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第33話

 クロとクルトがルードにて、諜報活動を行なっているときに、ヘルトでは進行作戦が行われていた。


 レオンとレイジ、そしてヴァイスは会議室で地図を見ながら、帝国派への侵攻方法を考えていた。


 3人の中で真っ先に発言したのはヴァイスであった。


「これは大体どのぐらいの兵力が動員されるんですか?」

「そうだね。大体、動員できる兵力の最大が三万程度、海軍に5千、覇国派の抑えとして1万程度は必要だから、大体1万五千と考えると、それぞれの率いる兵力が5千といったところだね。敵も1国あたりそのぐらい動員できると思っていいよ」


 カインが皇国に残る理由の一つでもあるのが、覇国派が攻めてきた時に対処する指揮官がいないという問題があったからでもある。


 レオンは皇国の国力を考えて、使える兵力の合計を答えた。レイジはその数を聞いて、難しい顔をした。


「抑えを減らすべきかもしれねぇな。帝国からの援軍があると考えるならかなり厳しくなるぞ」

「でも、覇国派が攻めてくると守りがかなり厳しくなるんだよね」


 ヴァイスの質問から始まった話し合いは、すぐにレイジとレオンだけのは話し合いに変わった。


「すると、どうやって三つを手早く落とすだが……」

「うーん。三つを全部、奇策で落とすのは現実的じゃないしね」


 ヴァイスは二人が会話に夢中になるにつれて、もしや自分は忘れ去られてしまったのではないかと思い、声を上げた。


「あのー、私のこと忘れてません?」

「そんなことはないよ」

「あっ、完全に忘れてた悪いな」


 レイジとレオンはヴァイスの声に同時に反応したが、正反対の答えを言って、ヴァイスの方を見た。


「それより、いい案でも思いついたか?」


 ヴァイスはレイジの言ったそれよりという単語に片眉を上げた。そこで、ヴァイスは一回、呼吸を整えてから話を始めた。


「はい。私からの提案です。わざわざ兵力を均等に5000に配布するのではなく、7500、5000、2500とこのように分けて、ルード、オルド、ケルドへと進軍します。7500が先に進軍して、何日遅れかで5000、2500と進軍します。7500の人がルードをすぐに落とした後に、オルド、そしてケルドへと進軍するのです」


 ヴァイスは駒を動かしながら攻め方を説明した。説明を聞いたレイジとレオンは感心した目でヴァイスの方を見ていた。


「ほう。少し問題はあるが悪くはないな」

「確かに理論上は問題ないね」


 二人の賞賛を受けて、ヴァイスは自信満々になり大きな顔をしたがすぐに萎縮した。


「これは2500と7500を誰が担当するかが問題だね。7500は多いけど、なるべく損害を出さずに敵を倒して、直ぐに隣に行かないといけない。2500の所は、他に援軍を出されてしまったら、意味がなくなっちゃうから敵をここに固定するぐらいの事をしないといけない」

「まぁ、5000の所が役割は簡単だな。7500の所が来るまで負けなきゃいいからな」


 ヴァイスは作戦案だけで満足していた自分を恥じた。肝心な中身を何一つ考えていない事に気がついたのだ。

 そんなヴァイスを他所に二人は話を進めた。


「俺が5000を担当しても……」


 レイジは一番楽な五千の所を選ぼうとしたが、レオンの顔はにこやかな笑顔であったが目が笑っていなかった。


 レイジは直ぐに危機感を感じて、次の言葉をすぐに切り替えた。


「間違えた間違えた。5000はヴァイスでいいよな? レオン」

「奇遇だね。僕もそう考えてた所だよ」


 レイジの歯切れの悪い言葉に、笑顔でレオンも同意した。レイジはその後、食いつくように自分の役割の願望を出した。


「なら、7500は俺でいいよな」

「しょうがないな。わかったよ」


 レオンはレイジの必死な顔をみて、軽く笑った後に、了承をした。


「次はそれぞれに誰を補佐に入れるかだね」

「ウォードはヴァイスに確定だな」


 レオンはレイジからすぐにウォードをヴァイスのところに入れると言う提案を聞いて、少し驚いた顔をしてレイジを見た。


「どうしたの? 君が真っ先に欲しいって言うと思ってたよ」

「ヴァイスに心配があるからな。そもそも、あんな堅苦しいジジイと一緒にやってられるか」


 レイジは前半の部分よりも後半の部分を強く言った。レオンは嫌そうな顔をしているレイジを見て微笑んだ。


「確かにね。ヴァイス君もそれでいいかな?」

「はい。大丈夫です」


 ヴァイスは聞かれたが、形式だけ自分に聞いてきている物で既に確定事項であるのだろうと感じた。


「まぁ、そうだな。僕は、この前起用したグラズガでも貰おうかな。この前の戦いで彼の率いた奇襲部隊はしっかりと統率されてたらしいからね。ゆくゆくは僕の副官として使っていきたいところだよ」

「そうか。まぁ、俺は人数が多いからグランツとガイルを貰うぞ」


 レイジとレオンはその後も、何日に出発するなど細かいことを詰めていった。そんな中、ヴァイスは何も発言することができず、次第に置いて行かれてしまった。



「終わったー。まさか、今日中で終わるとはな。それじゃあ、一服するかね」


 侵攻についての作戦の全容が決まったと同時に、レイジは葉巻を吸い始めた。始めた時、太陽は真上にあったが、今では既に傾いていた。


「もう夜だな今日は解散するか。お疲れ様ー」

「お疲れ様。僕も寝るとするよ。ヴァイス君もお疲れ様」


 レイジが葉巻を吸いながら会議室を出ていくと、レオンもそれに続けて出ていった。


「お疲れ様です」


 ヴァイスは会議が終わると浮かない顔をしていた。

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