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第71話 第二皇子の逃亡③

「殿下、まもなく目的地に到着いたします」


「ああ、このまま行ければ!」


 ペルダンとその一行は、森の中を馬で駆けていた。エクシルが事前に馬の走れるルートを見つけていたため、森の中でも馬で移動できていた。


 一行はこのまま逃げ切れるという希望に、安堵の表情を見せていた。


「まさか、この俺から逃げられるなんて事を思ってるのか?」


 正面の木から、冷徹な声と同時に幾つものナイフがペルダン達に向けて飛んでいった。エクシルは急いで、ペルダンの前に行き、ナイフを叩き落とした。


「殿下、私から離れないでください」


 ペルダンが自分のすぐ後ろに立つのを確認してから、ナイフが飛んできた方向を見た。


「流石に今回は焦ったな」


 木の影から銀色の仮面をつけた人物がゆっくりと出てきた。


「チッ、悪趣味な野郎だ」


 エクシルは絶影の心にも無い言葉を聞いて、舌打ちをしながら罵った。絶影が逃げている方向から攻撃をしてきた。つまり、絶影は逃げる場所を知っていて、待ち伏せするぐらい余裕があったということがわかる。

 エクシルが後ろを見て状況を確認した。護衛のほとんどが戦えない状況になっていた。


「動けるものは殿下を守れ!」


 エクシルの号令を聞いて、護衛がペルダンを囲うようにたった。


「殿下を死守しろ!」


 エクシル達が盾と剣を手に取り、絶影の攻撃に備えた。それを見届けてから絶影は、素早く一行に向けて切り込んだ。


 初めの一撃はエクシルが盾で、絶影のナイフを止めてからカウンターで剣を突き出すがナイフで軽くいなされた。


 絶影はエクシルの右隣の護衛に向けて、ナイフを投げつけた。対応できずに、そのままご護衛の喉に突き刺さった。


 絶影は死体が倒れる前にナイフを回収すると、さらに隣の者の首を続け様に切り裂いた。


 絶影は二人が倒れた所からペルダンに近づこうとするが、すぐにエクシルが絶影とペルダンの間に割り込んだ。絶影はそれを予想していたかのように周りの護衛に攻撃を移した。


「後退しろ」


 エクシルはこのままではジリ貧になると考える、すぐに後退の指示を出した。護衛たちが後退するのに合わせて、絶影は一歩後ろへと下がった。


「ルーデンス地方の侵攻に向けて、ヤーデ選帝侯とオパルス選帝侯の合同演習がこの先であるのを俺は知っている。お前たちの狙いが時間稼ぎであるのもな」


 ペルダン達の狙いは、この先で行われている合同演習で保護してもらうことだったが絶影に阻まれた。そのため、選帝侯達が異変に気がつき、探してくる時間を稼がなければいけなくなった。


「おしゃべりは終わりだ」


 絶影は両手でナイフを構えると、素早くペルダンの後ろへと回り込むと、後ろに居た護衛の首を跳ね飛ばした。その両隣の兵士がすぐに剣で絶影を切りつけようとするが、器用に両手のナイフでいなしてから、二人の護衛の喉にナイフを突き刺した。


 絶影が瞬く間に護衛を殺していたが、エクシルも護衛を左右に大きく展開して、絶影を包囲しようとするが絶影はそれに気がつきすぐに後ろへと後退した。


 絶影は護衛がペルダンの周りからいなくなったのを逃さずに大回りしながら、再び背後をとると、ペルダンの胸に向けてナイフを投げつけた。ペルダンは辛うじて反応したが、完全に避けきれずナイフが肩に刺さった。


「くそ、化け物か! 人間の動きじゃねぇぞ。殿下の周りに集まれ!」


 エクシルは素早く絶影とペルダンの間に入り込んだ。しかし、その正面に絶影はすでにいなかった。急いで後ろを振り向くと、絶影が護衛を一人殺していた。そして、絶影は流れ作業のように、残りの護衛を殺し尽くした。


「後は、おまえだけだな」


 エクシルは素早く持っていた盾を捨てた。自分一人でペルダンを守らなければいけないため、絶影に追いつくために機動力を上げた。エクシルは振り向くことなくペルダンを呼んだ。


「殿下。傷は?」


「これくらいは………大丈夫………だ」


 ペルダンは力のない声を絞り出すように答えた。絶影はエクシルが顔を歪めた瞬間に、エクシルの体から出ているペルダンの頭にめがけてナイフを投げるが、エクシルも素早く反応して、ナイフを叩き落とした。


 その隙に絶影は素早くエクシルに近寄りナイフを突き出した。突き出されたナイフを避けながらエクシルは絶影が通り過ぎそうな右側とペルダンの間に入るように避けたが、絶影は勢いがついていたにも関わらず、その場で綺麗に止まった。そして、すぐにペルダンの胸にナイフを突きつけた。


「殿下!!!」


 素早く剣を振り絶影を追い払ったが、ペルダンに駆け寄ったがすでに致命傷を受けていた。ペルダンの状態を確認した絶影は投げたナイフを回収してから、その場を後にした。


「逃げろ…………エクシル。おそらく…………お前が……犯人になる」


 皇子が殺されて犯人が捕まらないのは帝国のメンツに関わるため、絶影が殺したとはできないため、その場にいたエクシルを犯人に仕立てあげると予想するのは難しくなかった。


「早くしろ!」


 ペルダンは、エクシルを両手で突き飛ばして、その場で横になった。エクシルはペルダンから止まらない血を見てから、その場を逃げるように駆け出していった。タイミングよく駆けつけてきた選帝侯の兵士たちがその場を駆けつけてきていて、その光景を見ていた兵士が大きな声を上げた。


「ペルダン殿下が倒れている。犯人が逃げ出したぞ」


 一部がその場に残ったり、報告に戻ったが、ほとんどはエクシルを追いかけ始めた。絶影は遠くの木陰で一連の流れを見ていた。その後ろには、黒捷とその部下たちが並んでいた。


「いいタイミングの誘導だ。よくやった。帝都に戻るぞ」


 絶影は軽く黒捷の頭を叩いてから、帝都に向かった。


「ありがとうございます」


 黒捷は普段よりも明るい声で答えてから絶影の跡を追った。

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