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第1話 カイン・ヘルト

ただいま小説を一話から改稿中です。話数にタイトルが書かれているものが改稿済みです。改稿前のものは読みにくくなっています。

 ヘルト歴364年の春、弱小国家ヘルト、第四代君主クラウス・ヘルトが治めていた。ヘルトは弱小国家が割拠するルーデンス地方の中央に位置する国家だった。


 ルーデンス地方は西にホード覇国、東にリオネ王国、北には世界最大のファランク帝国と強国に挟まれていた。南は海が広がりその先にヘクスネーソス連邦という諸島国家がある。


 ルーデンス地方の弱小君主は自国に近い強国へと媚を売り、生存を図っていた。


 しかし、その強大な三国とは隣接していないため、ヘルトは中立を保っていた。今でもヘルトの本拠地であるブレイブ城で重臣を集め、どの国に従うかを議論していた。


「クラウス様。これはやはり最強の帝国に付くべきかと存じ上げます」


「いや、愚神を信仰する国へと臣従するなどあってはならぬ。ここは宗派は違うが王国に従うべきだ」


「冷静に考えろ。ここは同盟国の多い覇国に着くべきだ」


「「「クラウス様! 何処にするのですか?」」」


 重臣達が口を揃えて、臣従することを前提として議論している中、一人の青年がその場では異質な答えを述べた。


「父上、俺はヘクスネーソス連邦と同盟を組み、周りの国を潰して帝国や王国、覇国に負けない力をつける。この方法のみがヘルトを存続させる方法だ。我ら勇者の一族が揃って従属するなど初代勇者ハヤト様への冒頭だ」


「若様、まだそのような戯言を抜かすのですか? あなたはこの国を終わらせる気ですか? そもそも彼の国が我が国と同盟なんぞ組んで何の意味があるのかわかりませんな」


 少し小太りの男が青年を嘲笑うかのように言った。この男はこの国にいる最大の貴族でブルート・クラウンでこの国唯一の公爵家である。


 ブルートはヘルトの北部に領地を持ち、国で最大の領主貴族であり、中央での発言力は君主と変わらないほどだ。


「貴様には言っていないクラウン公爵。父上、この私に5000の兵をください。まずは隣のルベンを侵略し我らがヘルトの領地にして見せましょう」


 この青年はクラウスの一人息子、カイン・ヘルトである。


 カインは若くから文武ともに励んできた。ヘクスネーソス連邦への留学してからは、このルーデンス地方を統一し力をつけることばかりを考えるようになった。


「カインよ。それだと我らは王国を敵に回すことになる。無謀ではないか?」


クラウスは心配そうな顔でカインへと質問を投げかけた。


「それならば問題ありません。王国とこのルーデンス地方は山脈で隔たれております。こちらに来る方法は1つ、海を渡るしかない。そこへ最強の海軍と名高いヘクスネーソス連邦に王国の救援部隊を足止めしてもらい、その間に王国派の3国、ルベン、シメオン、レビを滅ぼせば、ルーデンスの三分の一を手に入れることができます。それ以降は一つずつ諸国を制していくのです」


 クラウスはしばらく目を閉じて、熟考した後に、目を見開いた。


「お前の言い分はよくわかった。だが、不安要素が多すぎる王国派の三国を独力で倒せるとは思えん。他の国が介入してからやもしれん。勝てるかわからん戦いに民の命をかけるわけにはいかん」


「流石はクラウス様。民の事をよく考えておられます」


 残念そうにクラウスが言うと、ブルートはクラウスにバレないようにカインを嘲笑った。


 クラウスは善政の君主として統治はうまくいっているが外交と戦争に関してはからっきしである。そのため、他国の問題は基本的に1歩引いて解決していた。


「そうですか。それでは失礼します」


 カインはブルートを睨みつけた後、すぐに部屋を出て行こうとするとブルートがカインへと近寄り耳打ちをした。


「最終決定は来週までですぞ()()

「ああ、わかっている」


 ブルートはできないと思ってるからこそ余裕の表情でカインを煽りに来た。


「何をやっても無駄ですがね。それでは」


 カインはブルートの顔面を殴ろうとする自分を抑えて、急いで会議室を出で行った。カインが会議室を出ると壁に寄り掛かっている青髪の青年が話しかけてきた。


「で、会議はどうなったんだいカイン?」


 青髪の青年は答えを知っていながらも笑いながら聞いてきた。


「はあー。わかってるだろ?」

「ごめんごめん」


 青髪の青年はカインの肩を軽く叩いて、カインに笑いかけた。


 この青年はレオン・ブレイドといい、ブレイド侯爵家の嫡男でカインの幼馴染である。彼は幼少期からよく一緒に遊んでおり、カインが心の許せる数少ない人物であった。


 後に、彼ら二人は模範とすべき主従関係であると、後世へと語り継がれる。


「まずはこの国の害虫駆除から始めねえとな」


「ひどいいいようだね。あれでも一応国の重鎮だよ」


「重鎮でも害虫には変わりない」


「確かにね」


「まぁ、俺たちだけ話してても国は動かせない。取り敢えずあいつらと今後の方針でも話すか」


 あいつらとは、毎月行われる会議の日に、領地のない貴族、家族の次男坊または軍人貴族たちのことである。


 彼らがカインを支持する理由は、親の跡を告げない者などで領地欲しさ、勲功狙いが理由である。なので領地を拡大し、活躍の場を作るカインを支持している。


「そうだね。彼らも結果を知りたいだろうし」


 カインとレオンは今後の方針を軽くを話しながら、自分の支持者達がいる会議室へゆっくりと向かっていった。

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