必死
「あー、緊張した……」
やけに上機嫌なゲゴの背を見送り、金髪ちゃんの向かいに腰を下ろす。
「改めまして、パルマだよ。よろしくよろしく」
「アンナ・ドネドミネです。ご丁寧にどうも」
アンナちゃんの声音には警戒が滲んでいた。
「……パルマさん、でしたっけ。何が目的なんですか?」
「何がって。だから忘れ物だよ、忘れ物。契約だからあんまり詳しく話せないけどね」
「……そうですか。わたしのことを知って着いてくる、というわけではない、と」
「ボクが用があるのはゲゴの方だよ。仕返ししてやるんだ」
お酒はその後の方が絶対美味しいだろうしね。
「……わかりません。パルマさん、そんなにお綺麗なのに、怪我をしてまでそんな――」
「アンナちゃんこそ。うーん……どうしたら信じてくれるかなぁ」
見たところポヤポヤとしたお嬢さまだ。虫も殺したことがないような面持ちと、動きやすそうとはいえしっかりとした作りのドレス。これでいて不信感が先に立つってことは、あまりいい人に会ってこなかったのだろう。裏切られたり、騙されたり。
「じゃあ、もうボクのことはいいよ。上手くいく保証があるから、そっちを信じてくれれば」
言ってボクは、右手を生やし直してみせた。
アンナちゃんは驚きのあまり、目を白黒させたままキレイな姿勢で固まってしまう。
「足りない? じゃあそうだな……」
左目でアンナちゃんを視てみる。
「病気のお姉さんがいる。でしょ?」
「なぜそれを……」
「いろいろあってね。すごいでしょ。褒めて褒めて」
「それはちょっと……」
どうして……。
「なんでだよォー頼むよォーっ!」
「大きな声を出さないでください! わかりました、わかりましたから。パルマさんの必死さはとてもよく伝わりました!」
そっちかぁ。まぁいいや。
手に手を取ったボクたちは、(ボクが文無しでとっとと次のクエストをやんないと絶食野宿だということを伝えて)仲良く胡散臭い洞窟へと向かうのだった。
年下の美少女に縋り付く顔だけはいいピンクちゃんが書きたくて書きました