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第5話 襲撃②

 クラウン公爵邸の正門で二人の衛兵が夜警をしていた。


「おい。何で今日は何で私兵の入った馬車を衛兵で護衛してるんだ?」


「ブルート様が言うには、ヘルトの若様が馬車を襲う計画を立てているから逆に襲ってきたところを返り討ちにするそうだ」


「ふーん。まぁそのせいで今日は夜警の担当じゃないのに担当にさせられたんだからえらい迷惑だな」


「まぁ、その若様も今頃は殺されてるかもな」


 二人は話していると正面から蹄の音が聞こえてきた。だらけきっていた二人は馬の蹄の音が味方のものだと断定して警戒を緩めた。


「もう帰ってきたみたいだな」


「これでやっと寝れるぜ」


 気を緩めていた衛兵に目掛けて矢が飛んでいき、一人の衛兵を突き刺した。


「うぐっ」


 続け様に、隣の衛兵に向けて矢が飛んでいったが衛兵は間一髪のところで矢を避けた。そして、声を高らかに叫び出した。


「てっ、敵襲だーー」


 その後、叫んだ衛兵はすぐさま逃げようとしたが、先頭を駆けていた大男が逃さずに首を大剣で跳ね飛ばした。


「よし、これでこっちに集まるな」


 大剣を担いだガイルは首の飛んだ衛兵を見ながら、満足そうに頷いた。ガイルは辺りを見回して、目の前にある小さな小屋に目線を移した。


「お前ら、最大限まで気を引くぞ。まずはこの詰所に火をかけろ」


 ガイルの指示により、小屋に向けて火をつけた。それは段々と燃え上がり煙を巻き上げた。ガイルは燃え上がる小さな小屋を横目に正門の扉をこじ開けた。


「さてと、一仕事やるとするか」


 奥から騒ぎを聞きつけて集まってくる衛兵を見て、ガイルは獲物に狙いをつけた猛獣のような形相で笑った。




 その頃、裏門では、屋敷が騒がしくなったのを確認してカイン達が屋敷の敷地に突入した。


「よし。手筈通りだな」


「さてと、僕たちも行こうか」


 カイン達が突入した裏門には二人の衛兵がいた。しかし、彼らは正面で騒動が起こっているのに気が取られていた。レオンはすぐさま衛兵に駆け出して行った。


 二人の衛兵は、後ろを振り返ろうとする動きを見せた時に、一太刀でレオンに首を刎ね飛ばされた。


 カイン達は他に敵が近くにいない事を確認してから馬を降りて屋敷の中へと入った。


 カインとレオンは互いに視線を合わせると、カインは階段を登り、レオンは一階の各部屋に向けて走り出した。


「さてと、証拠は何処にあるかだな。あるとしたら、寝室か執務室のどちらかだ」


 カインはひとまず階段を登りながら、大事なものが保管されていそうな部屋の候補を考えていた。


 カインが率いてる傭兵は10人だ。たった10人とは言え屋敷の中で10人も知らない集団が走っていれば注目を集めるため戦闘を完全避けることはできなかった。

 ひとまず、手前にあった部屋に入ったがそこは物置部屋だった。


「お前らは何でもいいから証拠を探せ、他の奴らはこの部屋に入ってこようとしている奴を阻止しろ」


 カインは素早く指示を飛ばして、部屋の中を隈なく探し始めた。


「これでしょうか?」


「違う」


「これですか?」


「それも違う」


 傭兵達は見ても判断する事が出来ないため、重要と思った物を手当たり次第カインに見せていた。

 領地運営や、他貴族との関係だったりと色々な書類は見つかったが、奴隷商売についての書類は見つからなかった。


「ここは無さそうだな。次に行くぞ」


 そして、今調べてる部屋を出て、次の部屋に入った。そこはブルートが使用している執務室で、壁には自分の肖像画や奇妙な置物などが置かれていた。


「アイツの執務室か、ここは重点的に調べるぞ」


「「「はっ!」」」


 見つかったら大罪となり処刑されるかもしれないような書類を普通の場所に保管してあるわけがないとカインも理解していたが一つずつ丁寧に調べさせた。


 机の引き出しや、本棚などを調べていたが、なかなか見つからなかった。カインはふと視界にブルートの肖像画が目に入ると顔をにやつかせた。


「あれは怪しいな」


 カインは、ムカつく顔の書かれた肖像画見て、ゆっくりと近づいた。カインは剣を抜き、壁に立てかけてあった肖像画を叩き切った。肖像画の後には、鍵付きの金庫が置いてあった。


「当たりだな。これを壊せるやつはいるか?」


 カインには時間が無かったため、ゆっくりと開けている時間はないため、開けるのを諦め壊すことにしたが自分の力では壊せないため、傭兵たちに壊させることにした。


「俺に任せてくだせえ」


 一人の傭兵が声を上げた。カインは声の主の方を見ると図体のでかいハルバードを背負った男がいた。その男はハルバードを持ち上げて続け様に言った。


「俺がこのハルバードで叩きつければ、余裕ですぜ」


「よし、わかった。やってみろ」


 男は金庫の前に、急いで近づきハルバートを振り上げ、風を切るような速度で金庫に叩きつけた。


 男は中を傷つけないように金庫の扉だけを綺麗に真っ二つにした。カインは切り口を見ながら感心した。


「よくやった。お前の名前は?」


「俺の名前はゴロスだ。よく覚えといてくだせえ」


 カインは男の名前を聞いた。男は嬉しそうにハルバードを掲げた。


 金庫は金しか入っていないように見えたが、カインは金庫をひっくり返して中身を全て外に出した。


 すると中から一枚の紙が落ちてきた。内容を確認すると、この紙には、ブルートの行っている奴隷商売について明記されていた。


「よし、撤退するぞ! ついでにこの金も持てるだけ持っていく」


 カインは袋に金になりそうなものをできる限り詰めてから傭兵に持たせた。カインはやる事が無い事を確認して、部屋から出ようとしたところで、カインにめがけてナイフが飛んできた。


「うおっ!?」


 カインはなんとか回避すると、素早くナイフが飛んできた方向を確認した。


「はー。やっぱりあの豚は無能だな」


「お前はブルートの取引先か?」


「まぁ、いちおう取引はしたかな?」


 部屋の入り口に黒ずくめの格好をした男が立っていた。カインの質問に曖昧な返事で答えた。


「あー、取られたなら仕方ない。ここで殺すかー。出てこい仕事だ」


 黒ずくめの男が手を叩くと、窓や扉など様々な場所からアサシンと見える黒ずくめの集団が20人ほど入ってきた。


「迎え撃つぞ!!」


 カインたちはすぐに武器を手に取り、アサシンの集団と戦いを始めた。


「お前は強そうだから俺とやるか」


「はあー。そういうのは嫌なんだけど、あんたを早めに殺した方がすぐに終わりそうだな」


 カインはリーダーらしき者に剣を向けて呼びかけると、その男はめんどくさそうにしながらも応え、カインの前に対峙した。

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