湖畔の死闘
前回のあらすじ
美鈴の目をかいくぐり、門を通過する事に成功した魔理沙だが門から玄関までの道中、小悪魔とパチュリーに見つかってしまった。対峙した2組はモタードでの勝負を布告する。一方時を同じくして湖畔では美鈴と霊夢が同様に競っていた…
「パワー差が無い…いや、むしろ私が劣ってる?」
先行を取りミラー越しに美鈴を確認する霊夢。日差しを鈍く写す美鈴のZZR1100がじわじわと直線で迫る
「999Rは確か純正で150馬力程…馬力なら差はない上に重量では劣ってますが、高回転のレスポンスは4発に勝てるモノはありませんよ!」
後ろに張り付いてた美鈴が左に逸れ、霊夢を抜こうと状態を更に低く構えた。霊夢の後ろから離れた事で湖からの新鮮な空気がヘルメットを通り、排ガスの臭気を取り去った。爽やかな気持ちよさを感じるが、脱力している暇はない。姿勢を崩さず、そのまま霊夢と並んだ。
刹那、2人の視界が微かに薄暗くなった。林の中に道路が入っていったのだ。無論道路もピッタリ湖畔を沿うように作れる訳はない
「…ここのコーナーでどうにか差をつけないと!」
左への緩いコーナーが迫る。美鈴がブレーキを握ると、右に並んでた霊夢が前に出てくるのが視界の端に移った。しかしペースを取られること無く、あくまで自分の、ZZRのペースに合わせるようシフトを落とし、安定したバンクで攻める。バンク角、軽さ共にやはりLツインに軍杯があがったが、ここで焦っても事故に繋がるだけだとしっかりと自制した。身体能力だけでなく、その冷静な判断力も美鈴の強さだ。アウトから迫る霊夢に前を譲る。
1度並ばれ、焦った霊夢だがコーナーで再度前に立ち微かに気が緩む。
「…このコーナー続きの区間で差をつけないと後半がキツいわね…」
無論それで油断する霊夢ではない。再び気を引き締めて前に迫るコーナーに外から大きく倒して進入する。真後ろで唸っていたZZRの甲高い四気筒サウンドが遠退くのを感じた。そのまま更に引き放そうとスロットルを大きく開く
…が、焦り過ぎた
「しまっt…」
立ち上がりを急ぐあまり霊夢の999Sはコーナー中央で大きく外側に開いてしまった。慌ててスロットルを戻す
「焦りましたね…!!」
ここぞとばかりに美鈴が霊夢の内側に入り込む。際どいラインを攻める美鈴は多少なり減速を余儀なくされたがそれでも霊夢の横に再び並ぶには充分だった。立ち上がる手前で素早くギアを落とし。ここでもかと美鈴がスロットルを鋭く開く。耳を突き刺すような甲高い咆哮と共に微かに前輪を浮かせながらZZRは大きく霊夢を引き離した。
やられた!気付けばつい数秒前までテールトゥノーズの接戦だった美鈴は霊夢の999Rを10mは引き離している。
「美鈴…弾幕ごっこの時とは大違いね。微塵も油断できない!」
まだ勝機はある。そう自身と999Rに言い聞かせた