第56話
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「皇王陛下、敵襲です。覇国が夜襲を仕掛けて参りました。我々の所に到着するまでにはまだ時間があります」
カインのテントの前で一人の兵士が大きな声を出した。カインは兵士の報告を聞いて飛び上がるように起きた。
「なに? 明日着く予定だったな。敵の位置を確認した国はどこだ?」
カインはすぐに頭を働かせて考えた結果、裏切りものながいるということを理解した。
間違った敵軍の報告をした国は、こちらに向かって直進しているはずである。そのため、裏切りした国が分かれば対策が立てやすかった。
兵士は少し躊躇った後、先ほどの報告より小さい声で答えた。
「申し訳ございません。わかりません」
「わかった。持ち場に戻れ」
「はっ」
カインは報告を聞くと、兵士を下がらせて着替えを始めた。そして、今の現状について簡単に考えた。
「くそ、まずいな。勝手に撤退すると我々は戦う気が無いと見られるだろう。本当に支援を求めていた国の信望を失ってしまう」
カインは着替え終えると、すぐにテントの外に出た。
「おい。撤退の準備をしろ。そして、正面三方向からの攻撃に備える防御陣を敷け」
カインは兵士に素早く指示を出した。万が一、覇国派の国が全て裏切ってる場合はすぐに迅速な撤退をしなければならない。
「皇王陛下、ホエイより使者が参りました」
カインは報告を聞いて安心して、ホエイへの警戒を解こうとしたがすぐにやめた。
「わかった。通せ」
カインが通すように指示をすると、ホエイの使者は走り込んでカインの前に現れた。
「皇王陛下、覇国が夜襲を仕掛けてきました。援軍の派遣をお願いします」
ホエイの使者は息絶え絶えになりながら、カインに向かって頭を下げた。
カインは使者の態度を見て、ホエイは覇国に本当に反発していると推測したが、援軍を送るどころではなかった。
「おそらく、3カ国の中で誰かが裏切っている。お前らでないならば、自国の領地に向けて全力で逃げろ。こっちにくればホエイは裏切ったとみなす。敵はおそらく俺が狙いだ。俺が聖剣を掲げて注目を集める。その間にお前らは自分の国に向かって逃げろ」
カインは覇国派の三国は誰が裏切っているか想像できないため援軍を求めたホエイが敵かどうかの判断がつかなかった。
「ですが、皇国は?」
使者はカインの発言でカインがやろうとしていることを理解して確認を求めた。
「お前らに心配されるほどじゃない。早く行け」
カインの顔はここにきた時の顔とは違い覚悟の決まった表情をしていた。使者はカインの顔を見て唾を飲み込んだ。
「わ、わかりました。ご健闘お祈り申し上げます」
使者はすぐに踵を返して、全力でホエイの陣地に向かって走り始めた。カインはホエイの使者が去ったことを確認すると新たに指示を出した。
「ホエイ方面の防御は最低限にしろ。だが、ホエイの監視は怠るな」
カインは大きく息を吐き座った。そのあと、交互にマドナとエルナーの軍が待機している方角を見た。すると、エルナーの方角から一人の兵士が走ってカインの元に来た。
「カイン様! エルナーの軍がこちらに向かっております。半刻もかからずこちらに到着します」
カインは時間が無いことを把握したが焦ることはなかった。
「わかった。輸送部隊はシメオンに向かって撤退を開始しろ。死にたくなければ灯りはつけるな。空から狙われる。護衛には1500人まで連れていっていいぞ」
カインは輸送部隊の指揮をしていた貴族に向かって指示を出した。貴族は早くこの場から逃げたかったかったようで、首を大きく縦に振ると素早く護衛を最大限連れて撤退を開始した。
「残りは輸送部隊が見え無くなるまで敵の時間を稼ぐ。撤退の頃合いになれば撤退のドラを鳴らす」
残った兵士はカインの指示を聞いて3方向に分かれて散り散りに分かれていった。
「カイン様。護衛をつける意味はあるんですか? あいつあんなに護衛を連れてきましたが」
ゴロスがカインに向かって撤退している部隊を睨みながら、話しかけてきた。
「考えてみろ。真っ先に撤退してる大部隊を見つけたら、俺が保身に走って逃げたようにしか見えないだろ? 簡単にやられては困るからな」
ゴロスはカインの不適な笑みを見て、納得したように頷いた。
「なるほど。学のないあっしでもわかりやした」
輸送部隊が撤退してしばらく経つと、エルナーの軍が皇国軍になだれ込んできた。
皇国軍はエルナーの突撃を前もって知っていたため、備えることができていたため、敵が防御陣を突破する事は出来なかった。
カインは正面からのマドナから音沙汰が無いことを不自然に感じ始めた。裏切っているならば、エルナーと同時に突撃をしてくるはずである。
「頼む! 俺はマドナの君主の息子、ヘルメン・マドナだ。今すぐ皇王陛下に謁見させてくれ!」
マドナの方角で聞こえてきた声にカインは素早く反応して、声が聞こえる方角に向かって走り出した。
そこの場所には複数の皇国兵に囲まれたボロボロな犬の獣人の少年がいた。
「どうした? 俺が皇王のカイン・ヘルトだ」
カインは周りの皇国兵に向かって去るように合図を送り、皇国兵が去ると少年に近寄った。少年はすぐにカインに頭を下げて叫び出した。
「ツァール・マドナの息子。ヘルメン・マドナです。皇王陛下今すぐお逃げください。敵軍は中央に重装機動歩兵を投入してきました。マドナ軍は死力を尽くして食い止めています。ですので、今すぐお逃げください」
カインは逃げることよりも先にマドナは裏切っていないことを確認して、そのあと逃げるかを検討し結論を言おうとした時に伝令が走り込んできた。
「皇王陛下、正面より覇国軍が現れました。重装機動歩兵だと思われます」
「そんな!」
ヘルメンは悲壮な顔をして、皇国軍の報告を聞いた。カインは伝令の報告を聞くと顔を顰めてすぐにヘルメンが来た方角を見た。
カインはマドナの方を見ると重装してるとは思えないような動きでこちらに向かっている敵兵を見て舌打ちをした。




