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第58話

 ゴロスは後方に向かって、単騎でかけていた。後方に着くと見ただけで、今にも脱落しそうな兵士が大勢いた。


「さてと、俺も最後の大仕事をするか。おっ、あいつは確か」


 ゴロスはすごい形相で走っているヘルメン・マドナが走っているのを見つけた。



 ゴロスは最高峰に着くと再び進路を前に変えて、ヘルメンに話しかけに行った。


「おい、少年」

「ありがとうございます。あなたは」


 ゴロスはヘルメンを持ち上げて自分の馬に乗せた。ヘルメンは舌を出して、荒い呼吸をしていた。


「俺はゴロス。姓はない。何故、お前の国は皇国の味方をしている。今まで、覇国寄りの国だっただろう。なんでだ?」


 ゴロスは直球にヘルメンについて質問をした。ヘルメンは質問に驚いたが、真剣な眼差しで見るゴロスを見て話した。


「私の父はとても優しい人でした。覇国が人間の奴隷を求めると必ず拒否をしていました。そして、覇国が最終勧告しにきた時も要求を突っぱねました」

「それで、覇国は攻めてきたのか」


 ゴロスが話を聞いて頷いた。しかし、ヘルメンは首を縦に振って悲しそうに答えた。


「はい。それに父上は最近、全種族を平等を掲げるヘルト……いえ、皇国に近づき、覇国から離れようとしたのが問題でした」


 ヘルメンの回答に、ゴロスは首を傾げた後に、ヘルメンに向けて笑いかけた。


「何が違うのかわからんが、お前の父上は先見の明があるな。今回は負けたかもしれねぇが、次は必ず皇国が勝つ。お前の親父が正しかったってカイン様が証明してくれるさ」


 ゴロスはヘルメンの背中を叩いて後ろを振り向き、時間がない事を確認した。


「じゃあな、馬はくれてやる。お前を推薦してもいいがやめとく、自力でカイン様の護衛になれそしたらわかるだろうな」


 ゴロスはヘルメンに馬の手綱を渡すと、馬から飛び降りた。そして、大きく息を吸った後に大声を出した。


「俺は皇王陛下の安全のため、ここで敵を食い止める。命を捨てる覚悟のある奴はこの俺について来い!」


 ゴロスの声に後方にいた兵士はその場に立ち止まって、反転した。


「おお、思ったより残ったな」


 残った兵士はおおよそ500人ほどになった。ゴロスは残った兵士の多さに驚いた。しかし、すぐに覇国軍とエルナー軍は残った皇国軍に突撃し、戦闘が始まった。


「おらっ!」


 ゴロスはハルバードを振り回して、覇国軍の重装機動歩兵、エルナー軍だろうと関係なく吹き飛ばしていった。


「やっぱり、マナーだが、礼儀だがなんだが知らねえがこっちの方が性に合うんだよ! 俺は騎士じゃねぇ。荒くれ者だ!」


 ゴロスは自分の得物をしっかりと握りしめて、大声で笑った。しかし、皇国軍のほとんどの兵士はすでに疲労困憊でもうすでに押されつつあった。


「足止めにならねえかも知れねえな」


 しかし、突然、覇国軍とエルナー軍は立ち止まり、争い始めた。ゴロスはこれを好機であると感じ、ハルバードを振いながら、勇猛果敢に敵軍に突撃した。




 エルナー軍のある一人の兵士は、追撃戦中に本を一冊持って走っていた。その本は初代勇者が魔王を倒すまでを記した『英雄ハヤト』だ。


 そこにゴロスが振り返り、覇国軍とエルナー軍の足止めをした。その瞬間に本を持っていた兵士は一人不敵に笑い出した。そして、隣にいた覇国の兵士に向かって剣を突き刺した。


「エルナー軍が攻撃してきたぞ! エルナー軍が裏切ったぞ!」


 覇国軍の一人の兵士が、大きな声で騒ぎ出した。


「ほんとうだ。エルナー軍の野郎が隣の味方を殺したぞ!」


 覇国軍は一斉にエルナー軍に向かって攻撃を開始した。エルナー軍のほとんどは訳もわからず攻撃してくる覇国軍を迎え撃った。


 皇国の追撃戦は突然に三つ巴の戦いになり、混戦を極めた。しかし、皇国軍の兵士は次々と死んでいき、ゴロスを残すだけとなった。


「おらっおらっおらっ!」


 ゴロスは持ち前の力を活かして、一人になっても大人数の相手に奮戦していた。しかし、覇国の精鋭である重装機動歩兵により徐々に傷が増えていき、ハルバードを振るう勢いは完全になくなっていった。


「なかなか、粘るではないか人間の癖に」


 ゴロスの前に金色の立派な立髪を靡かせながら、金色の目でゴロスを見下した。


「俺の名はリカルド・ホード。俺はお前が気に入った。俺の奴隷になれば、命は助けてやろう」


 リカルドは満身創痍のゴロスに向かって、嬉しそうに手を差し伸べた。


「笑わせるな」


 ゴロスはリカルドの手を振り払うと、地面に親指を立てた。


「そうか、非常に残念だ。ならば死ね」


 リカルドは哀れみの目を向けながら、ゴロスに大剣を振るった。ゴロスは持ち前のハルバードで塞ごうとしたが、力が足らずにすぐ押し切られた。


 ガイルは後ろに倒れた後、遠ざかっていく聖剣の光を見て、安心した顔をして、そのまま目を閉じた。

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