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第51話

 ヘルトが帝国派に侵略する前から、覇国は覇国派の国々に要求をするも拒否されていた。それを理由に覇国軍がルーデンス地方に進軍してきた。その結果、覇国派の国々は一斉にヘルト皇国に援軍要請をしてきた。


 カインはすでに覇国の行動を先読みしていたため、援軍に行く決断は早かった。内密に出陣する準備を進めていたため、報告のきた翌日にはすでに出陣ができる状態となっていた。


 出陣する直前にルーナは、カインの見送りに来ていた。ルーナは目線を逸らしながらカインの手を握った。


「必ず帰ってきてくださいね」

「ああ」


 カインもルーナを直視せず、頬を赤くしながら、手に力を入れてルーナの手を握り返して答えた後に直ぐに手を離した。


「行くぞ!」


「カイン様っ!」


 カインが行こうとするとケイレブが走りながら呼び止めた。


「どうした?」


「王国の進軍の対処はどう致すのですか? 忘れてはおりませんよね?」


 ケイレブは必死な顔でカインに向かって訴えかけた。


「安心しろウォードの死で気が動転して忘れてたわけではない」


 カインは瞳はほんの少しだけ陰りを見せたが、胸につけているペンダントを握るとすぐに笑った。


「ならば、対処方法は、」


 カインはケイレブがカインに向かって対処方法を聞こうとするとすぐに静止した。


「それも安心しろ。俺の聖剣がどうにかするさ」


 カインは自分の腰に携えている聖剣を触りながら答えた。ケイレブはカインの答えに首を傾げたが、カインは答えることなくそのまま5000の兵を引き連れてブレイブ城を出発した。







 カインがブレイブ城を出発して、数日が経ったほどにレオンはカウダ砦に到着した。


 敵の攻撃は弱まったものの、敵の侵攻は抑えられず最後の城壁である第6城壁まで後退していた。そして、すでに砦の門はボロボロで今日破城槌が門に到着すれば砦が落ちることは明白だった。


「レイモンド様! ヘルト皇国の軍が到着いたしました!」


 一人の兵士が椅子に座っているレイモンドの横で膝をついた。


「そうか。門があのざまだと流石に撤退するか」


 レイモンドは強張った顔でボロボロの門を見ていた。続く激戦の中、体は動かしていなかったものの大声で叫び兵士を鼓舞していたため、体は限界を迎えていた。


「お待たせいたしました。レイモンド殿。私の名前はレオン・ブレイドです」


 黒い髪をしたレオンがゆっくりとレイモンドに近づき立ちながら、レイモンドに挨拶をした。


「思ったより若造じゃねぇか。聞きたいことがいろいろあるが後にする。鏡の準備はできているが、門はあのざまだ。もう撤退すべきだ」

「もう敵は門を触れる事はありません。あとは私に任せてゆっくりお休みになられてください」


 レイモンドは悔しそうな顔をしながら首を振った。レオンはレイモンドの肩を軽く叩いた。


 レオンはゆっくりと歩いて、城壁の一番上に立った後に、自分の剣を掲げた。


「我が名はヘルト皇国、皇王のカイン・ヘルトだ。この聖剣の威光を見よ。勝利は既に我々の手の中にある」


 レオンが剣を掲げると聖剣でもない剣は光輪を作って輝いた。


「「「うぉーーーー」」」


 ヘルト軍が一斉に大声を上げた。それに釣られて、カウダ砦にいた兵士たちは自分を鼓舞するために、又はヘルト軍につられて声を出した。




 レオンがカウダ砦にいる兵士を鼓舞しているのをドリューは怪しみながら眺めていた。


「あれが聖剣の輝き、報告とは少しイメージが違いますがあの士気の上がり方からして本物でしょうが、何か怪しいですね」


 ドリューがレオンについて考えているとひとりの将が、ドリューに話しかけた。


「第一元帥様、本日は攻撃しないのですか?」


 ドリューは質問を聞いて口元を押さえて軽く笑った後に、質問してきた将に向かって言った。


「馬鹿を言わないでください。まぁそうですね。ひとまず私たちに時間はありません。ですが、最後の門ももうすぐで壊れるようなのでこのまま普通に攻めましょう」


 ドリューは城が陥落しそうな事を考えていつも通り攻撃しても問題ないと判断し、直ぐに攻撃を開始した。




 王国軍が攻撃を開始すると、カウダ砦は閉じていた門を開くと、レオンがそこから出てきた後すぐに閉じた。


「よく聞け王国軍。この門を攻撃したければ、この俺を倒してからにしろ。勇者より受け継がれし我が武、その目に焼き付けろ!」


 レオンは破城槌を押してきている近衛騎士に向けて剣を構えた。最前列の騎士がレオンの武器を見て叫んだ。


「聖剣はどうした!?」


「貴様らの相手に聖剣を使う必要はないだろう。いいハンデじゃないか」


 レオンは叫んだ騎士を嘲笑って、手招きをした。レオンの態度に怒りを露わにして、背中から武器を取り出しながらレオンに向かって走り出した。


「いくら、勇者の一族とて容赦はせん。われわれ、王国の武である近衛騎士団を舐めるな」


 走り始めた騎士は取り出した剣を両手で持つとレオンに向かって、渾身の水平斬りをした。騎士団の全員は走り出した騎士の勝ちを確信した。


 レオンは素早く軽くしゃがむと騎士の水平斬りに剣を合して、斜め上に退かせながら、剣の軌道を変えた。


「なっ!」


 レオンに対峙していた騎士は攻撃を軽く受け流された事に驚いたが直ぐに構え直そうとしたが、レオンはその隙を見逃すことなく相手の首を素早く切り伏せた。


 レオンはすぐに他の騎士に向かって剣を構えた。見ていた騎士たちは、圧倒的なレオンの技量を見て、無意識に一歩だけ後退りをした。


「さあ、かかってきな」

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