第52話
「さあ、かかってきな」
レオンは剣を持っていない方の手で手招きをした。一人の騎士剣を持って前に進み出した。
「さすがは勇者の一族。我々は今まで最強と驕っていたようだ。我が名はピクト・ブルターニュ。ぜひとも、一手指南を願う」
前に進み出た騎士は剣を置いて一礼してから、右手で剣を拾い上げて構えた。
「我が名はカイン・ヘルト。いいだろう。付き合ってやる」
レオンは相手の意思に応えるかのように一歩進んでから剣を構えた。
ピクトはゆっくりと歩み寄った。間合いに入るとピクトは剣を持っていない左手でレオンにフックをした。レオンは拳に素早く反応して体を後ろに反らせた。
ピクトはレオンのバランスが崩れたのを確認すると、レオンの腹に向かって剣を突き刺そうとした。そこでレオンは体をひねることによってピクトの突きを交わすと体を捻った勢いでそのまま脚を回転させてピクトの顔に叩きつけた。
「あがっ?」
ピクトは蹴りに対して防御を何もしていなかったため、一気に体勢を崩しそうになったがその場で踏み留まり、急いで後ろに飛び退いたが、ピクトの左腕は既に切られていた。
「くそ。騎士のプライドを捨てて戦ったがそれもダメみたいだな。なら、最後は戦士として!」
ピクトは笑いながら、右手で持っていた剣を地面に突き刺した後に、出血が止まらない切れた左腕を握った。ピクトはある程度出血が止まると、剣を持って走り出した。
「うおぉぉぉぉっっっ!」
ピクトは雄叫びを上げながらレオンに向かって剣を上げて、走り出した。レオンはピクトが間合いに入ると応えるかのよう剣を振り下ろした。
レオンとピクトの剣がぶつかると甲高い音を立てた後に、ピクトの剣が砕け散った。レオンはそのまま止めることなく剣を振り下ろして、ピクトを斬った。
「見事。流石は勇……」
ピクトは最後にレオンに向かって、讃辞を述べようとしたが、言い切る前に言葉が切れた。
「当たり前だ」
レオンは表情を変えることなく言い切ると残りの騎士に向けて剣を構えた。
「「「うぉーーーー」」」
レオンが勝ったと同時にカウダ砦では喝采が巻き起こり、兵士が大声を出して拍手し始めた。
ヘルト軍の歓声とレオンの圧倒的な武勇によって、戦場の雰囲気は完全にヘルト軍に飲み込まれていった。
「申し訳ないが、彼がこの中で一番強かった。残りの我々では一対一で勝てる気がしない。騎士としてあるまじき行為ではあるが、全員で行かせてもらってもいいだろうか」
一人の騎士が頭を下げて、謝罪した。レオンは騎士の言葉に笑って答えた。
「ああ、構わないよ」
頭を下げた騎士と近くにいたを二人の騎士は剣を引き抜き、レオンに向かって、一歩一歩とゆっくり踏み出した。
「行かせてもらう!」
中央の騎士の号令と共に3人の騎士は広がりながら、レオンに向かって走り始めた。
中央の騎士がレオンの頭に目がけて剣を垂直に振り下ろすと、レオンは後方に下がった。間を置かずに左右の騎士がレオンに向かってそれぞれ首と足首に向けて、水平切りをした。
レオンは軽くジャンプすると首に向かって振られた剣に向けて剣を合わせて、振られた剣の勢いを利用して、正面の騎士に向けて蹴りを入れた。
正面の騎士は勢いのついた蹴りに体勢を崩すとレオンはすかさず倒れ込んだ騎士の喉に向かって剣を突き刺してトドメを刺した。
レオンは剣を引き抜いて、二人の騎士の方を向くと二人は剣を振り下ろそうとしていた。素早く横跳びをして避けて、二人の首を一太刀で同時に吹き飛ばした。
「ぜ、全員でやるぞ!」
3人が死んだ事を確認すると見ていた指揮をしていた騎士が叫ぶと残りの近衛騎士が剣を構え始めた。
「そこまでですよ」
今すぐ攻撃を開始しようとする騎士たちに対して、ドリューが眼鏡を触りながら歩いてきた。
「第一元帥様! なぜここに!?」
指揮をしていた騎士が驚きの声を上げたのちに、ドリューに向かって膝をついた。
「落ちそうな砦がなかなか落ちないからですよ」
ドリューは目を細めて首を振りながらため息をついた後、レオンを上から下まで舐めるように見回した。
「そんなことよりも、わたしは少しだけあなたと話がしたいのですが?」
不敵な笑みを浮かべながらドリューはレオンに向けて手を差し伸べた。
「ああ、わかった」
ドリューの笑みに対して、レオンは露骨な愛想笑いをしながらドリューの手を握った。
3回目のワクチン接種で副作用が出てしまいしばらく書けていませんでした。
本日からまたしばらく毎日投稿をする予定です。




