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第五話 謙遜のふりした嫌がらせか?


たぶん美少女アレッサ「見てもらいたい新作があるのだが、その……なんというか……」

たぶん凡人ユキタ「新人賞や持ち込みはもちろん、一般にも当っっ然の常識なんだけどさ」

アレッサ「え。う、うん?」

ユキタ「作者が自分の作品をけなすのって、読者には最悪の失礼で、まだ謙譲で使う『拙作』なら手土産の『つまらないものですが』と同じく、普通は目くじら立てるような言葉じゃないけど……


『駄作ですが』

『つまらない作品ですが』


 だったら読まねえよ。そんなもん載せるな。オレのクリックが無駄になる……って思うよね。

 あとがきにそんな言葉があったら、読みきった自分を馬鹿にされた気分になるよね。


 というかどうせ『つまらない』と言われた時の予防線だよね。

 まえがきで読む前から『けなさないでください』も同然なことを書かれても、読む側にはうっとうしいだけだよね。

 それがわからない時点で、作者の無神経が確定するよね。

 作品名から序盤までの一文字ずつがどれだけ貴重かもわからない技術やセンスの乏しさも確定するよね。

 というか『そんなことありません。すごい傑作です』と言ってほしげな視線を感じてうっとうしいよね。

 読ませる前から読者に気づかってもらいたがる甘えた執筆姿勢の醜さをさらしているよね。


『たしかに退屈なだけの駄作です。とても読めたものではありません。それを承知で掲載するなんて荒らし行為ですよね? 同じサイトの利用者として不快になりました。なんで登録しているのでしょう?』


 とか言われたらどうする気だろうね。


『読んだからには感想くらいください』

『評価が増えなくなったら途中でも削除します』

『創作技法とか検索したことありませんが指導ください』


 なみの傲慢アピールだとわかっているのかな?

 高度な自嘲ユーモアとして使う作家もいるけど、プロでさえネタとしては活かされてないよね。

 ほかの長所が大きいから『許される』だけであって。


『自信はありませんが』

『初心者ですが』


 くらいなら書きたくなる気持ちもわかるけど、主旨は同じだよね。

 読者が本編直前に読んでも損しかない言葉で、薄めただけの無礼だ。


 持ち込み原稿のまえがきにそんな言葉があったら、編集者によっては「つまらないなら読みたくない」と立ち去るよ?

 舌打ちしながら注意してくれたら優しいほうだ。


 まして相手が一般読者なら、さらに厳しく扱われるって想像できないのかな?

 編集者も作家価値に人格破綻や非常識はマイナスとして計上するけど、見捨てる前に、それを埋める才能の有無だけは探ってくれる。

 一般読者はそんなに優しくない。

 パッケージや宣伝のしかたが悪い商品なんて、中まで見ようとしない。

 中を見たとしても、最初の悪印象に遠慮なくどこまでもひきずられる。


 映画の冒頭に監督が出てきて『つまらないけど、初心者なりにがんばりましたので……』なんてことを語りはじめたら停止ボタン押すよね?

 パッケージに書いてあったら手にとらないよね?

 エンディングの直後に出てきたら本編がどんな内容でもウンザリするよね?


 いや、ボク個人としてはそれほど気にならないけど、そういういいわけがましい謙遜もどきはせめて、まえがきじゃなくてあとがき、できれば活動報告でたま~にいれるくらいにしてほしいかな。


『まだまだ未熟かと思いますが、必ず完結まで毎週更新します』

『応援ありがとうございます。とても励みになります』

 みたいに読者のことも考えた内容なら読んでうれしい時もあるけど、それでも毎話のように入ると……


 というかなんで、プロ作家があとがきやまえがきをどう使っているかを考えないのだろう……

 そしてなんで、初心者ならなおさら遠慮すべきことがあるって想像できないのだろう……


『心の師匠であるA先生と、執筆を支えてくれた家族に捧げます』

『この作品を書くきっかけは長すぎる入院生活でした』

 くらいの長さや内容なら、まえがきに入れるのもわかる。

 初対面で無名の初心者作品でも、タイトルから本編冒頭への流れを邪魔しないで、意味も持つかもしれない。


 でもこのサイトの作品だと、もうまえがきやあとがきを見かけた時点で『ハズレ』って気がしちゃうんだよね。

 わざわざ本編前後に流れを切ってまで入れる必要があるとは思えない長さや内容がほとんどだから。

 我慢して読んだ本編が意外に良くても、やっぱり削ったほうがいい内容がほとんどだから。

 製作過程や作者事情なんて、身内や創作関係者ですら活動報告で十分だと思うよね?


 でもまあ、小説投稿サイトは社交サイトの面もあるから、卑下も『かわいげ』と受け取って親しくしてくれる人もいるかもしれないし、自由にやればいいとは思うけど」


震えるアレッサ「そ、そうか……」

ふりかえるユキタ「それで、ボクに見せたい新作って?」

全力疾走するアレッサ「い、いや! 急に直したい所が……失礼!」

追いかけるユキタ「うわああ!? 待ってえ!?」



半泣きアレッサ「くっ……せっかく『まえがき』『あとがき』欄があるなら、礼をつくして自身もアピールすべきだと思ったのだが、まさかそのように読む者もいたとは!」

愛想笑いユキタ「うんうん! 活動報告みたいな定期連絡の感覚で、更新ごとにあいさつを入れる作家さんもいるよね!? ブログ小説や掲示板小説の派生で考えたら、そういう親密なスタイルもありだと思うよ!?」


アレッサ「作品が未熟である宣言も、読者を過剰な期待で傷つけまいとした一心で、決して保身のためなどでは……!」

ユキタ「気軽に試作を公開して意見を聞けるのは投稿サイトのいいところだよね!? 商業の新人賞に出すわけでもないし!」


アレッサ「続きを書いたり完結させる自信はないが、まずは体当たりで掲載してみたかったのだ……!」

ユキタ「そう! やってみないとわからないことは多いし! 未経験者の最初の一歩こそ、業界発展の起点だよ! それに初心者ならなおさら、まずは実践して楽しむことが一番! 相手かまわず過剰反応する自称中級者がおかしいだけ!」


アレッサ「で、では、一話ごとに自作への危惧と反省をならべたまえがきは削らないで問題ないのだな?」

ユキタ「も、もちろんボクはかまわない……けど……ボクが言ったことも思い出して、一部読者の反応も想像したほうがいいかも」



仮眠している清之助「子供の学芸会の幕間に保護者が出てきてなにを語る気だ? それで『おもしろさ』が増すなら遠慮なくやれ。あるいは『おもしろさ』を落とさないならかまわん。だが考えなしにでしゃばれば、舞台をぶち壊して子供にうらまれる。せめて観覧中の客の目には届かないところでほざけ」




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