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私はきびきびとした動きで水の中に沈む。
私の体は重い石のようになってそこへ横たわる。
深く、暗くて、魚さえいないようだ。
私は静まり返ったその中にひっそりと息をしていた。
不意に、きらりと何かが光る。
そちらを目だけを動かすようにしてみると、一つだけ、細い藻がゆらゆら揺れている。
こんなところで育つわけはないから、おそらくもっと上の、浅い場所で産まれて、その時何かあってここに流れてきたのに違いない。
そうしてこの深さで石に引っかかってしまったのだ。
この藻はもう枯れるしかないのであろう、しかし背をまっすぐにして微かに揺れてもいるようだ。
私は居ても立ってもいられなくなってとうとう「綺麗だね、美しいよ」と叫んでしまった。
あぶくが一切れ浮かんだと思うと私はぐんと引っ張り上げられた。
光は目前に迫ってくる。




