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第十話の補足 感想を集めるフェロモン


アレッサ「うーむ。私は同じくらいの評価の作者にくらべてダメ出しが多いような……?」

ユキタ「そういえばポイントやアクセスに比べて感想が多いね」

アレッサ「やはり不快にさせやすい作風なのだろうか?」

ユキタ「プラス評価だけ抜き出しても多いから、感想を書かれやすい作風かもしれない」


アレッサ「感想は作品の質で集まるものだろう?」

ユキタ「文章技術とは別に、読んでいて作者との距離を感じる作風がある。読者に配慮していて、わかりやすいしおもしろいのだけど、声はかけにくいような」


アレッサ「難解な内容や、特殊な趣味に走った作品か?」

ユキタ「それはそれで、質さえよければ同じ嗜好の人が集まるよ」


ユキタ「方向性の強さが大きいと思う。やりたいことがわかりやすい作品は『良い点』も『悪い点』もわかりやすい」


アレッサ「なるほど。私は書きたいと思ったことをそのまま一気に書いてしまうから、その点だけは明確かもしれない」

ユキタ「技術があっても、その部分がずれたりぼけたりしちゃう作品は多いよ」



ユキタ「構成力や計画性がないのに長引くと、コメディーなのに延々と説教やトラウマ告白が続いたりして、良い悪い以前になにを読んでいるのかわからなくなる」

アレッサ「そ、それはたしかに反応しづらい」


ユキタ「はじめから悲劇的ドラマ性があれば『深い』『長すぎ』『救いがない』とか言いやすいけど、期待のあさって方向に行かれると、作者と距離ができちゃう」

アレッサ「うーむ。私は犬をかわいがるだけだから、期待のはずれようもないわけか。短編もひよこになった妹をかわいがるだけだし……」


ユキタ「それはそれで強みだよ。複数の作品がある場合も、方向がはっきりしていると期待しやすい」


ユキタ「『萌え要素だけは間違いない』と思える作者だと題材がなんでも安心できるし、『萌えにプラスかマイナスか』で感想も書きやすい」

アレッサ「作風が定まらない作者はその点でも不利か」

ユキタ「ジャンルを大きく変えても人気が出やすい作者は、ジャンルを超えた個性、方向性が強烈だと思う」


ユキタ「ラブコメとホラーの両方を書いても『女の子の繊細なかわいさ』だけは徹底しているとか、基本の長所が明確だと安心できる。それを足がかりに、作風の広さとして楽しみやすい」

アレッサ「うむ。私は文体の重厚さ、硬派な作風、考察の深さのいずれかがあれば、ジャンルは違えども安心して読めそうだ」

ユキタ「あとはユニークな会話とか、軽い読みやすさとか、品のいいオシャレとか、きょにゅ……そのあたりかな」



ユキタ「ほかに感想の書きやすさといえば、作者自身の態度かな」

アレッサ「うむ。助言されたとおり、コメントは早めに返信し、なるべく相手の意図をくんでいる」

ユキタ「アレッサの場合、その内容も素直でわかりやすい」

アレッサ「え。そんな気恥ずかし……」

ユキタ「良くも悪くも」

アレッサ「悪くも?」


ユキタ「喜んでいるのも落ちこんでいるのもわかりやすい。それで支えたいと思われるのは大きな長所なんだけど、ツッコミたくなるのは……」

アレッサ「対応に疲れて、一時期は執筆が遅れてしまった」

ユキタ「ダメージまで素直に受けちゃう性格だと、つらさのほうが大きくなるかもね」


ユキタ「意識にフィルターかける技能も向き不向きがあるよ。心理学に興味がないなら、執筆時間を削ってまで言葉の裏を読まなくていいと思う」


アレッサ「今は『少しずつ勉強中の初心者です。感想はお手柔らかに。誤字脱字などの指摘は歓迎です』の自己紹介でしのいでいる」

ユキタ「たかられやすく耐久性も高い『能天気』なら最強だけど、アレッサはボ……素朴だからなあ」


アレッサ「しかし大幅な改善になる『悪い点』の指摘をくれた人まで遠慮をはじめてしまった。ままならないものだ」

ユキタ「応援目的でまともな神経もあると『悪い点』を書くほうが怖いから、『お手柔らかに』も大きく受けとめるよね」



ユキタ「それと政治、宗教、圧力団体とか『めんどうなこと』に関わりそうだと近づきたくない。個人的に表現規制だけは興味があるけど、それもあまり感情的だと近づきにくい」

アレッサ「私はそのあたりの知識がないから、そもそも書けない。だが作者によっては意識して抑えているようだな」


ユキタ「以上のことをクリアしても、作品中で読者や世間に向けての毒舌、悪態、上から目線が多いと……」

アレッサ「それは感想を書くのに勇気がいる。この作品などは最悪だ」


ユキタ「あとは活動報告やエッセイに延々と愚痴や自慢やいいわけが書かれているのも反応が怖いかな」

アレッサ「それは嫌われても好かれても怖いな」


清之助「結局は『ぼったくりバー』だ。気楽なアホを装えば人は集まりやすい」

アレッサ「待て。私は演技などなにも……どういうことだ!?」




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