語りかける……らしい。考えられるのは、死ぬことより恐ろしいことが彼らにはあるかもしれないってことだ。


「なら……ボクの思い通りだ!」


 大きく距離を取って、『ラプラスの魔』を発動する。


「“アムテキレス・アヨロイルマ“!」


 色々使い方のある『ラプラスの魔』だけれど、一番キツいのが過去の出来事の検索だ。できるだけ同じ場所で、できるだけ狭い意味の言葉……名前がベスト……の条件で調べると、それっぽい映像が再生される。あとはそれをなぞるように体を動かすと、


「よ、……っと」

 こうして、ボクの細身だろうとアルキケダマに触れるだけで倒すことができるようになるわけだ!


 今回はここに訪れ、アルキケダマを掻い潜りゲゴの依頼を達成してみせたアムテキレスさまのご威光をお借りすることにした。


 ……ここを攻略しながら、アルキケダマの群れは健在だった。

 何より彼女は盾を司る四方の防人、『玄武の長者』シタテルド・アヨロイルマの一人娘にして次代として期待される人物。怪我をさせたり、ましてや殺したりせず、アルキケダマを制圧したに違いない。

 つまり、それを真似ることができれば……という算段だ。


 次々に襲い掛かるアルキケダマらを、のちにイザヤが語るところの合気道? とやらで転がし、一旦左目を閉じる。


「パルマさんっ!」

 茂みに隠れていたアンナちゃんが、ボクに駆け寄ってきた。


 その表情は興奮と尊敬に満ちた笑顔で、そうそうコレだよボクが欲しかったのは……と、分厚い胸によるド熱い抱擁なんかも期待していたんだけど、それはもう少し先だ。


「まだダメだ、アンナちゃん!」

「っ、はい!」

 最初こそしょっぱい対応だったアンナちゃんだが、やっぱり根がいい子なのか、聞き分け良く茂みに戻っていった。……少しお尻が隠れてないけど、まぁ仕方ない。


「……ねぇ、見てんでしょ? えーっと……」

 左目がもうギュンギュンに動いて、ある一点に定められた。一拍遅れて、ボク自身の視線もそっちに合わさる。


 洞窟の真上。幹の細い木々の中に、彼はいた。

「そう、そこのお前! 降りてこい!」


 …………。


 反応がないので、近くにあった石を投げてみる。


「知ってるんだぞバーカ!」

 洞窟の奥から次のやつらが出てくる前にあいつをやっつけないと、またアムテキレスさまの技を真似ないといけなくなる。どれくらい体力が持つかわかんない以上、全部が全部を相手にするのは現実的ではない。


 あー、もう!


「出てこいよ、コティ・コモン=ローチ!」


 名前は、大事なものだ。


 それを知られることは、どんなひどいことをされても仕方ないことすら意味している。


 だからだ。


「貴様、貴様貴様パルマ! 生かしては帰さんぞ!」

 コティという男は、本名を知ったボクを殺すため、姿を表す必要がある。






 ピンク髪ちゃんの能力バトルが書きたくて書きました

バトルシーンメインはサブタイにvs、いちゃついてたら/♡ってなってます


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