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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

バブルガムファンタジー 1

作者: 大野竹輪

「バブルガム ファンタジー 1」


テーマソング『消えた恋』     Songs by スランプ


オープニング画面では ハートマーク、◎、風船の3種類のスライドショーが代わる代わるに登場する。

そしてバックで曲が流れている。



〇もくじ


第 1話 出会い

第 2話 1つ目の選択

第 3話 サンディモーニング

第 4話 

第 5話 共同生活

第 6話 壊れたコーヒーカップ

第 7話 突然の再会

第 8話 幸せの60日

第 9話 思い出のベンチ

第10話 幸せの6ヶ月

第11話 最後の夜

第12話 追加



原作: 大野竹輪


第1話 出会い


オレは頼まれたレポートを届けるためにめったに行くことのない田舎に通じる国道を車で走っていた。

天気は最初はそれほどでもなかったのだが、いつの間にか雲行きが怪しくなり、にわか雨が降り出した。

なにぶん田舎道だから前がよくわからない。


ちょっと休めるかと考えて、どこかその辺の店に入ろうと思った。

さすがに田舎道・・・店が1軒もない。



まあ探し出すと見つからないのはよくある話で・・・



車はもう少し走った。雨はまだ降っている。


ん・・・?


どうやら小さな明かりが見えた。・・・よし。


ひとまず休憩策。


その店はけっこう古めかしく、しかし店の名前は『イングランド ウエールズ』とまあ、ちょい洒落た気もするが・・・



扉を開けた。


ん・・・?


白いあご髭のじいさん。年恰好からして70歳は超えているだろうか・・・


「いやっしゃい。」

 

言葉は年齢を象徴していた。

おそらくはこの店のマスターか?


テーブルは5つしかない。オレは奥のテーブルに座った。

そして入り口扉に一番近いテーブルには、高齢のおばさんが食事をしていた。


「マスタ、紅茶をもう一杯。」


そのじいさんは黙々と手を動かしていた。

少ししておばさんのところに行き、


「はい、紅茶。まあこの分はサービスしとくよ。」


「ありがとう。やっぱり付き合いが長いと得だねえ。」


そのじいさんはやや笑いながら、


「学校もずっと一緒だったしなあ。」


どうやら同級生か・・・?



しばらく2人の会話を聞いていた。

やっと気づいたのかおばさんが、


「ほらマスタ、お客さんだよ。」


やっとかい・・・


オレは軽い食事、サンドイッチとコーヒーのセットを頼んだ。


窓の外は一向に止まない雨だった。



結局オレはこの店で年寄りの昔話を延々と聞きながら、まあコンビニで買ったほうが美味いとも思えるサンドイッチをゆっくり食べていた。



雨が止んだのは4時間位後だった。

おかげで目的のオフィスに着いた時はすでに周りが暗くなっていた。



ただ届けるだけが商談も長くなってしまって、こうなると当然帰り道は同じだから、早く帰ろうと思った。


頑張っても帰宅が夜中になりそうだから、またどっかで食べることになる。


・・・しかしあの店はやめておこう。



そこでオレは途中で見つけたローカル駅に寄る事にした。


きっと飲み物・・・「自販機」くらいはあるだろう・・・



確かに自販機は1つあった。

しかしそれだけ・・・



そうだった。

さっき仕事先のオフィスで、ちょっとした茶菓子をもらったんだ。



オレは駅の隅にある自販機のそばで、まあ普通では考えられない夕食にありついたのだった。


ん・・・?


そうもしてると電車が駅に止まった。

時間を見た。

おそらく最終だな。

まさか改札に駅員すらいないから、誰も降りやしないだろう・・・



考えていることが一瞬にして崩れてしまった。

何か足音が聞こえる・・・



改札口に現れたのは身なりからしてけっこう若い女性だった。


ん・・・?


1人。




第2話 1つ目の選択


しばらくオレはその女性に釘付けになっていた。

もしかしたら誰かが迎えに来るに違いない。


そして自販機で買ったコーラを飲んでいた。


その女性は同じ自販機のところに向かった。


あれれ・・・何か飲むのか?



そして彼女はしばらく自販機を眺めていた。


ううむ・・・理解不能の情景・・・



少し時間が経った。


考えてみれば今この駅前の自販機の場所にはその女性1人。


何か話しかけようか・・・いやいや変に思われてはまずいでしょ。



も少し様子を見ていた。


彼女は小さなバッグから1本のペットボトルを出して、それを飲み始めた。


あらら・・・自販機に立っている意味が・・・



やっぱり話しかけようかな。

オレは少し勇気が出てきたように思えた。



いやいや待て待て・・・もう少し様子を見よう。

急に彼氏が車で迎えに来るパターン・・・


オレは車のサイドボックスにある手帳を取り出して、適当にめくってみた。


カラン・・・


彼女は飲んでいたペットボトルを自販機の横の缶入れに入れたのだ。

さすがに時間が時間、そんな音まで大きく聞こえた。


ん・・・?


彼女は私の車を見つけた。

が、すぐに向きを変えて自販機近くにあった小さなベンチに座った。



何か急に精神的な葛藤が始まった。


ん・・・ ん・・・ ん・・・



しばらく自問自答の世界が続く・・・


あっ、遠くから車のライトが・・・こっちに向かって来る。

そうかやっぱり、来たか・・・


残念・・・


まあしょうがない。

これが普通だから。


オレはいったい何を期待しているんだ?



その車はだんだんとこちらに近づいて来た。

オレは少しうつむいて、


ん・・・ ん・・・ ん・・・


そして再び前を見た。


あれ?


車は?


彼女は?


わ!彼女はいる!


車が消えた。

な、何があったんだ・・・


もう少し様子を見てみよう・・・


あ、彼女がこちらに向かってくる。


な、何だ何なんだ・・・


「あ、あのう・・・」


「は、はい。」


なんか落ち着かないオレだった。


「この近くにお店はありませんか?」


「うーん、小さな店ならありましたが・・・」


「よかったら、そこへ案内してもらえないでしょうか?あつかましいですがすいません。よろしくお願いします。」


頼まれりゃしょうがないだろう・・・


こうして彼女を乗せたオレの車は、さっきの店とは別の店に入った。


テーブルに向かい合わせ・・・何年ぶりだろう・・・


しばらく注文したドリンクを飲む2人・・・沈黙は続く・・・


「あ、あの・・・」


「は、はい・・・」


彼女から切り出した。

オレはホッとした。


「実は今日迎えがこれなくなって、今日行くところがないんです。」


「そ、そうですか。」


「どこかホテルでも泊まれたら。」


ぎょ・・・まさかね。


「この辺だと、なかなかちゃんとしたホテルは・・・」


「ええ、わかっています。とにかく休めたら・・・」


「わ、わかりました。」


このさいだから、場所を選んでいる場合じゃないことに気づいたオレは、やはりお決まりのホテル・・・


ちょっと入りにくかった。

オレは変な感情を持ってしまった。




第3話 サンディモーニング


どうしたんだろうか・・・オレはいつものオレではない・・・


まあまさか紳士にはなれないはず・・・


彼女はさっさと風呂に入ってからベッドに寝ている。


オレは当然眠れない。

だってそうじゃないか・・・


誰だってこんなときは・・・どうするのか・・・


しばらく自分との葛藤が続いた。

果たして答えは出るのか?


沈黙はなく、彼女の吐息が聞こえる寝室だった。


やはり少しは離れて寝るか。


オレはドライヤーの音を小さくしながら髪を乾かした。


いつもより時間のかかる消灯だった。


しかしこれからが大変だ。


・・・・・・・・


少し時間が経ったのか、いやそんな気がしない。

急に彼女が寝返ってきて、


「横にいいですか?」


オレはノーとは言えないじゃないか。


「ええ。」


ここからはお決まりのコース。

あえて書くこともない。



翌朝はけっこう早く目が覚めた。

そしてオレが起きたときにはすでに彼女は身支度をしていた。


なんと早業!


ん・・・


何か気持ちがしっくりこない。


「このホテルはモーニングサービスがあるみたいですね。」


「え、そうですか。」


「ここのメニューに書いてありました。」


こうして2人でモーニングを取った。


彼女はまったく気にならないのか、3つの窓を開けた。

外からは爽やかな風が入りここちよく感じられた。


彼女の髪が風に揺れている。

こうしてみると、彼女も綺麗だな。


男は意外と単純で、どんなに普通に思う女性でも、何か周囲の環境が変わったら、やたら良さそうなところを探す。


そして、それに感動して、そして満足したりする。


なんだろう、この時間。

やたら長く感じるのは・・・


ホテルを出たのは昼前だった。


車でやっと語り始める彼女・・・


「実は私、行くところがないんです。」


何だ、どういうことだ??・・・


「理由は聞かないで下さい。」


「・・・」


オレは言葉に困ってしまった。

何を話せばいいのだ。


車は自然と海岸通に向かっていた。



弟4話





弟5話 共同生活


こうして2人の共同生活が始まったのだ。

気がつくとまさかオレの部屋では料理を作れるほどの備品が揃ってはいなかった。

オレは料理を作るのは苦手で、もっぱら外食。


だから部屋にはカップメンの1ダースケース、冷凍食品、ペットボトルくらい。鍋や調味料すらなかったのだ。


彼女は簡単な掃除と洗濯はしてくれた。


2週目に入り、彼女は仕事を探し始めた。


「私花屋さんで働くことにしたの。」


それと彼女はフリーマーケットでタダでもらったというコーヒーカップを2つ持っていた。


やがて1ヶ月が過ぎて、彼女は生活費の一部を負担するようになった。

オレはいいよって言ったが、彼女は断った。

それなら出て行くってさ。


で、食事は別。

彼女はいつも外食で家では食べない。


が・・・わずか2ヶ月後にメモだけ残してオレの家から出て行った。


「ありがとう」の文字が寂しく思えた。




第6話 壊れたコーヒーカップ


3ヵ月後、オレは気になって彼女が働いていた花屋に行ってみた。

もちろんもう辞めていた。


手がかりなく、オレはこのときからまた独りぼっちになったのだった。


男とは変わったやつだ。

これまで彼女と訪れた場所に何故か行ってみたくなる。



初めて出会った駅前・・・

そして初めて行った店・・・

そして・・・もちろん1人では入れやしないが・・・


こうして妄想と残された思い出でオレは毎日の生活が繰り返される。



6ヶ月が過ぎて、オレはとうとう病気になった。

いやきっと病気だろう・・・


2つのコーヒーカップを大切に棚に置いていたのだが、それを窓からほおり投げてしまった。


ガッチャーン!


かなり音は大きかった。




第7話 突然の再会


オレは毎日暇になると部屋を少しずつ片付けるようにした。

こうでもしないと頭がおかしくなってしまいそうだった。


けっこういらない物があるなあ・・・


毎日ゴミの山・・・


なんだよ、これは名刺・・・


あれれ?


オレが知らないような・・・「スナック ABBA」


まあいい捨てろ!


またしてもゴミ箱に投入。


やれやれ掃除を始めるとキリがない。

この辺でやめて、どっか飯に・・・


たまには変わった場所にでも行くか・・・


オレはいつもとは違うコースでどこか目新しそうな店を探した。


ようしこの辺にしよう。

選んだ場所は商店街の裏通りだった。


少し歩いて・・・オレは古ぼけたレンガ造りの店に入った。


おお、中もなかなかいいじゃないか。


たまには美味いもんでも食べよう。


ステーキのセットを頼んでみた。


やがて満たされたお腹は、少し散歩を要求して、オレは商店街の方に少し歩くことにした。


気が付けばもう夜じゃないか・・・ネオン街が奇麗に輝いていた。


おや・・・「ABBA」・・・どこかで聞いたような・・・


おいおい、名刺じゃん!


気になって・・・ん?・・・店の前を何度か行ったり来たり・・・


とにかく入ってみた。



「いらっしゃいませ」


まさしくその声は彼女だった。


彼女はオレを見るなりびっくりした様子だったが、オレはカウンターに座って、


「おしぼりをどうぞ」


単純にビールを頼んだ。


まあ2、3杯と飲んでいくと、やっぱり酔うんだな・・・


彼女がそばに来てくれた。


「久しぶり。」


「ああ。」


「よくここがわかったのね。」


「え、いや偶然だよ。」


「そうかな?」



彼女はしばらく考え込んでいたが、


「あ、私。名刺置いてきたんだ。」


「そうだったの。」


「うん。場所がわかるようにね。」


「なんだよ、それってここに来るのを待っていたのかよ。」


「そうみたい。」



彼女の笑顔は変わっていなかったが、やや大人っぽかった。


化粧のせいもあるのかな・・・



結局オレは閉店までここにいたのだ。


「どこか軽い食事でも行きますか?」


やさしい言葉にNOはないだろう。


だが、酒を飲んでいたので車が・・・


「近くにいい店知ってます。」


「そうか、じゃあそこへ」・・・


2人でデート・・・信じられなかった。



不思議な気分だった。

会ったのは半年前なのに初めてのデートに思えた。


あまり食事がすすまなかった。会えたことが嬉しかったんだろうな。



この日はそのまま別れた。

また会えるだろう、あの店で。




第8話 幸せの60日


1ヵ月後再びスナックへ行ってみた。


「こんばんわ、お久しぶりね。」


先月会ったときより奇麗になっていた。

というか、オレにはそう見えた。


この日も閉店まで飲んでしまった。


「どこか行きますか?」


オレは誘ってみた。

ドキドキ・・・


「ええ、いいですよ。」


ラッキー!!


まるで子供のおねだりみたいだった。


店の近くに小さな公園があって、そこのベンチに2人で座って・・・


「ごめんなさいね。お世話になったのにお礼すら言わなかったわ。」


「いいよ、そんなことは。それより元気でいてくれてホッとしたよ。」


「えー、ほんとに??」


彼女はかなり疑問に思ったようだ。


「彼女いないの?」


「う、うん・・・」


「そう・・・」


なんだか返事に困ってしまった。


「で、これまでお付き合いした女性は?」


「うーん、2人。」


「どうして別れたの?」


「オレが頼りなかったんだろうなあ・・・」


「真面目そうに見えるけど。」


「いや、やっぱりお金でしょう。贅沢をさせてやれなかったから・・・」


「うーん・・・、でも女性もいろいろいるからね。お金じゃないと思う。」


「そういう女性にめぐり合えていないのかな?」


「そうかもね。」


彼女は優しく微笑んでいた。



少し経って、犬を連れた年配の女性が公園の真ん中を横切っていった。


その間は2人とも一言もしゃべらなかった。


沈黙の5分間。


遠くでサイレンの音。救急車だな。


オレは横にいる彼女をゆっくりと観察した。


彼女はそれが気になったのか、


「あっ、どこかに行きましょうか?」


「お店?開いてるのかな?」


「いえ別に、休めるところでもいいですよ。」



とりあえず2人は歩き出す。

彼女は繁華街から外れた路地に行く。


ただオレは付いていくだけ・・・


そして、急にネオンのホテルの前に止まった。


「え!」


彼女は気にしないで入っていった。


まさかの今日・・・



良い思いをした翌日。


モーニングを一緒にしてから別れた。



この日からオレの脳みそは彼女だけで埋め尽くされていた。

仕事をしてもずっと彼女のことばかり・・・


「あーだめだ。またあの店に行きたくなる。」


しかし仕事はそうはいかなかった。


「こういう時に限ってなんで忙しいんだろうか。」



ブツブツ言う日々。



そしてやっと休みがとれたのは、やはり1ヵ月後。オレは急いでスナックへ。


「あら、残念ね。あの娘おととい辞めたわよ。」



オレはバンジーの状態。

その場に呆然とたち、何もできないままに時間が過ぎていく・・・


頭がおかしくなりそう・・・


1人あの公園のベンチに座っていた。



しばらくして、あの年配の女性がまた犬を連れて公園を横切っていった。


気持ちの整理が付かないのか、その公園には2、3日ごとに行って、ベンチに座るようになってしまった。



そしてまた、あの年配の女性がまた犬を連れて公園を横切る。


この2日後に公園に座っていたときかな。

あの年配の女性が犬と一緒にオレの傍に来た。



「おや、どうしたんですかこんな時間に?」


「え、いや考え事を・・・」


適当にごまかすオレ・・・


「この間、一緒におられた女性の人がそこに座ってみえましたよ。」


「え!1人でですか?」


「ええ、それで心配になってお話したんですよ。」


「そ、それで・・・」


オレは急にその年配の女性に釘付けになった。その年配の女性は優しかった。


「もし見えたら連絡しましょうか?」


「ありがとうございます。」


オレはその女性に連絡先の電話番号のメモを渡した。




第9話 思い出のベンチ


その日以降は月に2、3回公園に寄るのだが・・・



やがて2ヶ月が過ぎてオレはまったく別の繁華街で彼女が男と一緒に歩いているのを見つけてしまった。


あああ・・・


これでオレの恋もおしまいか・・・


しかし忘れようとしてもなかなかそれが出来ない、これが男の性。



結局あの公園のベンチには時々座ってしまうオレだった。


それが何度か繰り返された。


きっとこうして何度かするうちに忘れることが出来るかもしれない。


そんな愚かな考えを持って・・・


彼女とデートして1年が過ぎた。


まるで変化のないベンチ・・・


しかしオレだけに感じる彼女のぬくもり・・・


あーやっぱりオレは狂ってしまったのか。


ここからが大変だった。

彼女が頭から消えない。


気が付いたらあのスナック「ABBA」の前に立っている。そして花屋。

当然会えるわけがない。

とにかく彼女がいた場所ばかりを歩き回る日々。



さらに1ヶ月が過ぎた。


とうとうあきらめムードになっていた。全てが面白くない。


何もかもがどうでもいい。そんな毎日が続く。



さらに1ヶ月が過ぎた。


ある日、オレのアパートに1通の手紙が・・・


「まさか・・・」


彼女だ!!


「おおおおおお!!!」


テンションが上がるオレ!


さっそく内容をみる。


「・・・で待っています。」


急に元気が出てきた。




第10話 幸せの6ヶ月


こうしてオレは彼女と再会。

そして毎月1回デートする約束をしたのだ。


待ち合わせ場所はいつも同じ。

よく行く公園の近くにある喫茶「309」


店のマスターが顔を覚えてしまった。

笑いがとまらないオレ。


デートの日には待ち合わせ時間が11時でも、店のオープンから店で待っている。

こんなオレの心境が果たしてどれだけの人に理解できるのだろうか?


ここの喫茶では、わずかにコーヒーを飲むだけ・・・


そのあとすぐに店を出る。



1回目のコースは・・・

東京まで出ることになった。

車だと移動が大変。電車で・・・


とにかく彼女の行きたいまま、オレはただ付いていく。


井の頭公園・・・


けっこう環境のいい場所を選ぶんだな・・・



2回目のコースは・・・

東京ディズニーシー・・・


わからん・・・まあ女というのはそういう生き物なんだなぁ・・・


1日中きゃっきゃして、ずうっと笑っていた。


とても可愛い・・・

写メを何枚も撮る。


オレも子供じみてきた。


この日ばかりは2人とも子供だった・・・(笑)



3回目のコースは・・・

日光・・・


オレはそれほど興味はない場所だ。



4回目のコースは・・・

横浜・・・


馬車道、外人墓地・・・

そういえば昔、誰かとここに来た記憶が・・・



5回目のコースは・・・



6回目のコースは・・・


突然だが待ち合わせた場所に来なくなった。

オレはずっとそこにいた。


どれくらい時間が経ったのだろうか?

夕方になって、辺りが暗くなってきた。


オレはついに断念して、帰宅することにした。


気になったのか翌月の同じ日にもう一度待ち合わせ場所に行ってみた。


残念・・・


こうしてオレはまた落ち込む日々が始まったのだ。



やがて2ヶ月が過ぎて、ポストに手紙が入っていた。


彼女!!

おおお!!


嬉しかった。




第11話 最後の夜


単純なオレは、彼女と再会できたことで満足していた。

そのせいか過去の事など気にしなかった。


どうして突然会えなくなったのかなど・・・


久しぶりのデートはやはり喫茶「309」


いろいろ話した。

彼女は来月から1年間海外に行くという。


おお、嬉しいのか悲しいのか・・・

まあ1年のことだし・・・

やはり単純なオレ。



翌月。

今日は最後の夜。


といっても彼女が日本を離れる最後の夜だ。


ディナーはいつもより豪華にした。


この地区にはさほどお洒落なレストランはない。

だから都心に出てみた。


高層ビルの最上階にあるレストラン。

ここならきっと彼女も喜ぶだろう。


何故かこの夜は時間が経つのが早い気がした。



そして翌日。

しばらく会えないんだ・・・




1年後、彼女から予想通り手紙が届いた。

手紙の内容がちょっと気になった。


「草津温泉の〇〇旅館にいるので来てほしい」


まあ場所はどうでも会えればいい・・・


オレは車をぶっ飛ばした。


あちこち検索してようやく見つけた〇〇旅館。


女中さんに案内してもらった部屋はかなり小奇麗で落ち着いていた。


オレはしばらく長いテーブルの前で座椅子に座って寛いでいた。


しかし、彼女がなかなか戻らない。


女中さんは露天風呂じゃないかと話してくれた。


しばらくは我慢していたが、やはり気になったオレは露天風呂に行く。

もっともこの旅館は混浴ではないから・・・


露天風呂の場所までには少し距離があって、途中足湯のエリアが左右に用意されていた。


オレはその足湯にまたがる大きな木製の橋をゆっくりと歩いていた。


何気に足湯を見ると誰もいない。

まあ時間が時間だからな・・・


し、しかし、その橋から降りようとした辺りで1人の女性が胸まで漬かっていた。

え、・・・


オレは不思議に思って近づいた。

おおおおお!

彼女だ!


しかも、し、し、死んでる!


慌てたオレは形振り構わずにその旅館から離れたくて、急いで帰ることにした。


自分が犯人にされたくない!

その思いがそうさせたに違いない・・・


だが大変なのはこの後だった。


帰宅したオレは毎日夢の中で彼女が出てくる・・・


死んだんだという実感がわいてこないのだ。


葛藤の日々・・・



とうとうオレは仕事を辞めてしまった。


部屋にこもりきりの日々。




ある日久しぶりに公園に1人で出かけた。


何気ない風景・・・

鳥のさえずり、野良猫が横切る。


近くで車のクラクションが聞こえた。


ぼうっとしていた・・・


やがて辺りが少し薄暗くなった。


そろそろ帰ろう・・・


オレの足取りは重かった。


帰宅。

ん?


何か様子がおかしい・・・

バスルームを開ける。

わおおおおお!


か、彼女が死んでる!


こ、これは一体どういうことなんだ!


わ、訳がわからなくなって部屋を飛び出した。



またしても公園・・・


オレはどこへ帰る?


辺りはもう真っ暗になっていた。






公園の隅に車が1台止まっていた。

遠くから彼の様子を見る彼女。


「これで復讐は終わったわ」


彼女は耳に付けていた貝殻のピアスの右側を近くに捨てた。



―  完  ―



第12話 追加



オレはうつ病になり中野にある〇〇病院に入院することになった。

オレは彼女の過去を知らないまま死んで行くんだ。


1度だけ病院に見舞いに来てくれた女がいた。

その女性はベッドの横でいろいろ話してくれたがオレは何の事かまったくわからなかった。



「私は貴方の奥様と一緒にある会社で働いておりました。

その会社にはOLの社員が全部で5人いて、週末は必ず5人でお茶をするのが習慣になっていました。

最初は皆それぞれの期待もあってか話も合い5人が仲良しに感じられました。


当然5人でいろいろな場所に遊びにも行きました。


ただ6ヶ月も過ぎるとある女性が他の女性の態度に対して愚痴をこぼすようになり、やがては5人が2:3と意見が分かれていくことになったのです。


さらに最初3人組でお茶して、あとの2人の愚痴を言い合っていたのですが、それがどんどんエスカレートしていき、いつの間にかその2人に対して嫌がらせを行うようになりました。


その結果、1人の女性はノイローゼになってしまい退職していきました。

残ったもう1人の女性も日々の嫌がらせに耐え切れず、やがて退職したのですが、自宅で自殺したのです。


私はその時の退職した女性です。

そして嫌がらせをしていた3人組のリーダーが貴方の奥様だったのです。」


こうして女性は病院を後にした。


そして帰り道に通りかかった小さな公園で、一度立ち寄って周りを見回し、耳に付けていたピアスの左側を近くに捨てた。


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最後に。


この話はところどころ省略がありますが、その部分は読者が想像していただく考えであります。


また第4話が省かれているのも同様、読者の皆さんで作っていただければ、この小説の本来の目的に到達できる所存です。


作品が中途半端になっているように思えますが、あえてファンタジーになってくれればと願い読者の皆様に期待するものであります。



この小説は「キラキラヒカル」全集の1冊です。


(再掲)

この話はところどころ省略がありますが、その部分は読者が想像していただく考えであります。


また第4話が省かれているのも同様、読者の皆さんで作っていただければ、この小説の本来の目的に到達できる所存です。


作品が中途半端になっているように思えますが、あえてファンタジーになってくれればと願い読者の皆様に期待するものであります。



<公開履歴>


2015. 8.16  yahoo掲示板にて公開

2018. 5.11  「小説家になろう」にて公開


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