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第53話

 レオンとドリューは人払いをして、第4城壁の一室にてカイン・ヘルトと王国第一元帥の会合が行われることとなった。


「さてと、あなたは誰ですか?」


 ドリューは椅子に大きくもたれて、眼鏡を外して眼鏡を履いた後に、首を傾げて眼鏡を覗き込んでレオンを見た。


「あはは、流石に第一元帥殿の目は誤魔化せないか。流石のご慧眼ですね。私はヘルト皇国のカイン皇王、右腕のレオン・ブレイドです」


 レオンは苦笑しながら、軽くドリューに向けて拍手をした。その後、黒い髪を持ち上げるとその間から青い髪が靡いた。


「右腕ですか。良い信頼関係ですね。羨ましい限りです。それと私の事はドリューと呼んで構いませんよレオン殿」


 ドリューはレオンの堂々とした名乗りをきいて、面白そうに笑った。


「そうさせてもらいますドリュー殿。も二大騎士団の団長と仲がいいと聞きますが」


 ドリューは目を細めた後に口元に再び笑みがこぼれた。


「ええ、彼らは学生時代の学友ですからね。それより、本題に入りましょう」

「そうしましょう」


 ドリューの本題切り替えにレオンはすぐに頷いて答えた。


「本題の一つは帝国の新兵器について情報をまずは説明してもらいましょうか」


 ドリューは人差し指を立てながら、レオンに向かって帝国の情報を求め始めた。


「わかりました。私も見たわけではないですが、遠距離武器で範囲攻撃といったところですね。一度しか使っていないので、射程、精度などはわかりません。ですが、威力は高く、着弾地点の中心に近づくほど威力が高くなるそうです」


 レオンは密約の話があるため、駆け引きなく伝令から聞いた情報をそのまま伝えた。


「なるほど。近衛騎士を簡単に吹き飛ばす威力が有ればそれは危険ですね。後、連射性能などもわかりませんね」


 ドリューはレオンの情報を聞いて、メガネを触りながら小さく呟いた。そして、ひとりでに頷いた後にレオンの方に向き直した。


 ドリューは2本の指を立てて、にやりと笑い出した。


「それでもう一つは皇国と王国による同盟の提案ですね」


 レオンはドリューの提案を聞いた後に、目つきを鋭くさせてゆっくりとドリューを睨んだ。


「なるほど。それはそれは興味深いです。我が領土を攻撃しておいて同盟ですか?」


 ドリューはレオンに睨まれても、怯えることなく目を細めてあくどい笑みを浮かべながらレオンの視線に合わせた。


「いえ、我が軍はあくまでケルドを攻撃したのであってヘルトではございません。今日攻撃したのはヘルト軍が砦に入ってるのに気が付かなかったんですよね」


 レオンはドリューの堂々とした白々しい弁解を聞くと、睨むのをやめて、手を抑えて笑い始めた。


「そうでしたか。これはご失礼しました。気づいていないなら仕方ありませんね。誤解はよくあることです」


 レオンの反応を見て、ドリューはあくどい笑みから、愛想笑いへと顔を変えてレオンに向かって手を差し出した。


「そうですよ。いやー、ご理解していただきありがとうございますね」

「いえいえ」


 レオンは手を差し伸べられると、首を振りながらゆっくりと手を差し伸べた後に軽く握手をして、互いにすぐに手を離した。


「さてと、答えはどうですか?」


 ドリューは再び眼鏡を触りなが、レオンに向かって、答えを聞いた。


「同盟も面白いのですが、少々面白い提案がありますよドリュー殿」

「ほう、その面白い提案とは?」


 レオンは口元を綻ばせながらドリューに提案すると、ドリューもまた目を細めながら口元に笑みを浮かべた。


「国ではなく我々だけで密約をしましょう」

「なるほど。それは興味深いですね。して内容は?」


 レオンの提案にドリューは目を見開いて、納得したように頷いた後に、嬉しそうな目でレオンを見つめた。


「まず同盟の理由は、帝国の新兵器による三強国の近郊の崩れの補填、そして我々を覇国の防波堤とすることでしょう」


 レオンは同盟による王国の利益と狙いを言い当てると、ドリューは拍手をした。


「ええ、その通りですよ」

「我々もいろいろと利益があるので乗ってもいいです」


 ドリューは楽しみと言わんばかりな顔をして、レオンの口から出る次の言葉を待った。


「ですが、王国の国王は狡賢いことで有名ですからね。王国は信じられませんが貴方なら信用できそうですね」


 ドリューは納得したように頷きながら流し目でレオンを見た。レオンはドリューの反応を見て、苦笑いしながら話を続けた。


「内容は片方が帝国に攻められれば、己の権限を使って帝国を威圧する又は侵攻をして帝国の戦力の分散をする。覇国には近くに戦う予定なので防波堤の件はご心配なく」


 ドリューはレオンの提案を聞いて、内容とレオンの考えをすぐに見抜いた後。嬉しそうに答えた。


「なるほど。そうですね。それは面白い。いいでしょう」

「それと個人的にですが、私と文通でもしませんか?」


 レオンはドリューが返事を聞くと、間髪入れずに直ぐに新たな提案をした。


「ええ、それはいいですね。私もぜひ、レオン殿と付き合いを続けてみたいですからね」


 ドリューは手を差し伸べると、レオンはしっかりと握り長いこと握手をした後に笑い合った。


 二人の会談が終わるとすぐに、王国軍はカウダ砦から退き、侵攻してきている帝国軍に向けて出発した。

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