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第57話

 すみません。先日は投稿できませんでした。

 覇国軍の重装機動歩兵は皇国軍を見つけると皇国軍に目掛けて一直線で走ってきた。


「防御陣形を取れ。ホエイの方にいる兵士は中央に加勢しろ」


 カインは敵の行動にすぐ反応し、戦列を整え、兵力を集中させた。しかし、カインの指示をも圧倒し踏み潰すかのような勢いで重装機動歩兵は皇国軍の戦列に食い込んだ。


 皇国軍は重装機動歩兵によって、徐々に被害が拡大し始め、皇国軍の戦列が崩れ始めた。カインはすぐに聖剣を引き抜き、掲げた。


「皇国の兵士よ。我が名はカイン・ヘルトである! 貴殿らが誠に皇国の民であるならば、この世界に我らが武、我らが勇を轟かせて見せようぞ!」


 聖剣はカインが掲げると同時に眩く光り始めた。真っ黒な森はすぐに光に包まれて真昼のように明るくなった。


「「「うぉっーーーーー」」」


 皇国軍は一斉に雄叫びを上げて、勇猛果敢に敵に向かって突撃を開始した。




 覇国軍のグランコンドル隊は森から真っ先に出て撤退している部隊に襲い掛かっていた。


 輸送部隊は真っ先に撤退していたが、あまりにも規模が大きかったため、覇国軍のグランコンドル隊はすぐに見つかった。


「覇国軍の空軍がこちらに向かってきております」


 一人の兵士が大声を出すと輸送部隊の指揮官であるアポー・ノビレは空を見上げた。指揮官は空を見上げると、すぐ上空をグランコンドルが駆け回っていた。


「なぜだ! 我々に敵は来ないはずではないのか!」


 アポーの声と共にグランコンドル隊が降下突撃をしてきた。備えていなかった皇国軍はなすすべもなくやられていった。


 アポーはすぐに指示も出さずに馬車の中へと駆け込んだ。指示のない皇国軍は空からの攻撃に連携することもなく各個撃破されていった。


 アポーは自身の終わりを感じた所に、先ほどまで自分達が居たところが光始めたのを目にした。その場にいた全員が光の方に注目した。


「おい! あっちを見ろ」

「あれはおそらく聖剣の光だ! こいつらは囮か。急いであっちに行くぞ!」


 グランコンドル隊は空に羽ばたき、輝く森に向かって急行した。アポーはグランコンドル隊が空に出ると恐る恐る馬車から出て空を見上げた。


 アポーは去りゆく敵兵を見て、ようやく自分が囮であることに気がついた。




 崩壊しかけていた戦列は徐々に回復していった。皇国軍が押し返すと戦線は拮抗し、これから本格的な戦闘が始まるところに、カインは新たな指示を出した。


「撤退のドラを鳴らせ! 今すぐ撤退をするぞ!」


 カインの号令と共に明暗の別れる森中にドラの音が鳴り響いた。ドラの音と同時に皇国軍は一斉に戦いをやめて撤退し始めた。


 皇国軍はあらかじめ撤退の準備をしていたため、スムーズに撤退を開始した。撤退を開始した皇国軍を覇国軍とエルナー軍は併走して追いかけた。


 皇国軍はなりふり構わずに撤退を開始している中、カインは皇国軍の最前列で聖剣を掲げながら撤退していた。


「この光を見よ! この聖剣の光が我々を導かん!」


 カインは聖剣を掲げていると、敵に全力で狙われている事を理解していたが、聖剣を下ろすことはしなかった。


 狙われるデメリットも有るが兵士の鼓舞、剥がれた味方への目印などを考えて掲げ続けていた。


 カインは空を不意に見上げて、空高く駆け回るグランコンドルを見つけた。


「空に槍を掲げよ! 弓兵は空に矢を放て! 間違えても進行方向に打つなよ」


 カインの号令と共に皇国軍は槍を掲げて後ろに弓を放った。しかし、後ろに放っているため前を走っているカインに向かってグランコンドル隊が殺到した。


 グランコンドル隊がカインの元に集まり、あたりを照らす聖剣の光は徐々に弱まっていった。そんな中、カインに集まっていたグランコンドル隊は少しずつ地に落ちていった。


「この俺を舐めるなっ!」


 グランコンドル隊は全員がカインの首を目当てに殺到していたため、連携などは特に考えていなかった。


 カインは勇者一族では最も剣の才能が無かった。しかし、それでも勇者一族なので人以上にはできた。


 グランコンドル隊の生き残りはすぐに上空に急上昇して集まり出した。聖剣の光は再び辺りを照らし出した。


 カインは空を見上げてしばらくは大丈夫だと考え後ろを振り向くと覇国軍とエルナー軍はすぐそこまで迫っていた。


「カイン様。後方が捕まりそうです。我々の事は気にせず全力でお逃げください」


 ゴロスがカインに併走すると頭を下げた。


「ゴロスか。それはできん。俺は勇者の一族だ。俺の民を見捨てて自分だけ逃げるなんて、先祖に、勇者に、父上に、そしてウォードに顔向けが出来ん!」


 カインはゴロスの進言を聞いても、聖剣を掲げながら走っていた。ゴロスはカインの回答を聞いて、顔に笑みを浮かべた。


「分かりました。ですが、このままでは全滅です。私が時間を稼ぎます」

「おい、ゴロス。それは……」


 カインはゴロスの言葉を聞いてすぐにゴロスのやろうとしていることを理解した。そのため、カインはゴロスを止めようとしたがゴロスの力強い目を見て言葉をつぐんだ。


「カイン様。私は馬鹿なので気の利いた言葉は言えません。ですが、ウォード将軍や私のように、突然貴方の元を去るものはこれからもたくさんいるでしょう。それでもお進みください。ウォード将軍も同じ気持ちだと思います。必ずや、成し遂げてください。私たちの偉業を」


 ゴロスは言い切ると。皇国軍の後方に向かって走り出していた。カインは去りゆくゴロスを振り向いて見送ることなくそのまま前を見て走った。


「お前のどこが気が利かねえんだよ。わかった。そうだな。俺たちの偉業だったな。必ず叶える。だから、お前もウォードも安心して俺に託せ」


 カインは涙を顔に浮かべ笑いながら、暗い草原を照らして駆け抜けた。

 総合評価が100を超えました。とても嬉しいです。


 これからも書いていきますので、読んでいただけると嬉しいです。

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