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第61話

 投稿が遅くなりすみません。

 レオンはカウダ砦の一室にて、復旧工事を行いながら、ケルドの制圧をおこなっていた。そんなか、カインの政務の書類について目を通していた。


 紙を捲る音だけの部屋に、ノックが聞こえた後にグラズガが静かに入ってきた。


「レオン様」


 グラズガは膝をついた。グラズガは自分に割り振られた扉の砦の補修の監督を終わらして、数日前にお預けにされていた話を聞きにきた。


「ご苦労様。それじゃあ、いろいろと話してあげようか。そこの椅子に座って」


 レオンは机を挟んで自分と対面にある椅子を指した。グラズガは少し戸惑ったが、レオンの笑顔を見てすぐに座った。


「ありがとうございます」


 グラズガは感謝を述べるとすぐに押し黙った。再び、部屋には紙を捲る音だけとなった。


 一言も喋らずに背筋の正しいグラズガを見て、レオンはグラズガに笑いかけた。


「そうだね。ひとまず、順を追って話すとしよう」

「はい」


 レオンの言葉にグラズガは嬉しさを隠しきれない顔で食いつくように答えた。レオンはグラズガの反応に納得したように頷いた。


「まずは何故ケルドルクが落ちたのか。なぜだと思う?」

「相手の怠慢。我々を侮っていたからです」


 グラズガは前もって考えていた回答を述べると、レオンは納得したように頷いた。グラズガは相手の防御の拙さをケルドルクが落ちたときに確認していた。


「そうだね。まあ、詳しくいうならフェイは侮っていなかったけど、兵士は僕達を侮っていた」

「何故ですか? 統率するものが警戒していれば自然と兵士も警戒するものではないでしょうか」


 グラズガはレオンの説明を聞いて、思ったことを質問を出した。レオンはグラズガの質問を予想通りと言わんばかりに考えることなく返答した。


「フェイは元々、臆病で有名だった。そんな人物が怖いと言ってもほとんどの人は鼻で笑うだろう? そもそも僕達はケルドルクに到着して、夜にドラを鳴らすまで()()していなかったのだからね」


 ケルドルクに着くとレオン率いる皇国軍は、ケルドルクの遠くに陣を張っているだけだった。何もしてこない敵に怯える主君を見て兵士は主君が臆病ときたら、兵士に主君の警戒は上手く伝わらない。


「まぁ、それだけでは侮る理由にはならない。何故、侮ったと思う?」


 レオンはすぐに言葉を切り返した。グラズガは話の最中にあえて自分の前にクロを出したことを思い出した。


「初めからクロ殿をケルドルクの中に送り、撹乱又は偽の噂を流して、敵兵が油断するように仕向けたということですか?」


 グラズガはカウダ砦の道中で、クロがいた事に思い出した。グラズガもクロがクルトとから話を聞いているため、少しの情報しか知らないがすぐに結論が出た。


「その通り。兵士達はクロが流した噂で僕たちが攻めてこないと思い始める。そこにドラを鳴らして、兵士たちの緊張は高まるが、攻めてこない。それが数日続けば?」


 グラズガは目を見開いてレオンを見た。


「確信に変わる。だから、簡単に落とせた」


 レオンはグラズガの返答に笑顔で頷いた。しかし、そのあと、レオンの顔に笑顔はなくなり、真剣な表情になった。


「でもグラズガ、勘違いしてはいけないよ」


 レオンの切り返しにグラズガは驚いた。レオンは書類を捲るのをやめた。部屋にはほんの少しだけ静寂な時間が流れた。レオンはそんな中、ゆっくりと力強く話し始めた。


「智と武、僕はこの二つにそんな価値があるとは思わない。実際に行動するのは兵士だ。どんな素晴らしい智も実行する兵士のやる気がなければダメだ。どんなに素晴らしい武があろうとも一人では勝てない。兵士の心を掴む。求心力が最も大事だ」


 グラズガはレオンの真剣な表情を見て、息を呑んだ。


「ウォード将軍の突撃とオルドのライターの突撃やる事が変わらなくても、なぜあんなにも違うのか。それは兵士の気持ちが違う」


 グラズガは、レオンの真剣な表情を見て息を呑んだ。


 レオンはそんなグラズガを見て、苦笑しながら、再び書類をめくり次の紙を確認した。その時、グランツは黙ってレオンを見ていた。


「次は、カウダ砦について話そう。僕の剣が輝いた理由は砦のあちこちに設置してある一点にその光を集中させる。あとは僕の宣言と同時に兵士に叫んでもらう。これで偽聖剣の出来上がり、効果は前言った通りだ」


 聖剣の効果は、大将である自身の場所を知らせるデメリットはある。


 しかし、砦の疲弊していた兵士たちの士気を上げるのと、敵の兵士は勇者一族のカインがきたと思い畏怖するメリットがある。これ以外にもメリットがカインは躊躇いなく使用している。


「でも、所詮は紛い物の光だ。夜であればできないし、輝きも本物と違って弱い。一回でも聖剣の光を見たものが相手にいれば効果は薄いだろうね。最初だから、効果があった」


 今回、ドリューが見抜いていたが撤退したのは攻略に時間がかかると、集結した帝国軍が王国に侵入し、セルパン渓谷で挟撃されるのを恐れて撤退した。そもそも、落としたとしても孤立することも考慮に入れてである。


 グラズガはゆっくりと頷くと、レオンが説明しながら、遠くに置いてある黒いカツラを眺めていらことに気づいた。


 グラズガは綺麗な黒いカツラを見ていると少し疑問に思った。そのグラズガの些細な変化にレオンは気づいて、カツラに指を指した。


「あれかい? あれは留学前にカインが髪を伸ばしてて、切ったのをまとめたやつさ。影武者の練習とか言って、これを被らされてウォードの説教の身代わりにされたのは何度あったことか。毎回すぐにバレてたけど」


 レオンは寂しそうな目で笑いながらカツラを眺めていた。グラズガはレオンの反応にどう対応すればいいのかわからずに黙っていた。


「さて、そろそろ。落ち着いたし、ひとまずここはレイモンドに任せてブレイブ城に帰ろうか」


 グラズガは静かに頷いて、部屋を出て行った。レオンは自分の確認がいる書類にケリをつけてから部屋を出て、カウダ砦を出る準備を開始した。


 そして、次の日にはレオンは残りの仕事をレイモンドに任せてブレイブ城へと帰還した。

 レオンがした事について説明の仕方に悩んでいました。結構、一人が話すところを書くのが想像以上に難しく難航してしまいました。

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