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第44話

 トリスタンは続けて第二城壁の門を壊した後に第三城壁の門を壊そうとしたが、壊れずにトリスタンは撤退していった。


「がっはっはっ。三つ目の門も壊せると思ったんだがな。流石に帝国が作ったもんだ。そう簡単にはいかねぇみたいだ」


 トリスタンは上機嫌でハルバードを掲げながら王国軍へと帰ってきた。


 王国軍は全員手をあげて喜んでおり、士気の落ちたカウダ砦とは逆に王国軍の士気は高まった。


「上出来ですよ。これで攻略が楽になります。ご苦労様」


 凱旋するトリスタンに拍手をしながらドリューは迎えた。トリスタンはドリューのねぎらいの言葉を聞いて、嬉しそうに笑った後、ドリューの肩に手を置いた。


「そうか。攻城戦にもうわれわれの出番はもうなさそうだな。後は頼んだぞドリュー。破城槌の要員はおそらく任せたやつが用意したさ」


 ドリューはトリスタンの手を払い除けると自分のメガネの位置を調整した。


「わかっていますよ。あとは私の仕事ですね。さあ、出し惜しみはしませんよ。手はず通り地と空からの同時攻撃を行いましょう」


 ドリューは近くにいたペガサス騎士団と近衛騎士団に命令を下した。


 ペガサス騎士団は王国空軍、又は特別な任務に就く者の移動手段として使われる。


 ペガサス騎士団の団長は今回、帝国軍との睨み合いをしており、この場には不在であった。


 王国軍は地上からとペガサス騎士団による空中の同時攻撃を開始した。




 第二城壁までを捨てて撤退したレイモンドはペガサス騎士団が空を飛び立つのを確認した。


「相手も本気だな。このままだとたとえこの要塞とてすぐに落ちそうだな」


 レイモンドは冷静に敵が攻撃してくる箇所と攻城兵器を確認した。


 地上部隊は梯子と破城槌による攻撃を、ペガサス騎士団は弓を持ち射程外から攻撃を開始した。


「二人一組を作れ、一人は空に向かって大楯を構えろ。地上部隊には石と丸太を落として、乗り込んでくる敵を妨害しろ。城門を攻撃してくる敵は放置だ。少数の兵士は第四城壁で弓を構えて、近づいてきたペガサス騎士団を牽制しろ」


 レイモンドは上空から弓を打ち下ろしてくるペガサス騎士団への反撃と破城槌の騎士団を無視して、城壁を登る敵を攻撃した。


 カウダ砦の兵はトリスタンの門破りを見た後で怖気付いていた。レイモンドの対応は良かったが兵の士気を上げるまでにはいたっていなかった。


 兵の士気が低い動きに乱れが生じたり、兵が脱走するなどさまざまなトラブルが生じる。


「チッ、士気を上げたいが上げる手段が思いつかねえ。王国に何しても空回りしそうだな」


 レイモンドは第三城壁から戦場を見渡せる第四城壁まで下がって、空を舞うペガサス騎士団を忌々しく眺めていた。




 王国軍の本陣では、ドリューが敵の対応に顎を押さえながら眺めていた。


「敵の指揮官はなかなかの腕前ですね。トリスタンが下げた士気は回復までしていませんね。その綻びを見逃すほど私は甘くありませんよ」


 王国軍は士気の影響で綻びが出た場所に集中攻撃をした。カウダ砦は徐々に王国軍に追い詰められ始めた。


 カウダ砦の城壁は次々と攻略されていき残るは二つを残すだけとなった。城壁は後ろに行けば行くほど狭くなり壁が高く、門が硬くなるため頑強になっている。


 しかし、カウダ砦は後退する内にも被害が発生し残る兵士は500名ほどとなっていた。日々の戦闘で兵士の体力も限界を迎えていた。


「まずいな。このまま行くと保って二日ほどだな。援軍が来る気配もねぇ。相手が夜にも攻撃をしてきたら今日中にでも陥落しそうだ」


 レイモンドは額から汗を流し、戦いが始まる前よりもやつれていた。


「レイモンド様、フェイ様の書状を持って会いたいというものが砦に来ておりますが」

「わかった。今すぐ通せ。流石に俺はここから離れられないからここに連れてきてくれ」


 レイモンドは報告に来た兵を見ずにずっと王国軍の方だけを見て答えた。王国の攻撃に対して、目を光らしておきたいからだ。


「かしこまりま……」


 報告に来た兵士はすぐに振り返り退出しようとすると目の前にいる人物に驚いた。


「いやー。遅いから自力で来たよ」


 そこには兵士が待てと命令した筈の男がのうのうと笑いながら後ろにいたからだ。


「貴様! っっっっ?!」


 兵士は剣を振り抜こうとしたが、それよりも先にクロが自分の喉元に暗器を立てていた。兵士はその場で硬直した。


「名を聞こう」


 レイモンドは後ろを振り向くことはなく、その場に現れた者の名前を聞いた。


「ヘルト皇国、諜報員のクロだよ。てめえ、暗殺者に背後を見せ続けるとは舐めやがって」


 男は少し苛ついた声で答えた。レイモンドはそれでも振り返ることなく質問を続けた。


()()()の暗殺者がなんのようだ? 見ての通り俺は忙しい」


 レイモンドは嫌味っぽく質問を飛ばしたのに、クロは大声で笑い出した。


「おいおい。皇国をつけろよ。我が主君が怒るぜ〜。それはさておき、この紙を渡しにきたんだよ」


 クロはレイモンドの頭の上に書状を叩きつけるように置いた。レイモンドはクロの対応に苛立ちながらも、頭に叩きつけられた書状を受け取った。


「受け取ろう」


 レイモンドは書状をもらって、しばらく考えた。後、すぐに行動を起こした。


「………なるほど。これはいいな。おい、戦えない歩ける兵に砦の鏡を全て集めさせろ」


 レイモンドはその時、ようやく振り返り兵士に指示を飛ばした。レイモンドの口元にはひさびさに笑みが溢れた。

 前日はいろいろと忙しくて投稿できませんでした。ですので、今日は2話投稿する予定です。

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