夜明けと日の出
「……はっ!」
気がつくと見知らぬ家…?のベッドで目が覚めた
身体をゆっくり起こすと頭に痛みが走る。そこで痛みの原因を思い出すと自分が気絶していたことも思い出す
「記憶喪失にならなくてよかった…」
そんな呑気なことを言っている場合じゃない…!ここはどこだ…そしてセイカはどこに…
不安な気持ちと最悪の想像が頭をよぎる
すぐさまベッドから飛び出し家の中を探す
見知らぬ家だが木造の丸太を組み合わせて作ったような家だということがわかった。セイカを探しながら家の観察もしたが階段はないので二階はない様子…開かない扉が1つあったが取っ手を握った時に埃のような物が手に付着した。おそらく暫く開けられてないのだろう
「…!声が聞こえる…」
まだ探していない方から声が聞こえた気がした…セイカ…セイカ…おれはお前がいなくなったら…!
セイカの無事を確かめたく何も考えずに扉を開ける
「あ…セイカ…と…だ、れ…?」
そこは所謂脱衣所…お風呂か出たセイカと…綺麗な青髪の少女と二人…もちろんちょうどお風呂から上がった様子
どうやらそこでまたおれは気を失ったらしい
気付けば日も暮れていた。テーブルにおれの隣にセリカ
ローブをかぶっていた老婆と隣に青髪少女
それぞれ向かい合って座っていた
「ルナくん…えっち…もうやだ…」
セイカが悲しんでいる、おれも悲しい
「まずは非礼を詫びようかね…」
老婆が現状を説明する為に最初に謝罪をした。それは裏路地で実力行使に出た事についてだった
「お婆さん…?はなんであんなことをしたんですか?」
謝罪を受け取り、おれは本題に入る
「まずはね、マキネあんた戦ってどうだった?」
どうやら老婆と一緒に住んでいる青髪の少女はマキネというらしい。というかまず自己紹介からすべきでは…
「おかしかった…魔法が…消えた」
マキネと呼ばれる少女は魔法を使って戦っていたらしい
初めて見たが恐らく足元が光ってたのが魔法の準備だったらしい
「あの…おばあちゃん。なんで魔法を使ってルナくんに攻撃させたの?」
セイカが口を開く
あの老婆は自己紹介やおれの話に対してもマイペースに喋る様子、それにセイカが痺れを切らしたのだろう
「…ふーむ。じゃあんた達二人は気づいてないのかい?」
老婆は言う。気付く…?何に…?
その後もふむふむ、ということは…と一人で喋る老婆
少し落ち着くのを待つと老婆が再び口を開く
「ルナ…と言ったかい、お前さんには2つの力が宿っている」
老婆の言葉の意味をおれとセイカは理解できなかった
セイカにならともかく毎年大会で戦果を残さず、ましてや森にいる大型モンスターにも勝てない自分が…?
と疑問が次々に出てしまう
「まず1つは能力無効化だね…」
老婆が続けて喋る
昼間にマキネを戦わせた時に確信したらしい。おれからはわからなかったがマキネの魔法が途中で消えたらしい。
最初に突進してきた時はそのままおれを掴んで老婆の横へ魔法で移動しようとしていたらしいが急に魔法が消えておれの目の前で止まったとのこと
「あんなのは初めてだった…」
マキネは納得のいかない顔をしておれを睨んでいた
多分裸を見た事も兼ねての顔だと思う…。あとでもう一回謝ろう
「ルナ、あんたの近くにいると魔法だけにあらず不思議な能力や身体能力も低下するようだね」
「え、でもおれ大会で…」
大会で一回戦敗退を10連続…と言おうとしたがセイカが喋る
「もしかして大会の時も対戦相手毎回トドメの時不調だったのも…?」
セイカにはそういった相手の動きが見えていたらしい
おれはいっぱいいっぱいだった…
色々な意見が飛び交う…その度におれの能力無効化能力が明らかになっていく
「そしてもう一つ…ルナ、お前さんにはもう一つの能力が」
ドゴォンッ!と外で大きな物音がする…爆発音?
話は中断され、みんな言葉を交わすことなく外の様子を見に行った