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第十四話 名は悲惨なほど体を表す


アレッサ「うあっ、メモしたつもりだった作者さんの名前をなくしてしまったか?! なにか複雑な漢字とロシア語かギリシャ語らしき組み合わせで……だめだ。読みかたがわからない上、わかっても変換できそうにない。なにか特別な言語感覚を持っているのかと、読んでみようと思ったのだが……」

清之助「アホ。そいつが持っているのは特別な自意識過剰だ」


清之助「作者名すら読みにくくおぼえにくく検索しづらくするアホの作品に、読者への配慮や責任感があると思うか? 作者名と同じく見るに耐えない厨二病くささで染まった記憶する価値のない作品だ」


アレッサ「作品内容に作者名は関係ない……と思ったが、そういえば作品名と印象のずれが激しいと、不穏な気配は感じる」

ユキタ「作品名が王道恋愛ぽくても、作者名がグロやシモネタだったら結末まで安心できないよね」

アレッサ「読んでいても常に、作者名の先入観がつきまといそうだ」


清之助「作品の冒頭で本編品質のほとんどを把握できるのだから、より先に、より広く目につく作品名はそれ以上の濃度で判断材料となっている」


清之助「そして作者名は、すべての作品の冒頭に伴う書き出しとも言える」


アレッサ「そう考えると恐ろしいな」

ユキタ「その発想をそのまま検討方法に使うのはどうだろう? 作品の冒頭として『これは「???」が書いた物語である』と入れてみて、違和感がなければ合格ということで」

アレッサ「では数多い私の異名で試してみるか」


『これは「風の聖騎士」が書いた物語である』


ユキタ「ガチのシリアス系ファンタジーとかSFしか書けない感じになったね。和風作品も違和感が出る」

アレッサ「あとは童話やコメディや恋愛でも、堅さ古さが邪魔にならない作風か」


『これは「切り裂きの魔女」が書いた物語である』


ユキタ「恋愛、童話、ゆるふわ系はとても厳しそうな、心温まらない作者名だね」

アレッサ「だがホラーのほか、アクションやミステリーでは居場所もありそうだ」


『これは「騎士団の狂犬」が書いた物語である』


ユキタ「コメディをはじめ、意外に広い読者を集められる作者名かもね」

アレッサ「だが叙情的で繊細な作風は絶望的になった。エッセイや日常系もまともな目では読まれなくなる」


『これは「貧乳ボケ勇者」が書いた物語である』


アレッサ抜刀「そこになおれ」

ユキタ「……すごくもうしわけないけど、この四択では最も作品に興味がわく命名な気もする」

清之助「うむ。インパクト、おぼえやすさ、個性、なにより作品との印象合致で申し分ない」

アレッサ突撃「黙れ」



アレッサ「そういう貴様らはどうなのだ。主な異名としては『ブタヤロウ』『クソメガネ』『色欲の勇者』『変態のエリート』などか?」

ユキタ「意外と普通で埋もれそうだね?」

アレッサ「なんて世界だ」

ユキタ「愛称そのまま『ユキタン』のほうがマシかな?」

清之助「もう少し埋もれないように『平石ユキタン』なら完全だな」

ユキタ「なるほど『勇者ユキタン』なら無難そうだ」

アレッサ「む。この手法は主人公の命名にも使えるのではないか?」


『これは「風の聖騎士」を主人公とした物語である』


ユキタ「なんだかまともな古典ファンタジーみたいだね」

アレッサ「な、なにが悪い?」

ユキタ「いや『物語』というなら副主人公といえるキャラまでは足したほうが正確な全体イメージになるかと思って」


『これは「風の聖騎士」と「ユキタン」を主人公とした物語である』


アレッサ「おお。正統派ながらも親しみやすさやユーモアがバランスをとり、対象読者も広がった気がする」

清之助「気のせいだ。正確さといえばひとり足りない」


『これは「ブタヤロウ」と「変態のエリート」と「貧乳ボケ勇者」を主人公とした物語である』


ブタヤロウ「悲しいくらい正確な作品説明になっちゃったね」

貧乳ボケ勇者「どこがだ!?」

変態のエリート「今回は自作宣伝誘導に熱心だな」




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